製品品質向上のための製造部門の役割とは?

品質向上のための製造部門の役割とは?

製造部門の役割使命は、簡単にいえば「狙った品質、価格、数量の製品を期日までに最も経済的に造ること」です。

例えば、以下の6つのことではないでしょうか?

  1. 顧客が求める製品を期日までに提供する
  2. 製造時に発生する不良を撲滅し、品質の維持管理を行う
  3. 仕掛品在庫を削減しリードタイムの短縮を図る
  4. 工数低減を行うことで生産性の向上を図る
  5. 多能工化を行い作業者の技能レベルUPを図る
  6. 生産現場のムリ・ムダ・ムラの問題点を浮き彫りにして管理・改善活動を展開する

今回はその中で、製造部門がなすべき「品質の維持・管理」についてです。多くの企業が「品質は工程で造り込む」というスローガンを揚げ取り組まれていますが、品質を工程で造り込むために必要なことは何でしょうか?そして、造り込みとは、どういった意味でしょうか?

昔は、造った製品を全数検査して品質確認を行っていました。それでは、不良による損失が多く、不良品のムダ、手直しムダ、在庫のムダなど、お金をドブに捨てていました。そこで唱えられたのが「工程で品質を作り込む」と言うこと。

つまり、品質は工程で造り込むとは「悪いものは造らない、次の工程に流さない」と言う思想のことで、自工程完結のことです。そして、造り込みとは「手間をかけてつくる。すみずみまで気を配り、念入りにつくる。」という意味です。

良い品質を造り込む3つの基本要件

良い品質の製品を造り込むための基本要件

①:図面通りに造れば、良いモノができる「製品設計」

設計部門が主体となり、一つの小さな不具合が大きな事故につながり、企業のブランドイメージに致命的なダメージを与えてしまうことがあります。そのようなことがないよう、各企業では製品製作の上流である設計段階での品質不具合の未然防止の取り組み活動を積極的に行っています。過去の不具合やトラブルを整理し、部品形状や製品構造に設計段階から製造サイドの要望を提案します。各図面検討において、設計上ミスや生産上問題になりそうな所を摘出し修正及び要望を行います。

②:決められた条件を守れば、良いモノができる「設備・工程編成」

生産技術部門が主体となり、作業導線、部品配置、設備配置、物流を含めた全体レイアウトを検討する。過去のトラブルや不具合を考慮し、次期設備への不具合流出防止のメカ的対策織込みや部品のセット順、セット方向、セット高さ、流し方向等の内容をまとめ設備仕様を検討する。

③:4Mを決められた通りに「維持・管理(日常管理)」

製造部門が主体となり、狙い通りの製品やサービスを提供するために、工程の維持・改善のために行う作業の標準化、製造プロセス、作業方法、工程内条件、品質確認、設備保全等を定めて仕事にあたることです。その管理基準項目や、異常発生時の処置方法など定めたり、不具合発生した時の問題解決と再発防止なども含まれます。製造部門の役割である日常管理は、大きく分類すると下記の2つの要素に分けられます。

【③-1:自工程完結(不良を造らない流さない)】設備や作業に異常があったら異常を早期検知し、不良になる前段階で処置し不具合製品を造らない。そして、適正な検査で不具合を流出させないようにする。

【③-2:変化点管理】変化点とは、製造工程でバラツキを生じさせる原因である4M(Man人・Machine設備・Method作業方法・Material物)が変化する時を言う。事前に分かっている項目(既知項目)と突発する項目(突発項目)に分類し、対応方法を設定し管理することを変化点管理という。

自工程完結(不良を造らない流さない)

自工程完結させるための3つの要件の明確化

①:設計要件

  • 不具合品が造れない構造であること
  • 作業者に良否が判る構造であること
  • 作業がやり易い構造であること

②:生技要件

  • 製造条件が明確で工程能力があること
  • 誤欠品、工程飛び等が発生しない工程設計であること
  • 不具合品を作った時など自動的に設備が止まる構造であること
  • 設備のメンテナンス基準が明確であること 

