品質改善のための作業改善の進め方

品質を高める作業改善と設備改善

改善を進める場合、作業改善と設備改善の二つがあります。作業改善は、作業上のルールを決めたり、モノの配置うあ置き場を明治したり、作業動作の改善などであり、標準作業を原点として考えます。一方、設備改善は、装置を導入したり自動化したりする改善であり、大きな費用がかかる改善になります。改善を推進する場合の順序としては、まず作業改善を徹底的に取り組んで改善を行い、その後設備改善に取り組むべきであると考えます。

例えば、生産が追いつかず増産体制に入る時、現状の設備と人では対応できない場合など、作業改善だけでなく設備改善も同時に行わなければならない場合が有ります。しかし、そのような設備改善を行う場合でも、作業改善が最優先であることは変わりません。

設備改善を行うにしても、いきなり大改善を行うのではなく、作業改善を展開していく段階で、必要に応じて治具を改良したりなど、作業改善の補助的手段として設備改善を行わないと、大きな費用をかけた割には結果に結びつかないことになります。

作業改善7つの手順

改善を行う場合、必ず手順を踏んで行わないと、成果が出ずに失敗に終わったり恐れがあるため、必ず手順に沿って行うようにしましょう。

手順①:改善が必要なポイント発見(目的の明確化)

改善点を見つけるということは、自分の仕事の問題点を明確にすることになります。例えば、生産・原価・品質・安全などについての問題です。その中で、何が一番の問題なのかを知ることが改善の第一歩になります。そして、改善すべき点を掴み、目標設定したら現状分析を行います。潜在している問題を掘り起こすには、生産のリードタイムや人と機械の仕事、4Sと物の置き方などを通して、問題を見つけていきます。

手順②:現状把握(事実を掴む)

改善の成功のカギを握るのは、どれだけ正確に現状把握できるか?ということにあります。現状を十分に分析もしないで、推測だけで進めるのは危険すぎます。改善を始める時は、データーだけでなく、実際の現場を現地現物で確認することが重要なポイントです。品質管理でも必ず事実を掴むために、現地現物でデータと突き合わせながら事実を確認する(ファクトコントロール)ことは鉄則です。現状を正確に掴むには、さまざまな分析手法があります。工程全体を知るためには、工程分析。工程と工程の関係性を知るためには、流れ分析。工程の作業を知るためには、要素作業分析。人の動作を細かく知るためには、動作分析。配置経路を知るためにあh、経路分析などがあります。

  • 「表準作業」
    そして改善を行う上で、現在行っている作業を正確に事実をありのままに記録をしますが、それを表準作業といいます。この表準作業とは、作業順序や標準手持ち、機械配置、作業の進め方などを定量的に記録します。表準作業組み合わせ表や表準作業表などをで実際の現場の把握を行い、問題点の整理を行います。それにより、改善すべき点がどこにあるのか?どの程度の問題なのか?が明確になります。
  • 「要素作業分析」
    作業者の作業の要素を分析し、作業のやり方について改善するものです。まずは、その作業を要素作業単位に分解し、5W1Hで要素毎に急所となることを洗い出し、改善アイデアを出していきます。

手順③:着想を得る3つのアイデアの出し方

良いアイデア・面白いアイデアを得るには、そのアイデアについて善し悪しの判断を加えないことがポイントです。アイデアを出すことと判断することは完全に別モノであるので、一緒にしないことです。多くの場合、先入観や固定観念、世の中の常識、事なかれ主義、習慣、トラウマなどにより、アイデアが潰されたりしてしまいます。改善というものは、脱常識です。

①:チェックリスト法(オズボーンの法則)

  • 転用:不良品や廃棄物を他に使用できないか?など。
  • 借用:類似するものはないか?など
  • 変更:形を変えてみてはどうか?など。
  • 拡大:大きくしてみてはどうか?など。
  • 縮小:小さくしてみてはどうか?など。
  • 代用:材料を他に変えられないか?など。
  • 入替:順序を入れ替えてみてはどうか?など。
  • 逆用:上下左右を反対にしてみてはどうか?など。
  • 結合:要素を結合してみてはどうか?など。

