こんにちは。「EC生産委託先の品質改善」の山下裕司です。このページでは『金属加工の治具:鋳造用語と解説』をお伝えいたします。
目次
- 1 ▶︎【鋳造用語】60種類
- 1.1 揚り
- 1.2 当て金
- 1.3 合わせダボ
- 1.4 アンダーゲート
- 1.5 鋳型
- 1.6 鋳抜きピン
- 1.7 入子
- 1.8 入子入替
- 1.9 入子型
- 1.10 インゲートチョーク
- 1.11 ウオータージャケット中子
- 1.12 エアベント
- 1.13 枝堰
- 1.14 加圧ピン
- 1.15 外型
- 1.16 掻き型
- 1.17 掛堰
- 1.18 型寿命
- 1.19 型補正
- 1.20 型彫り
- 1.21 型彫図
- 1.22 かぶせ前
- 1.23 木型
- 1.24 木取り
- 1.25 グラファイト電極
- 1.26 原型
- 1.27 ケガキ
- 1.28 抗折強度
- 1.29 主型
- 1.30 樹脂型
- 1.31 小芯中子
- 1.32 伸尺
- 1.33 吹込み口
- 1.34 捨棧
- 1.35 肌砂
- 1.36 砂つき代
- 1.37 捨型定盤
- 1.38 スプルーコア
- 1.39 スラブ中子
- 1.40 すり蓋
- 1.41 堰
- 1.42 中子
- 1.43 直彫り
- 1.44 鋳造方案
- 1.45 ツリー
- 1.46 抜き枠
- 1.47 抜け勾配
- 1.48 幅木
- 1.49 パターンプレート
- 1.50 バリ堰
- 1.51 ヒートチェック
- 1.52 冷し金
- 1.53 ボア中子
- 1.54 水モデル
- 1.55 模型
- 1.56 マンドレル
- 1.57 湯口
- 1.58 ユニットサンド
- 1.59 湯道
- 1.60 枠ばらし
▶︎【鋳造用語】60種類
「治具」とは、加工や組立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称。日刊工業新聞社刊「機械用語辞典」によると、治具(冶具)は当て字と説明されている。
「鋳造」とは、金属を熱でとかし鋳型(いがた)に流し込んで器物を作ること。
揚り
揚りとは、溶湯や鋳型から発生したガスや溶湯中に巻き込んだスラグを吐き出させるためのものである。鋳型の製品部の上部に設けられ、鋳型内の空気・ガスおよび溶湯に混入しているごみ・スラグなどを吐き出す作用をする製品にならない部分。
当て金
当て金とは、鋳型造型で、ジョルト、スクイズなどの際に、外型定盤の金枠との当り部に取りつける平板で、当り部の摩耗を防止するため、表面は焼入処理されている。
合わせダボ
合わせダボとは、鋳型のずれを防止するため、鋳型の一部に設ける位置決めの凹凸形状のことである。
アンダーゲート
アンダーゲートとは、金属の鋳型に溶融した金属を高圧で注入して鋳物をつくるダイカスト法で、溶融金属を鋳型内に圧入するためにダイカストマシンの固定ダイプレートに設けた湯口穴のこと。マシンの支柱(タイバー)4本の中心以下に位置している。
鋳型
鋳型とは、鋳物などを鋳造するときに、溶かした金属を流し込む型のこと。溶融金属を注入して所定の鋳物をつくる型のことで、一般的に砂、金属、耐火材料などを用いる。
鋳抜きピン
鋳抜きピンとは、ダイカスト製品に見られるボルト逃し孔などの寸法精度が厳しく、かつ細く長い鋳抜きをする場合に用いる金型構成部品の一つのことである。
入子
入子とは、分割されて金型内にセットされ製品形状を形成する金型部品の一つである。
入子入替
入子入替とは、ダイカスト金型は寿命で更新する場合、溶湯と接する金型部分の入子のみ新しいものと取替え、主型は再利用する。この入替え作業を入子入替という。ほかの鋳造金型でも摩耗および損傷が激しい部位を分割化しており、この取替えのこともいう。
