QC工程表とは、何か?

QC工程表とは、何か?

QC工程表とは、管理者と技術者が主として使う技術資料で、量産時に品質のバラツキを極力少なくするための品質保証プログラムを表したものであり、品質管理するための工程を表す一覧表でもあります。品質保証のプログラム設定、あるいは品質保証の可否の検討などに使われます。

製品が完成するまで、どのような生産工程を経て、どのような製造条件をコントロールしているか?各工程でどのような品質特性をチェックしているか?を書き表したものです。

生産現場でQC工程表がなければ、どの工程で品質不良が発生したのか?どのようにすれば品質保証できるのか?が、簡単にできません。QC工程表がないと、数百枚からなる作業標準書を全て調べる必要がありますし、その作業標準書もなければ何が正しいのかも見失うことになる可能性があります。これでは問題解決まで時間がかかりすぎますし、市場への不具合流出の恐れもあります。

 

QC工程表に欠かせない標準化

企業の目的を果たすためには、組織を効果的・効率的に運営する必要があります。その組織運営に欠かせないのが、企業内ルールを決めて守るという「標準化」です。

標準化とは「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」とされています。

日本工業標準調査会より引用

つまり、標準化とは、製品・サービスの品質・質をバラツキを少なく一定レベル以上にする方法です。標準化しなければ、仕事を行う時や人の違いにより、製品精度のバラツキが大きくなり、時間やコストなどのムダが生じてしまいます。

品質管理(QC)の歴史

品質管理の歴史は、第二次世界大戦後の1951年、統計的手法を用いた品質管理の提唱者であるアメリカの統計学者デミング博士が、日本に来日して「品質管理セミナー」を開催しました。それが日本における品質管理の始まりと言われています。

デミング博士は、統計的品質管理の父とも言われるウィリアム・シューハートと共に、PDCAサイクル(Plan:計画・Do:実行・Check:評価・Act:改善)の4つを繰り返すことで、事業を継続的に改善していくことを提唱しました。

また、それまで完成品を全品検査していた品質管理を、製造工程を視覚的に監視する統計的制御プロセス(SPC)により、第二次世界大戦中の日本やアメリカの製造業の生産力向上に寄与しました。統計的制御プロセスとは、製造工程で少数の標本を頻繁に採取・検査することで製品の品質を維持する品質管理の手法。

デミング博士は、企業が永続的に発展するための品質管理に関する企業活動を以下の4つの段階で示しました。

  1. サービス・調査研究:顧客ニーズや要求を調査・研究
  2. 設計:顧客の要求を満足させる製品設計
  3. 製造:設計どおりの製造
  4. 検査・販売:製品を顧客に販売

この4つのサイクルを絶えず回すことの重要性を強調しました。そして、コンサルタントであり統計学者でもあるデミング博士は、ビジネス効率を向上させるためのマネジメントの14の原則を提示しています。

●【デミングの14のポイント】(※Wikipediaより引用)

  1. 競争力を保つため、製品やサービスの向上を常に心がける環境を作る。最高経営者がその責任者を決める。
  2. 新しい哲学を採用する。我々は新たな経済時代にいる。遅延、間違い、材料の欠陥、作業の欠陥などの一般常識となっている水準には満足できない。
  3. 全品検査への依存を止める。品質は統計的手法で向上させる(完成後に欠陥を見つけるのではなく、欠陥を防止せよ)。
  4. 価格だけに基づいて業者を選定することを止める。価格と品質によって選定する。統計的手法に基づく品質保証のできない業者は排除していく。
  5. 問題を見逃さない。全体(設計、受け入れ材料、製造、保守、改良、トレーニング、監視、再教育)を継続的に向上させるのがマネジメントの役割である。
  6. OJT(企業内教育)の手法を導入する。
  7. 職場のリーダーは単に数値ではなく品質で評価せよ。それによって自動的に生産性も向上する。マネジメントは、職場のリーダーから様々な障害(固有の欠陥、保守不足の機械、貧弱なツール、あいまいな作業定義など)について報告を受けたら、迅速に対応できるよう準備しておかなければならない。
  8. 社員全員が会社のために効果的に作業できるよう、不安を取り除く。
  9. 部門間の障壁を取り除く。研究、設計、販売、製造の各部門の人々は様々な問題に一丸となって対応しなければならない。
  10. 数値目標を排除する。新たな手法も提供せずに生産性の向上だけをノルマとしない。
  11. 数値割り当てを規定する作業標準を排除する。
  12. 時間給作業員から技量のプライドを奪わない。とりわけ年次・長所によって評価することや目標による管理は廃止する。
  13. 強健な教育プログラムを実施する。
  14. 最高経営陣の中で、上記13ポイントを徹底させる構造を構築する。

QC工程表は、なぜ必要か?

QC工程表が、なぜ必要なのか?