②:動作経済の原則

「身体部位の使用についての原則」

  • 両手は同時に反対、対称方向に動かす
  • 身体の運動部分を小さくする
  • 軽作業は、上腕や肩の運動より手や前腕運動の方が良い
  • 急激な運動を避け、動作を拘束制限せず自由にする
  • 不自然な姿勢や重心を上下動する動作を避ける
  • 動作の順序は適正にリズムよく
  • できる限り注意力を少なくさせる動作にする

「配置や設備についての原則」

  • 工具や材料は定位置に置く
  • 工具や材料は作業者の前面近くに置く
  • モノの移動は水平移動にする
  • モノの移動には重力を使う
  • 材料や工具は、動作に最も都合の良い位置に置く
  • 作業高さは、作業員の身長に合わせる
  • 作業の性質に合わせた、照明を取り入れる

「道具についての原則」

  • 手で材料や器具を保持するのは避ける
  • 汎用式の道具を使わず、専用式の道具を用いる
  • 2つ以上の道具はできる限り組み合わせる

③:ブレイン・ストーミング

ブレイン・ストーミングとは、直訳すれば頭の嵐などと言えますが、元々の意味は精神病患者の錯乱状態を指し、転じて集団でアイデアを得る方法を言います。分かりやすく言うとアイデア会議でしょうか。一人でアイデアを出すよりも集団でアイデアを出した方が、連想の相互刺激作用と競争による刺激作用が働くため、面白いアイデアが出てきます。

手順④:アイデアや着想を得る(事実について考える)

改善の目標を明確にして、問題がなぜ問題なのか?を明確にしていけば、問題点が顕在化してきます。顕在化した問題は、問題と問題の因果関係や重要度などを考慮することも大切なポイントです。問題点の原因を追求する場合、重要なポイントは現地現物での徹底観察です。過去の知識と経験だけで問題の原因を決めつけてしまうと、根本原因ではなく異なったところに根本問題があるということがあります。人間誰でも経験豊富になってくると、先入観を持って物事に対しがちになります。問題点の正しい原因を掴むには、先入観を持たず頭を白紙の状態にして観察することが重要です。また、問題の根本原因は、表面的に見える現象の背後に隠れているものですので、もう一歩踏み込んで観察を続けることが重要です。

事実について考え原因を追求する場合、「5回のなぜ?」を活用することをオススメします。問題発生に関して、真の原因を掴み、再発防止を行うことが重要だからです。通常行われる一回の形式的な、なぜ?だけでは、表面的な原因しか掴めず、応急処置的な対策だけに終わってしまうためです。事実の背景にある真因を見つけるためには、なぜ?なぜ?なぜ?と5回繰り返すことが必要なのです。

問題の原因を追求する際に基準となるものは、標準作業になります。なぜ、この標準作業をベースとなるのか?というと、まず同じ条件で作業を繰り返すことが原因追求の条件になります。作業を繰り返すということは再現性のあるやり方ですので、問題が発生しても原因追求がやりやすいためです。毎回作業が違う作り方だと、原因の追求は非常に困難になります。また、時間が経てば経つほど、原因追求は困難になっていきますので、加工直後に検査で発見できる仕組み作りが必要になります。大ロットでの生産を行うと、ロット内での選別も非常に困難になって来ますので、小ロットでの生産が条件になってきます。ベストは一個流しの生産が原因追求だけでなく、生産のリードタイムも短縮できます。

問題点は層別することによって、より理解しやすくなります。製造現場で層別するとすれば、生産の4つの要素である4M「Man(作業者)・Machine(機械設備)・Material(原材料)・Method(作業方法)」に分けられます。問題が起きた際に問題の性質に応じて、この4Mを掘り下げることによって、具体的な原因追求がやり易くなるだけでなく、問題の相互関係も分かり易くなります。

手順⑤:改善案の作成(改善案の立案)

