作業改善のための標準作業の作成方法

標準作業と改善について

標準作業とは?

標準作業は、よい品質の製品を安く造るために必要な道具の一つです。標準作業は無駄のない作業手順で、繰り返し同じ条件で作業できるように構成されています。しかも生産必要数を平準化して造っていくように時間的にも考慮されています。標準作業を遵守して生産することは、製品の造り過ぎを抑制し、作業動作の無駄を排除することに繋がります。

しかし、作業自体がある程度、安定していないと標準化することは難しく、仮に標準を決めたとしても守れない標準になってしまいます。標準作業が不安定だと、作業順序や作業時間のバラツキなどで標準通りにできないことになります。

「標準のないところに改善なし!」と言われるように、作業手順や時間、作業方法など、作業標準がなければ改善できないだけでなく、改善結果の判定もできません。特に平準化生産を前提としてジャスト・イン・タイム生産を行っていくには、全体最適しなければ、各工程が個別にどれだけ頑張ってもバラバラに改善を進めたら、偏った改善結果になり、全体最適化できてないという結果になります。そこで、各工程だけの効率化を考えるのではなく、工程全体の流れを考えて全体で効果を発揮できるように進めることが重要です。

そして、この標準作業は固定的なものではなく、改善されることが前提の標準作業です。標準作業が改定されるたびに改善がおこなわれたことを意味します。

標準作業の条件とは?

標準作業は効率よく生産性を高めるための条件を考慮して、人と機械を最も有効に組み合わせるものです。ですので、標準作業を作る際は「人の動きを中心に考え、繰り返し行う作業であること」を考えることが重要です。標準作業とは、機械に合わせたものではなく、人を中心としたものでなければなりません。機械の性能には、スピードが速い遅いものがあり、バラバラでバラツキがあります。機械性能に縛られて人の動きを無視してはなりません。人の動きを中心にして標準作業を作りましょう。

また、標準作業は毎回作業の手順が異なる作業や動作にバラツキがある作業、1回で終わる単品作成作業などは、標準作業を組んでも全く意味はありません。動作にバラツキが大きかったり手順が異なる場合は、改善をしても意味がありません。効果の判定できませんので、標準作業は繰り返し作業でなければ意味がないのです。

標準作業に必要な3つの要素

標準作業を構成する3つの要素は以下の要素になります。

  1. 「タクトタイム」
    タクトタイムとは、顧客から要求された品物を1つ造るのに必要となる時間のことを言います。製品を1個作るのに何分何秒で作らなければならないか?という時間で。必要生産数と稼働時間によって決まります。タクトタイムが決まると、1サイクルの時間で仕事ができる一人当たりの作業量を決めていきます。
  2. 「作業順序」
    作業順序とは、作業者がモノを加工する時に、材料から製品へと加工度を上げていく過程で、モノを運び機械に取り付け外したりして、時間の流れと共に変化していく作業者の順序のことを言います。この作業順序が明確に決まっていないと、各人好き勝手な手順で作業してしまい、製品のバラツキが発生してしまう要因になります。また欠品や品質不具合に直結しますし、機械の破損などでも生産の流れを止めてしまうことにもなります。作業順序を決める場合は、工程別能力表で各工程の加工能力を測定し、標準作業組み合わせ表で作業組み合わせを決めていきます。
  3. 「標準手持ち」
    標準手持ちとは、作業上、同じ手順で作業が行えるように、最低限必要な工程内の仕掛品の個数を指します。標準手持ちは、工程内で機械に取り付いたモノや治具付きコンベア上のモノなどです。