  1. 品質保証プログラムを示す表は他にない
    QC工程表は、品質保証プログラムを一覧表で表すことができるという点で唯一のモノです。他に一覧をまとめて確認できる資料はありません。
  2. 不良発生時の原因究明の調査に役立つ
    品質不良の問題が発生したとき、その原因調査するのにQC工程表が一番役に立ちます。
    生産プロセスが一覧となっているため、原因がどこなのか?検討を付けるのが早いためです。
  3. 作業改善がやりやすくなる
    企業は生き残りをかけ作業改善を通し、品質向上やコストダウンに取り組み続けなければなりません。どの工程、どの作業を改善すべきかは、QC工程表にある作業記録により、不具合率の高い工程やタクトタイムに間に合わない工程を発見することができます。
  4. 生産現場の監督者が管理するときに活用
    現場の管理監督者の役割は、作業員に怪我なく、設計の狙い品質を計画通りに生産することです。QC工程表には、各工程に必要な生産設備や検査設備が規定しているので、管理監督者には必要な資料です。
  5. 得意先へ根拠ある品質保証プログラムの説明資料
    最近は、どの企業も不良品は購入したくないため、元請け企業の品質意識が向上しており、下請けメーカーや協力メーカーなどに対する要求品質のレベルも向上しています。
    そのため、QC工程表の提出を求めてくる場合もあり、品質の信頼を獲得するために必要な資料となっています。
  6. 新人作業者に対する説明資料になる
    新人作業員の教育のために作業を教える前に、全体の生産プロセスを把握した上で、自分が製品の何を造っているのか?を明確にすべきです。
    そのときに役立つのがQC工程表になります。
  7. QC工程表は作業標準書の目次の役目
    QC工程表には、どの工程で、どの作業標準書を適用するか?を明記しているしているため、わざわざ別で作業標準書の目次を作る必要はありません。
  8. 納期短縮・コストダウンへの改善に必要な資料
    QC工程表には、生産プロセスにおける各工程のステップが明記されているため、何が無駄になっているのか?が分かりやすくなっています。
  9. ISO9000「品質計画書」の文書として必要
    ISO9000シリーズ(品質保証のための国際規格)には、要求事項として品質計画書があり、組織の計画の実行に適した様式とされています。これは、製造プロセスの全体を明確にした業務フロー(品質保証体系図)、QC工程表、作業指示書等が該当します。

QC工程表がないと、どうなる?

  1. 品質保証の計画を体系的に表すことができなくなる
    QC工程表は、品質保証プログラムを表したものであり、品質管理するための工程を表す一覧表でもあります。そのQC工程表がないと品質保証を表すことができません。
  2. 生産プロセスにおける各工程のステップが分からない
    QC工程表がないと、どのような生産プロセスで製造しているのか?が見えません。ですので、製品が完成するまでの各工程のステップが分からないのです。
  3. 各工程における管理項目と管理方法が分からない
    QC工程表がないと、工程で何をどのように管理すればいいのか?が分かりません。個人差が大きく出てしまい製品精度のバラツキに繋がります。
  4. 各工程における保証する品質特性が分からない
    QC工程表がないと、保証すべき品質に重要な影響を及ぼす要素(品質特性)が明確になりません。何を保証すればいいか分からないと品質保証はできません。
  5. 各工程における作業標準が分からない
    QC工程表がないと、製品の品質が保証できる製造方法の標準が分かりません。誰がやっても信頼できる製品が造れないということです。
  6. 各工程で使用する設備や測定機器が分からない
    QC工程表がないと、製品の品質が保証できる製造設備や管理するための測定機器が分かりません。どのような設備で造るのか?どんな精度管理をするのか?が明確になりません。
  7. 作業者がどの程度の技能やどんな技術が必要なのか分からない
    QC工程表がないと、作業者に求める技能レベルが分かりません。また、どのような技術を求めるのかも分かりません。
  8. 不良発生時の原因究明に時間がかかりすぎる
    QC工程表がないと、どこが不良の原因なのか?を掴むまでに時間がかかり過ぎてしまいます。不良品を作り続けてしまうことにもお繋がりますし、流出してしまう可能性もあります。また、間違った改善をしてしまうことにもなりかねません。
  9. 作業標準だけでは、工程や作業改善の重点ポイントを絞りにくい
    QC工程表がないと、どのように品質保証させているのか?全体像も分かりません。ですので、工程改善や作業改善するときに、重要なポイントを物がしてしまうことにも繋がってしまいます。
  10. 得意先から品質保証状況を求められても納得できる回答ができない
    QC工程表がないと、得意先の企業が納得できる根拠ある品質保証の状況を説明することができません。特に相手が大手企業となると、なぜ品質保証できるといえるのか?という問いに答えられないと関係性を続けるのは難しいと思われます。

まとめ

品質保証のプログラムを表すのはQC工程表しかありません。1つの製品の原材料・部品の購入から完成品として出荷されるまでの工程での、管理特性や管理方法を生産プロセスに沿って記載した表になります。 各工程で品質保証するために、どのような製造条件を管理しているか?どのような品質特性を誰がいつ、どこで確認しているか?管理点を表したものです。

このQC工程表には、製品製造における品質保証プログラム情報が全て掲載されています。このQC工程表がないと、品質保証もできませんし、品質不良も根本的な原因が分からないまま、慢性不具合に変わっているかもしれません。ですので、品質不良が発生しているのであれば、QC工程表を活用して、根本的な改善に繋げていきましょう。

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