本日は『品質管理の考え方「データ」』をお伝えしていきたいと思います。
データとは?
データとは、物事の推論の基礎となる事実。また、参考となる資料・情報のこと。
品質管理を行う上で、事実に基づく客観的な判断(ファクトコントロール)が重要です。過去の経験や勘だけに頼らずに、客観的な事実を示すデータを取得・整理して、その情報を基に判断を行うためです。
例え、生産の4M(人・機械・材料・方法)を同じ条件で行ったつもりであったも、そのプロセスには様々な変化点(要因)があり、必ず製品はバラツキます。そのデータを上手く整理することで、何かしらの規則性を発見できますので、データのバラツキに惑わされることなく事実を掴むことができます。
統計的品質管理(SQC)には必要不可欠な”データ”
統計的品質管理とは?
品質管理を行っていく上で、収集したデータの傾向や性質を数量的に把握するために、統計的手法を用いてデータの収集や解析を行い、基準や標準を決定していく活動を、統計的品質管理(Statistical Quality Control:SQC)といいます。
全ての製品からデータを取ることは非効率ですので、サンプルから母集団を推測できる手段が統計解析であり、この統計解析を使って品質管理を行うことから統計的品質管理といいます。
統計学に裏付けられた、データの収集方法および解析手法を活用して、勘やコツ、過去の経験だけに頼らない事実を客観的に判断(ファクトコントロール)して、品質管理を進めていくことが重要です。
統計的品質管理の目的
統計的品質管理(SQC)は、統計学の専門家ではなく、現場で働く作業者でも解析できるように、なるべく簡単な手法(QC手法など)を用いて問題を分析することを目的としています。
例えば、QC七つ道具は、現象を数値的・定量的に分析するための技法で、可視化することで、誰でもすぐに問題点を理解でき、説明を容易にできます。それに対し、新QC七つ道具は、定性的な分析するための技法で、問題の構造を早期に明らかにするのが目的です。
そしてSQCは、上記のような簡単な手法だけではなく、技術的に高度な問題に対しては、実験計画法や多変量解析なども応用されることがよく用いられます。
データの種類
品質管理では、解析に必要なデータを採ることで、データのバラツキ具合や傾向を調べます。一般にデータの種類は大きく分けて、以下の2つに分類されます。
- 「計量値データ」:計量した結果を数値で表示したもの。連続的に変化するもので、通常は計って得られるデータのことをいいます。例えば、長さ、重さ、厚さ、温度、強度、成分%、時間など。また、単純計量値(寸法、表面粗さ、長さ、体積、質量、時間、エネルギー)、計量分類値、多計量値などがあります。
- 「計数値データ」:不良品数など数えることで得られるデータ。断続的に変化するもので。通常は数えて得られるデータのこと。例えば、不良個数、不良個所、不良率、生産数、人員など。また、単純計数値(故障回数、不良品数など)、計数分類値、多計数値などがあります。
解析のための正しいデータの取り方
データを取る目的を明確に
取得したデータの結果で何かの判断を行いますし、他のデータと比較することもあります。ですので、データの取り方が曖昧では、データを比較することも、適切な判断を下すこともできなくなります。
データは、私達の判断や行動の基準となるものになりますので、正しいデータで目的が明確なデータでなければいけません。データがとりやすいからといって、無駄にたくさんとったり、自分の都合のよい部分だけのデータを取り出してはいけません。全く意味のない、使えないデータになってしまいます。データを取得する前に、以下の事例のような何のために使うデータなのか?を明確にしておきましょう。
- 「購入材料や部品の管理のため」
他社より購入する原材料・部品・製品などの特性を測定したデータを図面や規格に定められられた特性値と比較して良否を判断に活用するため。 - 「生産工程の管理のため」
生産4M(人・機械・方法・設備)などに起因するさまざまな要因が重なり合って生産工程が常に変動しているため、製品のデータを通じて、生産プロセスにおける各工程の状態を知り工程管理を行うため。
データを取るにあたっての留意事項
①正しいデータであること
- データは私達の判断や行動の基準となるものです。したがって、正しいデータでなければいけません。
- データがとりやすいからといって、たくさんとったり、自分の都合のよい部分だけのデータを取り出してはいけません。
②目的にあったデータであること
- 現状把握のためのデータ
- 解析をつかむためのデータ
- 管理のためのデータ
- 調節するためのデータ
- 良品、不良品を決めるデータ
③何でもデータにしてやろうと思うこと
- 欲しいデータが決まっても、数値化しにくいとか、測定器がないとか、時間がないとか、いろいろ障害が出てくる事があります。
- しかしここでくじけずに「何が何でもデータにする!!」という努力が必要です。
データの素性をはっきりさせておくこと
「このデータがどこの何であったかわからなくなった、、、」とならないように、データの素性をはっきりさせておくことが重要です。(測定の目的、特性値の種類、測定日、測定器、測定者、測定法などをきちんと書いておく)
例えば、1000個の部品の中から5個のデーターを取る場合、部品パレットをよくかき混ぜて上、中、下からランダムにとる。1日に4個データーを取る場合、毎日決まった時間、朝の掛かりから2時間毎にとると思いますが、データの目的や内容がはっきり明確に分かるように、データの素性をはっきりさせておくことが重要です。測定の目的、特性値の種類、測定日、測定器、測定者、測定法などをきちんと書いて記録しておくことが重要です。
従って、次のような点に注意しなければなりません。
- 何を?(What)
- どこで?(Where)
- どのように?(How)
- 誰が?(Who)
- いつ?(When)
- なぜ?(Why)
5w1hを活用して、どのようなデータなのか?を第三者が見てもハッキリ分かるようにしましょう。素性が分からないデータは使えません。無駄なデータ収集にならないように、信頼できるデータを取りましょう。
さらに、欲しいデータが明確でいても、数値化しにくいとか、測定器がないとか、時間がないとか、様々な障害が出てきます。ここでくじけずに、「何が何でもデータにする」というあきらめない努力となんでもデータにするという工夫が必要です。
時系列や工程間でのデータ取得
目的に応じて様々なデータを集めると思います。その中で忘れてならないのが、時系列や工程間でのデータ取得です。工程管理や工程改善を行う場合、生産プロセスにおける工程間変化に応じて適切なアクションを行わなければなりません。そのためには、時間の経過に伴う工程の変化を見極めることが貴重な情報となることが多くあります。
生産プロセスを踏んでいく中で、想定もしていなかった変化をすることがあります。その時に完成品だけを解析しても、どの工程のどの作業で変化を起こしたのか?を掴むことはできません。ですので、生産プロセスにおける工程間での変化でのデータを把握して工程管理をしましょう。
まとめ
品質管理を行う上で、客観的な事実を見る道具として、正しいデータはなくてはならないものです。中小企業100社以上の集客コンサルティングを行ってきましたが、ほとんどの企業は、生産効率化などに向けてはデータを活用していましたが、データを有効に集客に直結させている企業は、ほとんどありませんでした。
こういった品質向上のためのデータ収集など、売上に直結するwebサイトの改善にも十分に活用できますので、正しいデータを正しい改善に使いましょう。