品質保証の基礎知識と考え方

品質保証111

品質保証とは何か?

品質保証とは、「消費者が安心して満足して買うことができ、それを使用して安心感、満足感を持ち、しかも長く使用することができるという、品質を保証すること」新版品質保証ガイドブックには定義されています。

これには、以下の4つが含まれています。

  1. 顧客・社会のニーズを把握し、それに合った製品・サービスを企画・設計する活動
  2. これを経済的に提供できるプロセスを確立する活動
  3. 顧客・社会のニーズが満たされていることを確認し、満たされてない場合には必要な処置をとる活動
  4. 顧客・社会に信頼感・安心を与える活動

つまり、品質保証とは「顧客・社会のニーズを満たすことを確実にし、確認し、実証するために、組織が行う体系的活動」のことをいいます。

品質保証を達成させる2つの品質

品質保証活動とは「製品企画→設計→製造→販売→サービス」に至る仕事の流れで、それぞれの品質保証責任者が保証事項を保証することにより、会社方針を達成するための体系的活動をいいます。つまり「顧客のニーズ = 提供する商品やサービス」となることを確実にするための活動のことです。

この品質保証を達成させる場合、「設計品質(ねらい品質)」「製造品質(できばえ品質)」2つに分けて考えることが有効です。

品質とは図

  • 【設計品質(ねらいの品質)】
    ねらいの品質を達成させるには、顧客のニーズを把握し、商品やサービスに反映することが重要。それが「新製品開発管理」
  • 【製造品質(できばえの品質)】
    できばえの品質を達成させるには、狙い通りの商品やサービスを作り続けることができるプロセスが必要。それが「プロセス保証」

品質保証のための2つの活動

①:プロセス保証

【品質保証プロセスの基礎知識】については、こちらをごらんください。

「顧客のニーズ = 提供する商品やサービスから得られる価値」を達成するための最も単純な方法は、全ての商品をチェックして手直しする。これでは経済性も効率も悪く利益が出なくなってしまいます。

これでは、同じ製品・サービスを繰り返し提供する場合、同じ失敗を何度も繰り返してしまうことになります。その場合は、調達・生産・営業などプロセスを決め、そのプロセスに沿って仕事を行うことで、結果として満足を満たせない場合は、そのプロセスを改善する方が効率が良いです。この繰り返しにより同じ失敗を予防できるようになります。

また、その製品が「どのようなプロセスで作られたか?」全く分からない場合、有限の検査やチェックでは、仕様通りにできているかどうかを確認することは不可能です。例えば、特定の部位を測定して仕様通りであるということを保証するには、測ってない部位が測った部位と”同質”であることが必要です。しかし、その製品が「どのようなプロセスで作られたか?」全く分からない場合、このような連続性を仮定することはとても危険な考え方です。

このように製品やサービスの品質を有限の検査やチェックが確認できるのは、プロセスにおいて何らかの前提があるからです。「プロセス保証」とは、その通りに行えば狙いとする製品・サービスが得られるようなプロセスを確立することによって、経済性も効率も高い品質を保証する活動です。

「プロセス保証4つの項目」

プロセスのためには、プロセスを構成する人・設備・資材などの要因系のバラツキを一定に抑えることが必要です。

  1. 「プロセスの条件を一体に保つ」
    要因系の個別管理(作業管理・設備管理・資材管理)、これらを組織全体として統合するための標準体系の構築が重要となります。
  2. プロセスの持つ工程能力を評価し、必要な改善を行う
    工程能力調査を行い、その結果に基づき必要なプロセスの解析・改善を行うこと。工程能力が十分確保できるようにプロセスを計画・設計することです。
  3. 工程能力から見て発生すると考えられる典型的な不適合に対する検査を行う
    プロセスを一定の条件に保っていれば、そこから発生してくる不具合品は特定の傾向を持ったものになります。これらの不具合品を確実に確実に検出できる検査・チェックの仕組み(QAネットワークなど)を作ることで、不具合品が後工程に流れることを防ぐことが可能になります。
  4. プロセスにおいて発生した異常を検出し、プロセスに対して処置をとる
    プロセス管理が完全でない以上、要因系の条件が変化し、異常が生じる場合が生じる場合が少なくありません。管理図など見える化を活用することで、発生した異常を早期に確実に検出できるようにし、その原因を追求することでより良いプロセスに改善するための活動です。

②:新製品開発管理

技術の高度化と市場の成熟度から、製品のライフサイクルが年々短くなってきています。市場や顧客のニーズに合わせた製品を投入していかないと、競合他社との競争に打ち勝つことも利益の確保も望めません。

この新製品開発管理は、「顧客ニーズにあった製品提供と技術革新」を同時に達成することを目的に、市場調査から企画、製造、販売までプロセスを構築・改善することで、正しい新製品開発をする活動のことです。