問題点が明確になると、今度は改善の段階に入ります。改善案を作成する上で重要なポイントは、「目的は一つでも手段は数多くある」ということです。まずは多くのアイデアを出し、その後判断するというやり方が良いと思います。改善のやり方には、排除・組合せ変更・好適化・標準化・同期化・自動化があります。

  • 「排除」
    「その仕事は何のためにやるのか?目的は何か?」ということを徹底的に追求していくことで、本当に価値がある仕事なのかを確認していく手法です。今までは、人が次の工程まで運んでいた製品を工程間にシューターを設置することで、運ぶ作業が排除できたなど。
  • 「組合せ変更」
    こちらは排除できない作業を「どんな方法で行ったらよいか?」ということに重点を置き、シンプルで簡単な方法に置き換える手法です。分離や結合することで組合せの変更を行います。
  • 「好適化」
    好適化とは、仕事をやり易くすることや機械設備の能力を効率よく活用するなど。例えば、不要な歩行距離の短縮や能力のさらなる活用、疲労度の減少の改善のために行う方法のことです。
  • 「標準化」
    「標準のない所に改善はない」と言われるように、基準となる標準がないと、現場が良いのか?悪いのか?それすら分かりません。標準がないと、作業速度や作業手順、作業のやり方、使用する工具がバラバラでは、作業のバラツキだけでなく、製品精度のバラツキに繋がり、品質・原価・リードタイム・安全にも大きく影響してしまいます。誰がやっても同じ条件で作業ができることで、バラツキも少ない製品が初めてできます。
  • 「同期化」
    同期化とは、連続した複数の作業や工程での生産タイミングを合わせ能力のバランスをとることで平準化を行い、円滑に生産が進むようにすることです。逆に同期化を行わないと、各工程間に在庫が増えたり、作業の手待ちが増えたりすることで、原価が高くなってしまいます。
  • 「自動化」
    自動化とは、人間の行う動作を機械に置き換えることです。ただ、単に人の仕事を機械に置き換えるのではなく、どれだけ原価低減できるか?どれだけ効率化できるか?という点で判断しなければなりません。また自動化や機械化する場合、費用が相当な額が必要になります。投資額に対し、利益や原価低減はどの程度になるのか?を考えて導入することが重要です。さらには、自動化で設備を導入する前に作業改善を優先して行わなければなりません。

手順⑥:実施する(実行)

改善案がまとめれば、その改善案を実行する段階に入ります。ここで重要なのは、関係者への理解活動と作業者の訓練です。改善効果を最大限に高めるためには、多くの人の協力が必要です。関係者の協力を得られなければ、上手くいくはずの改善も上手くいきません。

普通の改善も多くの協力を得られることによって、より効果の高い改善アイデアが生まれることもよくあります。さらには、実際に作業を行う作業者の作業訓練もしっかりと行わなければ、正しい改善効果も得られることはできません。改善効果を出すためにもしっかりと教育・訓練を行うことが必要です。

手順⑦:確認する(確かめる)

改善効果の確認や評価をする場合、注意しなければならないのが、性急に評価を結論付けてはならないということです。どのような改善でも成熟させる必要があり、ある程度の期間が必要だということです。作業者の技能は、練習によって高められますので、例えば作業手順の改善を行った場合、改善後の新しいやり方よりも、やり慣れている前のやり方の方がやりやすいはずです。

ある程度成熟して、評価をするべきだと思います。改善した結果を評価する場合、感覚的なフィーリングや定性的な評価では望ましいとは言えません。重要なことは初めに設定した目標に対して、改善実績はどうなのか?ということです。どの程度、品質向上や原価低減に繋がったのか?ということです。

まとめ

人間の知恵やアイデアは、限りないものです。現状を維持することは、将来的に見れば後退しているのと同じことです。常に、他より一歩先んずるという姿勢を忘れずに、日々改善するということが重要になります。

企業は、利益を確保するために、原価低減や品質向上などを図ります。利益あっての企業です。そのために原価低減を行いながら、より良い品質を造り込む必要があります。

人間の無限の知恵を有効に活用することで、原価低減・品質向上だけでなく、アイデア商品の発明などにも繋がります

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