金属加工の技術:プレス加工用語と解説

▶︎【プレス加工】35種類

「プレス加工」とは、上型下型が対となった金型の間に素材をはさみ、金型によって強い力を加えることで、素材を工具の形に塑性加工すること。一般には対となった工具のことを金型、加圧する機械のことをプレス機械と呼ぶ。

「技術」とは、科学の原理を役立てて、ものを生産したり組織したりする仕方や技。または、物事を能率的に行う技をいう。

ヘミング加工

ヘミング加工とは、プレス品の直角となっているフランジを、プリ刃、ヘム刃の大きな加圧力を用いて180度まで曲げる加工方法である。抗張力が高い(引っ張り強さが強い)SUS材や表面処理鋼板や、前工程で鋭角曲げの角度が甘い場合は、被加工材がすべりやすくなる。
車では、ドア・エンジンフード(ボンネット)・ラゲージフード(トランク)などで、ヘミング加工は活用される。

時効硬化

時効硬化とは、金属の材料特性が時間の経過とともに変化する時効現象を利用して硬化させる処理。
金属材料を急速に冷却した場合、通常は材料内部に不安定な組織が生じ、これを常温で放置しておくと、安定的な状態に移行しようとして材料の性質が変化する。この現象を時効といい、そのなかで時間の経過によって金属材料の硬さが増していくものが時効硬化である。
過飽和に固溶させた合金を焼入れすることにより、適当な温度にある時間放置しておくと金属間化合物として微細に時効析出させ、分散硬化させる。

スピニング

スピニング加工(ヘラ絞り)とは、金属を円盤状に加工した材料を回転させながら、金属の延性を利用して、工具を押し付けて局所的なしごきなどの塑性変形を繰り返すことにより、徐々に金型に近づけて成形する加工法。
スピニング加工の特徴として、金型がオス型1つで済むため、試作品や小ロットの製作を安価で短時間で加工できる。

穴抜

穴抜とは、抜き加工の基本で穴形状をせん断加工することで、貫通穴を明けること。加工するタイミングは、ポンチとダイスの間にある被加工材が、①塑性変形期②せん断期③破断期を経て分離され、所定の穴形状とスクラップとに分けられる。
この穴抜き加工はブランク抜き加工と同じ加工で、製品が反らないようにするために、可動ストリッパ構造で金型を作ることが多い。

オーバークラウン

オーバークラウンとは、絞り加工時に時間の経過とともに次第に復帰する弾性回復をプレス金型の意匠面形状に見込んでふくらませること。例えば、成形後のプレス品のパネル自重たわみなど。
弾性回復によりデザインなど意匠面に面歪みを生じる場合に、デザイン形状どおりの滑らかな面とするために行う。

絞り加工

絞り加工とは、一枚の金属の板に圧力を加え、絞り込み凹状に加工し容器形状にする。プレス機により素材を絞り込んで変形加工する、側壁つきパネルを成形する加工法。継ぎ目の無いくぼみを得る加工を絞り加工と呼ぶ。
プレス加工では、絞り用のオス・メスの金型に素材の板金を挟み込み数秒でプレス成形できる。自動車の複雑な曲面形の加工は、深絞り成形と張出し成形が複合されたプレス加工である。

抜き加工

抜き加工とは、せん断加工の一種である。ポンチとダイスとの間にある素材が、①塑性変形期、②せん断期、③破断期、を経て打ち抜かれ、製品とスクラップとに分けられる。製品の外形寸法はダイスで決まり、反対側の穴径はポンチで決まる。
圧縮と引張り応力を受けながら打抜かれるため、製品のダレ、せん断、そりに大いに影響する。

張出し成形

張出し成形とは、絞プレス成形において、しわ押え面の内側にある材料だけで、板材を板面方向に変位させる成形法である。この張出し成形は、材料の延性特性に依存するため、一般には底の浅い部品のみに用いられる。
このほか張出し加工としては、全体張出しで広範囲にわたって板を張出す加工。エンボス加工で材料の一部分を張出す加工。パルジ加工で円筒容器の中にゴムや液体を入れ、内圧でふくらます加工法などがある。

