ディンギーヨットでニュージーランドのクック海峡横断!

ついに、世界一過酷で危険といわれるニュージーランドのクック海峡を、エンジンの付いてない全長11フィートの2人乗りの木製小型ヨット「Obsession 号」で、風の力だけを頼って横断した、世界を冒険するマーケター山下裕司です。

パッセージプラン(航海計画)作成

クック海峡とは?

今回、冒険するクック海峡とは、ニュージーランドの北島と南島の二つの島の間に位置する海峡であり、南太平洋とタスマン海をつなぐ海峡であり、最小幅が23kmである。

自分たちが乗船するヨット探し、サポート船の手配を行う中で、まあ途中で「クレイジー!」「自殺行為だ!」などなど、世間からの反発を受けながらも、きちんと自分たちでパッセージプラン(航路計画)を決め、現地でサポートしてくれるセーラーとなんども検討を重ね、見事に横断してきた。

このクック海峡は、オーシャンズセブン(Ocean’s Seven)という、世界オープンウォータースイミング協会が定める、各大陸にある7つの海峡の一つである。僕らは、昔からヨットに乗っていた訳ではなく、大人になってヨットに乗り始めたメンバーばかり。経験豊富なセーラーから見ればまだまだ素人なのかもしれない。今回クック海峡横断にチャレンジしたメンバーもヨットに乗り始めて6ヶ月程度。しかし、その仲間とともに「7大海峡横断〜OCEANS7 PROJECT〜」を立ち上げて、全海峡制覇を達成させるのである。

  1. 制覇!!ジブラルタル海峡(スペインとモロッコを隔てている海峡)
  2. ノース海峡(イギリスにある海峡)
  3. 制覇!!クック海峡(ニュージーランドにある海峡)
  4. 制覇!!ドーバー海峡(イギリスとフランスを隔てている海峡)
  5. 制覇!!津軽海峡(北海道と青森県を隔てている海峡)
  6. カタリナ海峡(アメリカカリフォルニア州にある海峡)
  7. カイウイ海峡(アメリカハワイ諸島にある海峡)

このクック海峡の「クック」という名前は、18世紀のイギリス海軍士官キャプテン・ジェームズ・クックの名前から取られている。

ジェームズ・クックは、1766年、英国王立協会に命を受け、金星の太陽面通過の観測を目的に南太平洋に派遣され、彼の第1回太平洋航海となるのである。彼が船長を務める帆船は大西洋から南アメリカ大陸の南端を超え、タヒチへ到着し、観測を行った。

タヒチでの天体観測終了後、クックは航海の後半についての海軍本部の追加命令を受け、伝説の南方大陸を求めて南太平洋を探索せよという指令。クックは南太平洋に極めて詳しいタヒチ人の協力を得て、1769年10月6日、ヨーロッパ人として史上2番目にニュージーランドに到達。そして、彼はニュージーランドの海岸線のほぼ完全な地図を作成し、さらにニュージーランドの北島と南島を分ける海峡を発見。それがクック海峡である。ちなみに、クック海峡を渡るなら、ウエリントンとピクトンを結ぶフェリーが出ていてる。

クック海峡横断のパッセージプラン(航海計画)

今考えているパッセージプラン(航海計画)は、現状の航路計画では、スタート地点として考えているのは、北島(ノースアイランド)の首都ウェリントン近くにある、ポルリアのマナマリーナを出航。そしてゴール地点として考えているのは、南島(サウスアイランド)クィーン・シャーロット・サウンド湾内にあるケープコアマルをゴールとして考えている。直線距離にして約53kmのクック海峡横断計画である。今、クック海峡横断をボートでサポートしてくれるマイクと詳細を打ち合わせ中であるが、基本このプランで行けそうである。

しかし、愉しいのである。たまらなく愉しいのである。海図を見ながら、風や潮流の方向や強さなどを検討し、どういう航路で進めばいいかを考える。あっちのルートにしようか?こっちのルートにしようか?これを考えるだけでも、もう最高に愉しい時間なのである。旅行に行くときに、いろいろと計画を練ると思うが、それの100倍以上愉しいのである。ヨットに乗る時間も愉しいが、こうやって航海計画を立てたり、ヨットやサポート艇を現地で調達したり、地形を見たり、ニュージーランドの人や文化に触れたり、全てが愉しくて痺れるのである。

しかし、天候の移り変わりが特に激しいクック海峡である。サポートクルーのマイク&デイヴィッドと話し合い、アタックできる条件は、次の通り。

  • 明朝の時点で、スタート地点とゴール地点の風速が15ノット以下であること
  • 横断中の予報が18ノット以下であること

クック海峡横断チャレンジ

とにかく風が強く、波が高い。右の図は、マナマリーナを出発し、マナ島北端を抜け、海峡中央にはフィッシャーマンズロック、ここからが難所で、ブラザーズロックあたりは、洗濯機と呼ばれる渦がある場所である。ここまでに、彼らは一度沈している。体温の低下も考えられる中、二人は寒さに耐えながらゴール付近のケープコアマルを目指した。とにかく撮影もなかなかできない状況であることを、お伝えしておきたい。