入子型
入子型とは、インサートタイプのプレートを採用した金型の総称で、ダイプレートとストリッパプレートに利用されることが多い。鍛造・鋳造金型は型に必要な形状を型彫して使用する。
インゲートチョーク
インゲートチョークとは、鋳造方案の名称の一つ。鋳造方案の断面積が最小となる部位のことである。この部分の断面積、形状によって鋳型内溶湯の充填速度をコントロールしており、他の鋳造方案部寸法算出の基礎値となっていて、鋳物品質に大きな影響を与える。
ウオータージャケット中子
ウオータージャケット中子とは、シリンダーブロック、シリンダーヘッドなどの内部に設けられる冷却水の通路を形成する中子のことである。
エアベント
エアベントとは、金型内のエアを円滑に排除するための金型合わせ面や排圧が生じるキャビティ部に埋め込む部品のことである。鋳型造型用の金型および溶湯を直接充填する金型に用いており、エアのみを通過させ砂または溶湯は通過させない構造である。
枝堰
枝堰とは、一本の湯道より多数の堰を設けたもの。溶湯が鋳型に入る所で、湯口系の最終場所をいう。
加圧ピン
加圧ピンとは、鋳造後の溶湯凝固途中で、巣レス化のために局部加圧を行うため溶湯を押し込むピンのことである。主にダイカスト鋳造及び高圧鋳造で用いられている。局部加圧を行うことにより、厚肉部のヒケによる鋳巣欠陥やエアの巻き込みによるガス欠陥を潰すことが可能となる。
外型
外型とは、鋳造製品の外側形状を形成するための型のことである。種類は鋳造法によって異なり生砂造型法では製品と同じ形状であり、金型鋳造法では製品とは全く逆の凹凸形状。彫込み形状は、キャビティ部、中子を支持する巾木部、鋳造方案部などで構成される。
掻き型
掻き型とは、形状が細長くて断面が一様な鋳物を作るための鋳型のことである。
掛堰
掛堰とは、取鍋から鋳型に注湯しやすく、溶湯の流れを整えてノロ、カスなどの不純物を除去し、溶湯の外部へのこぼれを防ぐために鋳型の上に置く容器のことである。
型寿命
型寿命とは、製作した型が摩耗、破損などにより型打できなくなるまでの延型打数のことである。寿命は鍛造品の寸法、欠肉、傷など品質規格外れにより判定される。
型補正
型補正とは、型図面に沿って、一通り完成した型の手直し作業のこと。一般的には、試吹した製品を測定し許容公差をはずれた部位の金型を修正する作業のことを指す。
型彫り
型彫りとは、型製作において、鍛造製品の形状をなす部分を加工する最も重要な工程で、NCや倣いなどの切削加工法、放電や電解などの電気加工法が一般的である。
型彫図
型彫図とは、型彫り加工に使用する図面で、鋳造・鍛造品の形状、寸法などを記すものである。
かぶせ前
かぶせ前とは、一般的に鋳物を作る場合、上型と下型があるが、下型に中子を納め、上型をかぶせて溶湯を注ぎ込める状態にすること。
木型
木型とは、鋳物を作る時に使う木製の型のことで、鋳物をつくる場合、作ろうとする鋳物の形を、鋳型に写し換えるための原形となるもの(模型)で、木材又は樹脂材でつくられたもの。加工しやすく安価であることがメリット。
木取り
木取りとは、原木や大型の木材から、必要な寸法、品質の木材を製材することをいう。模型用材料の必要寸法を図面から割り出して切断、切削などにより木材を準備すること。
グラファイト電極
グラファイト電極とは、放電加工用の電極材料の一種のことで、成分は、純粋の炭素からなっており被削性は抜群に良い。
原型
原型とは、でき上がったものの、元になった型のことで、模型を作る際、その源になる製品と同形状のもの。これより樹脂・石膏などで転写し、模型をつくる。
ケガキ