標準作業に必要な6つの帳票類

  1. 「工程別能力表」
    工程別能力表とは、部品毎にその工程・機械・検査・手作業などの加工能力を表すモノで、手作業時間、機械の自動送り時間及び刃具交換時間等を記入し、工程の能力を算出するための表のことを言います。また、工程別能力表は改善するための手掛かりとして、工程の中でネックとなる機械や手作業を明確にするために使われます。
  2. 「標準作業組み合わせ表」
    標準作業組合せ表とは、標準作業を実践するにあたり、タクトタイムを基準とし、タクトタイム内での人と機械の仕事の時間的配分や作業手順を決めるまめの道具として用いるモノです。人と機械の仕事の時間的経過を視覚的に、目で見えることができるようになっています。各個人の作業負荷や新人作業者の問題点を明確にするために役立ちます。
  3. 「標準作業指導書」
    標準作業指導書とは、作業をする人が各工程の作業者に対し、標準作業に従って的確に作業が行えるように、そのやり方・注意点を明記した作業指導の基準となるものことをいいます 。この標準作業指導書には、工程別能力表や標準作業組み合わせ表などに基づいて、決められた一人分の作業内容と安全や品質などの造り込み内容を作業手順に従って、明文化した標準書です。
  4. 「標準作業票」
    標準作業票とは、一人当たりの作業範囲を示したモノで、機械配置やタクトタイム、標準手持ちなどについての必要事項を用紙に記入し工程に掲示します。管理者が生産工程の作業状態を管理するための道具の一つであり、潜在化している問題点をっけんするのに役立てる道具でもあります。
  5. 「標準作業と作業標準の違い」
    標準作業と作業標準は、似たような言葉で違いが分かりずらいと思いますので、ご説明します。作業標準は、タクトタイム・作業順序・標準手持ちの三要素から構成されています。全体工程のプロセスの中で、原価低減・工数低減・品質向上・安全性の向上をフルに発揮するためです。作業標準は、標準作業を行うための標準の総称です。必要な品質を造り込むための作業上の管理条件や作業方法を規定しているモノです。例えば、QC工程表・品質チェック表・保全点検表などです。
  6. 「標準作業と監督者」
    標準作業や作業標準が素晴らしいモノでも、守らなければ全く意味がないお飾りになってしまいます。標準作業や作業標準が守られないと、工程は安定せず目標とする品質は満足できないままです。高品質の製品を造り込むには、必ず標準作業や作業標準を遵守せねばなりません。特に現場の監督者は、作業者に対して徹底的な指導を行うことが求められます。

標準作業の代わりに用いる4つの資料

  1. 「工程フローチャート」
    工程フローチャートとは、原材料や部品を加工して製品が出来上がるまでのステップをフローチャートに表したものです。流れを図に示して、作業する手順や工程などを分かり易く表現したものです。多品種少量生産や個別受注生産の場合は、作業標準を作成しないで、工程フローチャートを作れば作業標準として十分に役に立ちます。技術的なノウハウ資料として保存することができます。
  2. 「図面・仕様書」
    図面とは、構造・工程を細かく示した図のことをいいます。部品工業の場合は、部品や製品の完成状態を、寸法・形状・構造などにより製作図面として表します。装置工業で加工が簡単な場合は、製品仕様図が作業標準書の代わりとして使える場合があります。
  3. 「部品表」
    部品表(BOM)とは、製造業で用いられる部品表の一形態で、製品を組み立てる時の部品の一覧と、場合によっては階層構造を表します。また部品表は、組み立て作業の標準書として使える場合があります。
  4. 「M-Mチャート」
    M-Mチャートとは、人作業と機械動作を分析するための図表のことで、装置を王佐する作業において、装置と作業者との時間的関係を表したものを言います。人作業、機械動作の改善を施すことで1台のみ担当していた人が複数台担当可能になる方法などの改善が図れる。

標準作業で行う2つの改善

標準作業は、高品質の製品を安全に安く造るための一つの手段であります。それは生産プロセスの無駄を省き、現状考えられる最高の作業条件で構成されているからです。その作業標準が基準となり、正しい改善が可能になります。つまり標準作業は、作業を改善するためにあり、以下のような点を主に行います。

  1. 「品質向上とバラツキの安定」
    品質を確保するために、どのように取り組み、改善していくか?が重要です。ここが現場技術としての知恵の出しどころでもあります。品質は工程で造り込むため、良品100%の造り込みのためには、生産の作業の原点である標準作業に必ず品質を考慮して作成する必要があります。品質不良は早期に発見することが重要で、自工程完結で品質不良も自工程で止められれば、原因や真因が容易に把握することができ、再発防止の対策を取ることができます。良品100%の品質を造り込む自工程完結を達成するためには、加工から検査までの時間短縮が重要です。標準作業は、同じ条件で反復作業をするので品質不良の発見は容易になります。改善が継続的に行われている場合は、常に作業条件が変化しているということですので、品質チェックは特に重要です。
  2. 「安全作業の徹底と作業性の向上」
    安全は作業の入り口であると言われるように、安全に作業できるからこそ、高品質の製品を造り込むことが可能になります。当然のこととして、標準作業の中にも安全は考慮されています。製造現場における災害や怪我の多くは、異常処置のような例外的な作業などの時に発生しています。また、標準作業に従って行う作業で発生している怪我は、作業のやりにくさによる無理な姿勢が原因となっています。標準作業を作る上で、作業のやりにくさや無理のある姿勢などは避けるようにして作成しなければなりません。そのためにも現場での現地現物で、自分が体験した上で作る必要があります。

まとめ

標準作業は効率よく生産性を高めるための条件を考慮して、人と機械を最も有効に組み合わせるものです。個別の工程や機械の生産効率を高めるものではなく、全体最適するために必要な道具になります。

また、標準作業と作業標準の違いも理解いただけたでしょうか?似たような言葉ですが、意味としては全く違うことが理解できたと思います。

同じ製品を繰り返し造る製造工場にとって、効率よく生産性を高めるためには、標準作業は絶対に必要なものですので、しっかりと造り混んでいただきたいと思います。

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