下の動画は、クック海峡横断の翌日、フィッシングに行ったときに、急に天候が悪くなり、海が荒れだした時に撮影したものである。ここまで横断当日は、ここまで荒れてはいないが、とにかくクック海峡は世界で一番危険だといわれる理由がよく分かる動画である。

最後の難関である洗濯機を通り過ぎ、ケープコアマルを通り過ぎ、クイーンシャーロットサウンド湾内に入ってゴール。というコースを約6時間のセーリングで、何度も襲いくる高波としぶきに翻弄されながらも、そして何度も沈しながらも、あの高波を乗り越えて、仲間の想いを力に変えて執念で見事にゴール!!

サポート艇のアローナ号でサポートしてくれた現地のセーラー歴40年のマイク(McDermott, Mike)&デイビッド。彼らは遠泳の海峡横断のサポートのプロフェッショナルだが、その彼らに「ディンギーヨットでクック海峡を渡ったのは、世界で君たちが初めてだよ!」と、最大級のお褒めの言葉を頂いた。本当に渡ると思わなかったとも。

さらに、奥に入ったところにシップコーブという場所があり、今回渡ったクック海峡の名付け親であるジェームズ・クックのモニュメントがあるため、サポート船からゴムボートで砂浜まで行き、30分ほどかかったが、しっかりとそのモニュメントをこの目に焼き付けてきたのである。「キャプテン・クック、見事にゴールしたぜ。ありがとう!」その後、マイクのはからいで船上BBQを行い冒険成功のお祝いを行ったのである。

海峡横断の翌日は、次に向けての作戦会議

冒険達成の翌日のスタートは、やはり食事から!とういことで、ニュージーランド滞在三日目は、昨日のクック海峡横断のダメージが残っているメンバーの疲れを癒すため、のんびりした1日を送ろうと計画。

ロワーハットのジャクソンストリートにあるイタリア料理店「Soprano Petone」で、ブランチを食べ、スタート地点であるマナマリーナへ行って振り返りをして、夕食にしようという計画である。

だいたいニュージーランド滞在期間中は、首都であるウェリントンのペトンのJackson Street近辺のお店で食事をしていた。下町のような感じがするストリートで、食事をするお店もイングランド、ピザ、中華、ベトナム、メキシコ、寿司など国際色豊かで賑わう雰囲気が、とてもいい感じであった。

この写真のイタリア料理店「Soprano Petone」は、イタリアンパスタ料理で、私はボロネーゼを注文。デザートに杏仁豆腐とショート・ブラック(エスプレッソ)を頂きました。この杏仁豆腐が非常に美味かった。

このショート・ブラックは、オーストラリアやニュージーランド独特のコーヒーの呼び方で、いわゆるエスプレッソのストレートは「ショート・ブラック」。熱湯にエスプレッソを注いだものが「ロング・ブラック」と呼ばれる。異文化に触れるのは非常に好奇心がそそられるものである。

クック海峡横断スタート地点のマナマリーナへ!!

その後、クック海峡横断のスタート地点であるマナマリーナへ移動し、昨日の『クック海峡横断』の振り返りを行おうと桟橋に向かう。

マナ・マリーナは、首都ウェリントンのマナにあるマリーナであり、マールボロ・サウンドに最も近い北島マリーナで、クイーン・シャーロット・サウンドへの入り口は正面に位置し、マリーナから約18マイルの距離にある。しかも、日本の海と違って、ニュージランドは潮の香りがほとんどしないのだ。ハーバーに鱏(エイ)が泳いでいた。

そして、マナマリーナで海峡を共に渡った、戦友の姿を発見。そこには昨日サポートしてくれたのマイク、デイビッド、Obsession号を貸してくれたオーナーのニックと偶然出会ったのだ。ちょうどマイクのサポート艇からObsessionを引き上げて、車の台車に積み替え、持ち帰るところ!なんて運が良いのであろうか。

マイクたちと一緒に、昨日お世話になったObsession号を車に積み込みながら、積荷を手伝いそれが終わったら、今度はマリーナのクラブハウスへ移動。ニュージランドビールで昨日の海峡横断達成をみんなで祝ってくれた。ヨット仲間が集まれば、それはやはりヨットの話ばかり。すぐに昨日の振り返りをサポート艇から見た視点で語り合いました。ヨット仲間って、すぐに仲良くなれるのが素晴らしい。これぞシーマンシップである。

ヨット仲間が集まれば、冒険の話に花が咲く!!