ケガキとは、工作物をつくるとき、部材寸法やリベット穴の位置などを、罫書き針などを使って書き入れることである。工作物が工作図に示されたとおりの工作に適するか否かを検査するとともに、切削したり穴あけしたりする位置を粗形材そのものに明示する作業のこと。鋳造では試吹した鋳物粗形材が許容寸法公差内にあるか否かの確認作業として行っている。
抗折強度
抗折強度とは、曲げ荷重に対する材料の破断時の強度のことで、材料の強度特性の指標として用いられる。
主型
主型とは、金型の構成部品で、入子の保持と金型全体の剛性確保、マシンへの取り付けなどの目的を持つ。固定側を固定主型、可動側を可動主型という。
樹脂型
樹脂型とは、樹脂を材料とした模型のことである。樹脂としてはエポキシ系が多く用いられる。耐久性、コストの面では木型と金型のほぼ中間を位置する。
小芯中子
小芯中子とは、シリンダーブロックなどの鋳造工程において、オイル戻し穴やブローバイ穴など粗材中空部分を鋳抜くための小ぶりな中子。
伸尺
伸尺とは、鋳型に鋳込まれる溶湯は固体に変わる少し前から容積が減り始め、固体になっても温度低下とともに容積を減らし、凝固時に収縮し、さらに固体になってからも冷却によって収縮する。この収縮分(縮み代)を見込んで目盛られたものさしのこと。鋳造では金属(材質)の違いにより標準的な伸尺を選定している。ほかに鍛造、樹脂成型の分野でも使われている。
吹込み口
吹込み口とは、空気圧を利用して砂を吹き込み、鋳型および中子を成形するための金型の部位のことである。
捨棧
捨棧とは、木型模型の場合、形状によっては反りや狂いが生ずるので、これを防止するために木型を補強する棧(さん)のことである。
肌砂
肌砂とは、鋳造のとき、製品の表面を滑らかにするために鋳型の表面に用いる砂のことである。鋳型造型の際、溶湯と直接接する部分に用いられる砂で、肌砂を投入した後、裏砂が充填される。溶湯に直接接するため、粒径の細かい、粘結剤・添加物などを多めにした砂が用いられる。
砂つき代
砂つき代とは、生砂鋳型の端面と製品部分の距離のことである。鋳型の強度、注湯時の湯もれの防止、製品の冷却速度などで重要な項目として管理が必要。
捨型定盤
捨型定盤とは、模型を平面で分割できない場合、分割線まで定盤を彫り込み、そこに模型をセットして鋳型を作る。この彫り込んだ定盤のことを捨型定盤という。
スプルーコア
スプルーコアとは、ブランジャーチップに押し出されたアルミが、金型を合わせることによりできる隙間のキャビティーに入る前にぶつかる部分のことである。ダイカスト金型の構成部品の一つで、射出プランジャーチップの対向部に設置する入れ子。溶湯直撃による破損や熱によるヒートクラック発生時に交換を容易にするために使用する。
スラブ中子
スラブとは平板の意味があり、スラブ中子とは、シリンダーブロックのヘッド面を形成する板状の中子のことである。ウオータージャケット中子の水孔巾木およびクランクケース中子のボア巾木を差込む凹形状がある。
すり蓋
すり蓋とは、鋳型にて、模型形状がすべて下型側におさまる場合の上型側の合わせ面はまったく凹凸のない平面となる。このような状態の上型のこと。なお巾木形状においては、外型と中子を製品面で同一面とし、巾木を製品面から出さない。
堰
堰(せき)とは、湯道を通ってきた溶湯が、湯道から分岐して鋳物部分に注入される所に設けられた通路のことである。
中子
中子とは、鋳物の内面中空部を造るために、主型の中にセットされる鋳型のことである。中子の必要条件として、ガス発生が少ないこと、通気性がよいこと、適度な強度がある上に崩壊性のよいことなど。
直彫り
直彫りとは、現在、主流となっている手法で、型材に切削加工で直接型彫りする加工法のことである。放電加工法のように電極に形状を彫って、その後型材に転写する間接的加工法と対称をなす。