新製品開発では、「どのような節目を設けているか?」「プロセス間で受け渡す情報をどのように可視化するか?」の2つが重要です。幾つかの節目を設けて開発の進捗を確認するとともに、検出可能な問題を明らかにし、必要な処置を早期に行うことが大切になります。

【新製品開発のプロセス手順】

  1. 「製品・サービスの企画や計画(開発提案・製品構想)」
    【目的】:開発すべき製品・サービスの狙いを明確にする活動。
    【ポイント】:潜在ニーズの把握、商品コンセプトの発想と選択、戦略の立案が重要。潜在ニーズの把握は、顧客の行動・顧客インタビューやアンケート・活動の観察を行い把握する。この場合、ニーズを満たすことで顧客にとってどのような価値があるのかを明確にしておくことが重要。
  2. 「製品・サービスの設計」
    【目的】:製品・サービスの仕様やその実現方法など、製品・サービスそのものの細部をしだいに決めていく活動。
    【ポイント】:企画の設計への反映と、ボトルネック技術の予測と解決、トラブル予測と未然防止、設計の標準化が重要。顧客の言葉を設計・企画者の言葉に変換し、理解することが重要。
    設計に起因するトラブル防止には、今まで経験した過去トラの情報を蓄積し、体系的に活用することで失敗の危険性を洗い出し、あらかじめ必要な対策をとる未然防止の取り組みが大切。
  3. 「提供プロセスの設計」
    【目的】:調達・生産・物流・販売・アフターサービスや、それに伴う技術など、製品・サービスを提供するプロセスの細部を決めていく活動。
    【ポイント】:企画の設計への反映と、ボトルネック技術の予測と解決、トラブル予測と未然防止、設計の標準化が重要。顧客の言葉を設計・企画者の言葉に変換し、理解することが重要。
    設計に起因するトラブル防止には、今まで経験した過去トラの情報を蓄積し、体系的に活用することで失敗の危険性を洗い出し、あらかじめ必要な対策をとる未然防止の取り組みが大切。
  4. 「提供プロセスの施策・試験・評価」
    【目的】:提供プロセス設計の検証・妥当性の確認を行う活動。
    【ポイント】:デザインレビューでの検討結果と連動した施策・試験を行い、タグチメソッドなどを活用し、製造段階や顧客が使用する段階で生じるバラツキに対して最適条件を見つけることが重要。これにより、開発期間の大幅な短縮やトラブルの少ないより安定した製品や・サービスの開発が可能になる。
  5. 「製品・サービスの提供」
    【目的】:製品・サービスの提供を行いながら、判明した問題を処理して拡大を防ぐとともに、狙いの達成を行う活動。
    【ポイント】:初期流動管理やクレーム・苦情管理が重要。製品・サービスの設計や提供プロセスの設計をどれだけ緻密に行っても、実際に市場に出回ると様々な問題が出てきます。市場投入後は、不具合の流出を防ぐとともに問題の早期発見を行うために特別管理体制をとることが望ましい。また、新規受注の獲得のために『製造業のホームページは、どのように作ればよいですか?』を参照にして、営業活動の強化につなげる。
  6. 「新製品開発プロセスの見直し」
    【目的】:活動全体を見直し、次の開発がより効果的・効率的に行えるようにする活動。
    【ポイント】:今回得られた経験を次の開発に生かすために、市場による評価を踏まえ、顧客満足とトラブル防止の観点から見直すことが大切。

③:品質保証体系

新製品開発管理やプロセス保証を確実にするためには、企業の全部門のそれぞれの役割が明確になっていなければなりません。そのために、各プロセスにおける各部門の役割や関係を表したものが品質保証体系なのです。

その品質保証規定の一つに、日本で従来から活用されている品質保証体系図があります。品質保証体系図とは「製品企画→設計→製造→販売→サービス」に至る仕事の流れで、品質保証のために、どのような活動が、どのような順序で、どの部門が担当して実施するのかが一目で分かる図のことです。

つまり企業組織全体で「どのプロセスで、どの部門が、どの活動を、どんな目的で、どの規定や標準類に従って」品質保証活動が行われているのかが一目で分かる図です。

【品質保証体系図の4つのメリット】 

  1. 各部門の役割を明確にすることで、全体運営を効率よく、効果的に進めることができる。
  2. トラブルの責任部門別の層別が簡単にでき、トラブル解析と改修時間の短縮ができる。
  3. トップや第三者の品質保証診断や監査を実施する際の道しるべとなり、精度の高い診断が可能になる。
  4. 品質保証体系図を見れば一目で全体像が理解できる。

品質保証体系図

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