③:製造要件(日常管理するための4Mにまつわる要件)

  • 人:担当作業と製品の良否判定の判断できる
  • 設備:生技要件と同じ
  • 物:部品の精度が確保されていること
  • 作業方法:作業標準があること

ここで重要なポイントは「全ての作業点、加工点について要件を明確にする」ことです。要件が不明確だと、管理項目も不明確になり、結果オーライの管理になってしまいます。自工程完結とは、良品を造れ不良品を作っても止まるという要件を徹底して追求していくことです。例えば、1つの機械で、あら加工、仕上げ加工という2つの加工点がある場合は、各々の要件を洗い出すということです。

自工程完結の基本的な考え方

現状の仕組みの中で最も良い品質の製品を造るための自工程要件は、できる限りより源流に近い設計・生産技術側で対処することがあるべき姿です。一昔前のように設計・生産技術・製造が、部門ごとに独立して「品質の造り込み」を行っていく訳ではありません。

「ミスしたくてもミスできないように改善する」

作業者は人間ですから、体調悪かったり、集中力が切れたりで必ずミスをします。これはどうしようもない不可避の事実です。作業者がミスをする可能性を極力少なくするため、設計構造,工程設備設計に造り易さの観点で、製造の要求を織り込むことが非常に重要です。つまり、誰にでも分かりやすくシンプルであるということが重要なのです。

未然防止活動として、生製準段階は勿論、量産段階での改善活動においても、常に自部署の前工程である設計部門・生産技術部門に対して、品質を造り込むための改善要求をすることが非常に重要です。例えば、色表示や識別マークを付けたり、部品を正しい方向しかセットできないようにしたり、アラームを鳴らしたりなど、より源流に近い設計部門・生産技術部門に対して、しっかりと物言いできるようにならなければなりません。生製準で「構造上できないから仕方がない」と諦めて設計や生産技術の言いなりになるのではなく、「できないなら受け入れない」という考え方への転換が必要です。

しかし、いくら要望を出したとしても設計・生産技術要件は、必ずしも製造部門が最も造り易いといった状況にならない場合が、多々あります。例えば、部品の種類が1種類であれば誤品は起きません。しかし、顧客ニーズや要求も様々あり、部品を1種類に出来ない場合が多くあります。 

このように、品質の造り込みという観点で設計・生産技術部門と検討した結果、設計上や生産技術上の条件として、製造部門として受け入れざるを得ない状況下に置かれることの方が多いです。この場合、製造部門が納得した場合は、それをカバーする製造要件を明確にし、ミスしたくてもミスできないような仕組みに改善することを確実に織り込む必要があります。

管理項目を選定する

自工程完結のための要件と管理項目がごっちゃになって、同じだと勘違いされている企業もあります。自工程完結のための要件とは、全ての作業点、加工点について要件を明確にすることです。管理項目とは、要件の中で、変化や劣化していくものについて監視し、正常な状態か確認していくことです。

ただ、自工程完結のための要件、管理項目が明確になったとしても工程能力が不足していると、ある確率で品質不良が発生する事があります。 また、重要特性の様に、一件でも市場に流出させてはいけないものは、ヒューマンエラーを考慮する必要があります。このような場合、工場外げの流出防止のため、QCMSやQAネットワーク等で保証の網を整備し、不良品が流出しないようにする事が重要となります。

※QCMSとは、、、品質のサプライチェーンのことで、仕入先~工場までのスルー保証度を見て、連鎖的に品質特性が保証されていることを、関所を設け検証し改善するしくみ。

※QAネットワークとは、、、製造現場で「品質保証の網」を張り、不良品を工程内でどのように捕まえているかについて、その製品を製造する工程との関連をマトリックス表で作成し、保証項目に対する工程での保証レベルを発生防止・流出防止の両面から抽出し評価するもの。これにより、工程の弱点を見出し、管理の充実や工程改善に結びつけることで、不良品を造らない・流さない工夫を行い、不良品が社外へ流出することを未然に防ぐ。

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