鋳造方案
鋳造方案とは、製品図から鋳物をどのようにしてつくるかのマスタープランで、鋳造図・模型方案・湯口方案などを総括したもの。鋳型製作時に溶湯を、どのようにしてどこからどのくらいの速さで鋳型内に注入させるかを検討し、湯口・湯道・堰・押湯などの形状・位置を決定すること。設計者が要求する形状・寸法を確保し、不良のない健全な鋳物ができるようにするとともに、砂落しや機械加工などの後処理がやりやすいように配慮することも重要。
ツリー
鋳造ツリーとは、精密鋳造法において、製品用模型と湯口用模型を組立てた状態のものをいう。一般的には、製品用模型と湯口用模型を別々に成形し、ロウ付けして組立てる方法と、最終的な形状を輪切りにしたような形で成形し、それらを重ねて組立てるスタック方式とがある。
抜き枠
抜き枠とは、造型工程において、造型した後取りはずす枠のことである。
抜け勾配
抜け勾配とは、成形品が離型する方向(金型が開く方向)に傾斜をつけることである。鍛造品の離型性向上を目的に設ける型彫側面部のテーパー形状。外側抜け勾配と内側抜け勾配がある。
幅木
幅木とは、鋳型に注湯した際、中子が溶湯圧や浮力によって動かないよう支持・固定するため、中子の端を延ばした部分のことである。
パターンプレート
パターンプレートとは、鋳型造型に用いる部品で、分割された模型の片面を取り付けることができる定盤のことである。
バリ堰
バリ堰とは、鋳物との接合部をバリのように薄くし、幅を広げた堰(せき)のことである。
ヒートチェック
ヒートチェックとは、ダイカスト金型および熱間鍛造用の金型の表面に発生する亀甲状の細かな割れのことをいう。金型表面に加熱・冷却が繰り返される熱疲労により発生するものである。
冷し金
冷し金とは、鋳物各部の冷却速度をコントロールするために使われる金属部品のことである。溶湯の冷却速度を速めたい所に当てる金属片で、材質は鋳鉄、鋼、銅などが用いられる。
ボア中子
ボア中子とは、鋳鉄シリンダーブロックの鋳造において、シリンダーボア部を成形する中子のことで、スラブ中子と一体化してる場合が多い。
水モデル
水モデルとは、計算化学において、古典的水モデルは、水クラスターや液体の水、露な溶媒を用いた水溶液のシミュレーションのために用いられる。鋳型内の溶湯の流れを観察するために、鋳型と同じ形状を透明樹脂でつくったもの。着色した液体に不純物を混入して流し込むことにより、不純物の分離・空気の巻き込み・湯流れ順番などの状態がわかり、鋳造方案検討の上で有効な手段となっている。
模型
模型とは、そのものの全体的な形が同じになるように、かたどったもので、造ろうとする鋳物の形を、鋳型に転写するための原形となるものの総称。木材、樹脂、金属、石膏などが用いられる。
マンドレル
マンドレルとは、中子を軽量化する目的で、中空中子を成形するための中子型の構成部分のことである。
湯口
湯口とは、鋳造で、溶けた金属を鋳型の枠に流し入れる口のことである。溶湯を鋳型内に導くために、通常垂直に設けられた最初の通路のことで、溶湯が乱れないように静かに、しかもすみやかに鋳込める様に造られる。
ユニットサンド
ユニットサンドとは、鋳型を形成する際、鋳型の部位による砂特性の変更(肌砂・裏砂)を行わず、鋳型全体を一つの砂特性で造型する方法のことである。
湯道
湯道とは、鋳造で湯口から注がれた溶融金属が、鋳型の空所へと流れ込む水平の通路のことである。通常、溶湯中のスラグや酸化物の除去あるいは溶湯の流れを静かにすることを目的としている。
枠ばらし
枠ばらしとは、生砂造型ラインで、鋳込んだ粗材と砂、金枠を分離する工程のことである。
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