ビーディング力

ビーディング力とは、絞型のしわ押え面に設定する、材料の流入コントロールを容易に行うための絞りビードを成形する為のしわ押え力。
絞り加工ではフランジしわの発生を防ぐために対策が必要である。しかし調整が必要で、しわ押さえ圧力は弱すぎればしわが発生し、強すぎれば割れが発生する。しわ押さえ圧力はダイ、しわ押さえ面の面粗さ、潤滑油の状態などで変化する。

深絞り成形

深絞り成形とは、絞り加工法の一種。絞り加工の基本的な金型の構成は、パンチとダイスとしわ抑え板のブランクホルダーで構成されていて、成形時は素材の延性だけでなく、しわ押え面にある材料を流入させながら加工する成形法。
この材料流入により伸びが激しい部位にも材料が供給されるので伸びは抑制される。そのため、張出し成形よりも底の深い部品が成形可能になる。

ブランクホールド

ブランクホールドとは、絞り成形過程の一形態で、上型と下型の間に挿入された素板(ブランク)を、投入後に上型と下型で押さえ拘束した状態のことをいう。
また、このブランクを押さえる上型と下型の部分をブランクホルダーといい、ブランクホルダーの押さえる力の強弱により製品にしわ、割れ、ネッキングなどが発生し、外観精度に大きなダメージを与える。

プレス加工

プレス加工とは、対となった金型の間に素材をはさみ、プレス機械によって強い力を加えることで、素材を工具の形に塑性加工すること。基本的にプレス加工は、特に金属加工・板金加工で、金属版を立体的に変形させ、様々な工業製品が製造している。
プレス機械は、往復圧縮運動を主とする液圧プレス、機械プレスなどがあり、材料を成形、切断加工変形させ、絞り・曲げ・抜きなど加工で、成形・分離・矯正などを行う加工法。

オーバードロー

オーバードローとは、絞り加工法の一種である。絞り加工時、1回の絞りで厳しい場所を、前工程で余計に膨らませた形状で絞り、キレツ&ネックを解消させた上で、後工程で2次成形(リストライク)して正規の製品形状にする加工法である。

しごき曲げ

しごき曲げとは、プレス加工の曲げ加工の一つである。曲げ加工方向がパネルのフランジ方向と同一の場合をしごき曲げと呼ぶ。それ以外は「たたき曲げ」と呼ぶ。特に、フランジ面精度や面の要求品質が高い場合に用いられる曲げ方である。

絞抜き

絞抜きとは、絞成形と抜加工の複合型構造プレス型と、それを補助する油圧機構プレス機で、絞りと抜加工をプレス機の1ストロークで完了する加工法である。
抜き絞り構造の欠点はメンテナンスにあり、ブランク抜きの切れ刃部が痛んでバリがでると再研削するが、絞りダイのR部分も削るため、ダイRを再生が必要になるため、絞り不良の原因となる。

スタンピング成形

スタンピング成形とは、絞加工法の一つで、成形サイクルは射出成形に似ている。大量生産に適した成形方法で、クッション絞の様なシワ押さえ構造を持たず上型と下型により単に型押し、パネル成形する方法。
その為、製品形状としては深さが非常に浅く、単純な形状にしか用いる事ができないが、クッション絞型に対し型構造が簡単というメリットがある。また、リブやボスの成形やインサート成形、表皮一体成形なども可能である。

ストレッチドロー

ストレッチドローとは、絞り加工法の一種である。例えば、ジュースの空き缶などは、カップ形状に加工した後、絞り加工に引っ張り加工、さらにしごき加工を加えて側壁を薄くストレッチドロー成形を行っている。
通常の絞りに加えて更に高い伸びを素材に与えることにより加工硬化性を向上させ、張り剛性や製品形状の凍結性を向上させる絞成型法である。

