スポット溶接(重ね抵抗溶接)の品質を安定させる基本

スポット溶接とは

スポット溶接とは、材料に直接通電し、材料の抵抗および接触面の集中抵抗によるジュール熱を利用し溶融接合する。重ね合わせた継ぎ手の両側から、2枚の母材を電極で加圧したまま電極に短時間で大電流を流し、その接触面に発生する抵抗熱により母材内部で金属が溶解凝固を起して溶接する。

電極チップと母材間の通電方式なので、電極は加熱されないように冷却水で冷却されている。3枚以上の板金を一度に接合することも可能であり、生産性が高く、製造コストが低いので、板厚の薄い鋼板を多く使う自動車などの大量生産でよく使われている。

【原理】

スポット溶接の仕組み材料に直接通電し、材料の抵抗および接触面の集中抵抗によるジュール熱を利用し溶融接合する。

溶接機には、ロボットスポット溶接機・マルチスポット溶接機・定置スポット溶接機・ポータブルスポット溶接機などの種類がある。

【特徴】

「長所」溶接速度が早い・溶接歪みが少ない・作業環境が比較的良い
「短所」溶接機の容量が大きい

▶︎【スポット溶接で求められる重要なこと】

  • 溶接部の強さ、ナゲット径のバラツキを少なくすること
  • カット・アンド・トライ
  • 「信頼性のあるスポット溶接」が求められている!

▶︎【溶接を安定させるための基本的な考え方】

  • 溶接を行なうための全ての条件がばらつかなければ結果もばらつかない。プロセスを安定させる考え方が基本。
  • 溶接の「結果」をコントロールできない為、そのプロセスとなる全ての「条件」を管理しようという考え方。

スポット溶接の4大条件

抵抗溶接4大条件

  1. 【溶接電流】:チップと母材に流す電流の量(少ないと離れる。多いと溶着、スパッターの飛散大)
  2. 【電極加圧力】:チップが母材を押さえる力(加圧力の変化で接触抵抗が変化する)
  3. 【通電時間】:チップと母材に電流を流す時間(短いと離れる。長いと機器の焼損招く)
  4. 【電極チップの先端形状の管理】:チップの先端径、チップの種類、冷却水管理(チップ先端径が大きすぎると離れる。小さいと溶着する)

「条件1:溶接電流」

  • 一般的な条件表では、溶接電流をふやせば、それに比例してナゲット面積も増す傾向
  • ナゲット面積と引張りせん断強さは、ほぼ比例した関係
  • 溶接電流を変化させる原因の一つ、磁性体(軟鋼などのワークや治具)がスポット溶接機のふところに入って行くと電流が減るという現象
  • 最近のスポット溶接機では、このような強さをバラツかせる溶接電流の変動を、定電流制御によって克服している
  • 強さをバラツかせる多くの要因の中では、この溶接電流の変動が最も大きな影響を「強さ」に与えている

「条件2:電極加圧力」

  • 大きなナゲットを作るためには大きな加圧力が必要
  • 加圧力という条件は、スポット溶接機の最大加圧力の大きさ、加圧機構などによって、溶接電流のように一義的に決められない。云いかえれば、加圧力という条件は、使用するズポット溶接機によって大きく変ってくる可能性がある条件
  • 電極加圧力を発生させる源は、空気圧シリンダ(実際の出力は、パッキンやオーリングの摩擦などによる損失もある)
  • スポット溶接機は、シリンダの出力をオフセットさせた機構を介して電極チップに伝えている
  • ふところ深さが大きい方が図中の寸法Aがある程度大きい方が作業上の制約が少なくなるのでこのような構造である
  • シリンダの中心から寸法Aだけ離れた点に力が作用する為、シリンダシャフトやラムには寸法Aによるモーメントを生じる
  • 溶接部は約1500℃まで0.5秒位で温度上昇し、電極(シリンダ)を押し上げる方向に力を発生。(0.2mm押し上げる力)
  • 電流や時間が一定のとき、加圧力を大きくすると引張せん断強さが低下する

「条件3:通電時間」

  • 通電時間が長すぎると溶接部の熱影響が増えたり、電極チップの温度が上りすぎて早くへ夕る
  • 理論的には、加熱される材料の熱伝導率や板厚などによって決まる熱時定数がある
  • 「保持時間」は通電時間で溶接したナゲットを安定させる時間。一定の加圧力を保ちながら、電極を介して接合部を冷却しナゲットを固める。

「条件4:電極チップの先端形状」

  • 電極チップの役目は、ワークに電極加圧力を伝え、大きな電流をワーク上の小さな面積に限定して供給すること
  • チップの先端形状が、電流密度を決めている
  • 亜鉛鉄板を連続的にスポット溶接を行うと、ある点数で急に強さが低下したかと思うと、また回復する現象(溶接点数が少ないとない)
  • 亜鉛鉄板を溶接時は、チップのCuとワークのZnで合金(黄銅)を作り易い為、チップの消耗が激しく、チップ先端形状-消耗の管理が重要。

電極管理

溶接不具合について

代表的なスポット溶接不具合:13種類

  1. 打点欠:スポット溶接の打点欠損していること。
  2. はがれ:スポット溶接の打点が剥がれること。
  3. 割れ:スポット溶接のナゲットが割れること。
  4. ナゲット径不足:接合部に生じる最大溶融部分で溶融部分が少ないこと。
  5. 溶込み率不足:溶け込まない部分が生じる溶接欠陥のこと。
  6. 打点位置ずれ:スポット溶接の打点が指示している箇所にないこと。
  7. 圧こん異常:上下電極の先端面の平行度が出ていないと、片当りして、歪な圧痕が生じる。
  8. バリ・表散り:電流と加圧力のバランスが適正でなかったり、板合わせが悪かったりで生じる。
  9. ブローホール:溶着金属(溶加材から溶接部に移行した金属)の中に発生する球状の空洞(気孔)のこと
  10. ピット:溶接ナゲット表面に発生する小さく窪んだ穴のこと。
  11. スポット歪:スポット溶接時に発生する金属板表面の凹凸。主要因として、三大溶接条件(電流、通電時間、加圧力)の他、打点角度、板と電極の合い、板合わせがあげられる。

  12. 爆飛:スポット溶接過程において、溶融金属が激しく飛散し、ナゲットが大半空洞化する現象。溶接部強度は著しく低下し、溶接不良となる。防錆ハイテン材において顕著に発生しやすい。溶接加圧力不足が主原因と推定。

  13. 分流:主回路以外に流れる電流。

品質保証について

「品質保証のポイント」

  • 余裕度の高い条件設定(ナゲットの大きさ)
  • 電極チップ管理の徹底(先端形状の維持管理)
  • 強度チェックの徹底 (はがれ有無チェック)

▶︎【日常検査】
・外観目視チェック(打点数・打点位置等:全数 or 抜取り)
・強度チェック(はがれ有無 or 栓抜け径チェック:抜取り)

新規受注を獲得するための5つの質問

以下の5つの質問に答えることで、顧客が知りたいと答えを自分で導くことができます。スポット溶接を使った製品は、安全・信頼が必要です。以下の質問に答えて、顧客からの信頼に答えることで新規受注を獲得してください。

  1. 製品にどんな形でスポット溶接が使われているのか?
  2. 製品で使用するスポット溶接に、どのようなこだわりがあるか?
  3. スポット溶接を行う溶接機はどんな機械か?
  4. スポット溶接の品質管理状況は?(不良を作らない・流出させない仕組み)
  5. どんな人が、スポット溶接に携わっているのか?

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