突き破りバーリング

突き破りバーリングとは、通常のバーリングと異なり、1工程で鉄板を突き破りながら曲げる加工法。その為、曲げフランジ先端に不規則な割れが生じる。通常のバーリングは、バーリング加工穴のまわりに立ち上がり加工することで材料にネジ穴加工をする場合などに用いる。ボルトナットと比較してコストが低減できるが、締結力が劣る欠点がある。

抜絞り

抜絞りとは、1型で材料の打ち抜き加工と絞り加工を同時に行う加工法である。比較的平板状の側壁つきパネルを、ウレタンゴムなどの弾性力を利用してパッドでスタンピング成形した後、上下切刃により挟み切るせん断の力を利用して、成形パネルの外周や穴抜き等の抜き加工を同時に行う。

パーシャルトリム

パーシャルトリムとは、抜き工程の切刃で挟み切り完全にせん断する手前まで加工した後、下クッション等で曲げ戻して平坦にする加工法。外観上は素材は繋がっているが、金属に応力を与えると塑性変形によって硬さが増す加工硬化により素材が脆くなってくる。あまり設備が整ってなくても、比較的安易に穴加工が出来る。

バーリング曲げ

バーリング曲げとは、素材または製品面内にあらかじめ穴をあけた後、その穴の縁を円筒状にフランジ曲げる加工方法である。穴周辺の剛性確保やグロメットによるシール性確保に用いるほか、材料の板厚が薄くねじ山を立てる場合にバーリング加工を行い、ねじ山を確保することがある。

ピアスナット

ピアスナットとは、自分で穴を開けカシメられるナットのこと。ナット自身がプレスの1サイクル毎に新しい消耗ポンチの役目をして穴を開けながら、穴あけと同時にその穴のエッジにナットがカシメられる。使用に際しては、溶接とのコスト計算により決定される。
溶接によって接着するウェルドナットに対し、ピアスナットは溶接ナットに不可欠な設備の大半を削減する事が可能になる。

リストライク

リストライクとは、1回加工したものを、形状のひずみ矯正や寸法精度を高めるために行う再押し加工のことである。特に、絞成形においてワレが発生する部位や、成形力不足により形状出しが困難な部位を、リストライクで2次加工して形状出しを行う方法。一般的に張り出し成形に近い変形形態をとり、破断を防ぐために大体の形状に加工し、リストライクで座面や段差部のコーナー形状を出す加工方法。

ロール成形

ロール成形とは、複数のコマが並んだローラーの間に鋼板を通すことにより変形加工すること。ロール成形、冷間ロールフォーミング、冷間圧延加工などと呼ばれる。
タンデムに配置された複数組の成形ロールにコイル材・フープ材・切板などが、ロールフォーミングの成形機に自動的に吸い込まれ、加工されて成形品が吐き出される。特徴として、板金、プレス加工などに比べて加工スピードが圧倒的に早いことが挙げられる。断面形状を有する管材・形材・プレート材・サッシ材などを製造する板材の塑性加工法。

スケーリング

スケーリングとは、絞り加工時、絞り加工の力を除くと元の形に戻りパネルは弾性回復により0.1%程度小さくなる。それに伴い、精度が変わるため後工程型へのセット不良等の問題が出てくる。精度変化を回避する為、後工程形状に対し絞りパネルの弾性回復に依る縮み量分だけ、見込み絞型を大きく造り込む方法のこと。

Rたたき

Rたたきとは、プレス曲げでのスプリングバックによる材料を曲げたときに元に戻ってしまう現象を凍結する工法である。例えば、引張強さの強い高張力鋼、ハイテン材や曲げる角度が急なものほどスプリングバックもキツくなる。曲型で、曲R部の隙間クリアランスを小さくし、圧縮力を高めることでスプリングバックを凍結する。

寄抜加工

寄抜加工とは、金属板から製品形状を切り抜く、抜き加工法の一種。抜き加工では、パンチとダイはクリアランスを挟んで、材料を回転させる曲げモーメント力が働く。そのために材料ねじれ湾曲する。湾曲を小さくする対策は、クリアランスを小さく、パンチ・ダイの再研磨を早くする。
通常抜き方向は、プレス方向に対する傾きが最大15°迄だが、角度がそれ以上ある場合に、カム機構を用いて抜き加工する。

付加張力

付加張力とは、絞り加工でワレ、シワ等の不具合を防ぐ目的で、素材の流入量を調整するために加える引張り力のことである。そもそも張力とは、物体のある平面において、引っ張り合う垂直応力のことをいう。ワレの場合は張力を弱く、シワの場合は張力を強くする。管理方法は、ビード形状、ビード高さを部分毎に変え、ビード通過抵抗力を変えることで調整する。

コイニング

コイニングとは、圧印加工のことである。板材の曲げ成形後に発生するフランジのスプリングバック、ウエッブ面の反りを矯正する工法のこと。凹凸のついた上型下型1対の型で金属板材を強く圧縮し、貨幣やメダルなど型の模様を材料に写すプレス加工法。
フランジ端面を圧印加工することにより、曲R部が圧縮、型内で形状が凍結される。

仕上げ抜き

仕上げ抜きとは、プレス加工で必要な最終製品形状を得るための最終的な抜加工。きれいな切り口面を得るための抜き加工のことである。抜いた後、さらに曲げ成形を実施する場合は、展開抜という。
仕上げ抜きでは隙間のクリアランスをほぼゼロにし、パンチまたはダイの刃先に丸みを付け、衝撃や疲労などの原因で破壊する破断の発生を遅らせることで、きれいな切り口面を作る。

縮みフランジ成形

縮みフランジ成形とは、紋成形、曲成形においてパネル線長が成形前に比べ縮小する成形形態。この成形により板面内方向の圧縮力が生じるため、フランジ部分には引っ張りの力が働き、成形後のパネルはフランジの変形過程では材料は伸ばされるので、座屈しわが生じることがある。
フランジ成形は、直線のフランジ成形に比べ形状強度向上できる反面、加工は非常に難しくなる。

プレス方向

プレス方向とは、プレス加工を行うプレス機械の往復圧縮運動の方向のことである。成形品を金型から取出すとき、凸形状や凹形状になっているアンダーカットにならない絞り成形、抜き角度、曲げ角度、ワークのプレス型への投入、取り出し姿勢などを考慮して決定される。

曲げ加工

曲げ加工とは、パンチとダイ型やロール使用して、板材、管材、棒材を所定の角度に曲げ変形させる加工法。プレス型による板材の曲げ加工では、U曲げ、V曲げ、カール曲げなどがあり、ロールによる場合、3本ロール曲げなどがある。
曲げ加工では、中立軸の外側は引張り力、内側は圧縮力を受け、プレス後は弾性的なはね返りスプリングバックがある。

歩留まり

歩留まりとは、「原料(素材)の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数(量)比率」である。使用原料に対する製造品の比率のこと。ちなみに歩留まり率は、歩留まりの具体的比率を意味し、生産性や効率性を量る目安となる。歩留まりが高いほど原料の質が高く、かつ製造ラインとしては優秀となる。

しわ押え圧力

しわ押え圧力とは、絞成形時しわ押え面を介して素材に加える圧力のことをいう。このしわ押え圧力によって、押え面とブランクとの間に摩擦力を生じさせ、素材の流入量と伸び量を制御する。これにより成形時、しわ押え面の板面方向の圧縮力によって生じる座屈しわを防止する。
しわの発生原因は、絞りクリアランスが大きいことにあり、普通絞りでは絞り過程での板厚増加を見込んで素材板厚より最大で40%ほど大きくするが、それ以上にクリアランスを大きくしたときに発生する。

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