このマナマリーナのクラブハウスは、BARコーナーとは別に、食事のレストランも併設されており、重厚感あるとても素敵なクラブハウスである。

ここでも、サポートしてくれたマイクからも、昨日の海峡横断は奇跡だと言われた。実際にこの日の天候もよろしくなく、昼から風も強く大雨が降ってくる天気。明日、明後日も、風が強く出航できる風ではないという予報であった。

やはり、人によっては天候がよなくて2週間も3週間も待って渡れない人もいることを聞いて、昨日渡りきった我々は奇跡を呼び起こしたということを実感している。天気に恵まれないチャレンジャーを数多く見てきたマイクからそう言われると、本当に僕らは運を持っているとしか言いようがない。

人生を愉しみ尽くすには、同じ志を持った仲間が必要

ニュージーランド滞在四日目は、サポート艇のマイク宅でホームパーティーにお招き頂いた。

マイクは、ニュージーランド ポリルア ウェリントンのプケルア・ベイという、目の前が一面クック海峡を見渡せるビーチに住んでいます。朝日と夕焼けの両方が、家から愉しめる最高に美しい場所である。

右の写真は、サンセットの夕日が抜群に綺麗な時間で、秋から冬にかかっている季節のニュージーランドの日没は18時くらい。その頃にはかなり暗くなる。

そして、日本の海と違って、磯の香りが強くなく、海の色が青ではなくターコイズブルー色というのが、ニュージーランドの海の特徴である。しかし、クック海峡の変化は激しく、この日も風が強く、一昨日に海峡横断できたのは奇跡だと改めて感じた。

人生を愉しみ尽くす男の空間は、やはりガレージにあり!!

人生を愉しんでいるマイクは多趣味で、ITの会社を経営しつつ、モトクロスバイクのレースに出場したり、ヨット製作、車のレストアや家具作りなども行う。

家具製作では「Woodworking with New Zealand Timbers」という著書も出版しており、人生を全力で愉しみ尽くす人で、家の中は品物すべてのものに対する愛が溢れていた。本当に美しく、どこにいても愛情を感じる気持ちよい空間だったのを覚えている。

アペで、BOLLINGER(ボランジェ)やチーズで愉しみながらいると、マイクが自慢のものをどんどん出してきてくれて、ついには自宅のガレージまで案内してくれ、色々と自慢のものたちを見せてもらった。夢の詰まったガレージには、旋盤や鑿(のみ)や鉋(かんな)、そしてTIG溶接機までもが綺麗に並べられていました。日本の鉋は引いて削りますが、マイク自作の鉋(かんな)は、日本の鉋と違って”押して使う”ものとのことでした。鑿は、日本に行った時に購入されたらしく大切に丁寧に使われているのがよく分かるものであった。

1976年式のTOYOTAカローラをレストア中

マイクの息子さんが所有しているTOYOTAの1976年カローラ。しかし、このカローラすごい!!4A-Gにターボエンジンに換装。それもギャレットにインタークーラー付き! 現在レストア中で完全までに後1年かかるのだとか。

どうやってここまでの技術と知識を手に入れてのか聞いてみると、日本でいうところの専門学校のようなところで学んだと言っていた。家のガレージに、TIG溶接機や旋盤があり、自分で作るため技術をマスターしてやっている友達ができたことが嬉しい。このカローラが走る時に、またマイク宅に遊びに行く。マイク宅では刺激受けまくりで、私の冒険心により大きな火を付けられた。人生は自分で愉しむものなんだと改めて教えてくれたマイク。ありがとう。

海峡横断でマイクがサポートしてくれたのは、奥様のおかげ

今回のクック海峡横断で、マイクがサポート艇に乗り込み、サポートしてくれたのは、奥様のジェニーの影響が大きいのではないかと思うのである。

最初は、天候が不安定なクック海峡横断のサポートは断られていた。しかし、ギリギリになってサポートしてくれることになったのだ。

奥さまのジェニーのお父さんが、昔日本の鉄道関係で働いていたことが縁となって、何かしらの影響を受けて引き受けてくれたのではないかと思うのである。ホームパーティーのときに、奥様のジェニーは日本への恩返しという言葉を使ってくれていたのである。

人生を愉しみ尽くすむには、同じ志を持った仲間が必要

マイクとジェニー夫妻は、素敵な手作りディナーを用意して頂き、僕らを大切な友人として丁重におもてなししてくれた。

ホームパーティーの時、あまりにも素敵な人生を送っているマイクに僕らは「あなたが羨ましいです。この美しい人生が」と伝えた。

するとマイクは、少し考えゆっくりと口を開き「私の方こそ、君達が羨ましいよ。こんな素晴らしい仲間がいて。君達は私の友人だよ。またいつか、今度はウイスキーでも飲もう」と。

素晴らしい出会いを繋げてくれたクック海峡横断チャレンジ。いよいよ明日が最終日。明日はフィッシングに行こう!とマイクにお誘い受けたので、フィッシングへ行ってくる。

NZフィッシングでクック海峡の恐さを改めて実感

ニュージーランド五日目の最終日は、マイクのお誘いで、フィッシングへ!

フィッシングへ行くため、まずはマイクのアローナ号が待つウェリントンのマナマリーナで集合。クック海峡横断の時にサポート艇だったアローナ号に乗って、フィッシングへ向かう。

今回のフィッシングポイントは、ポリルアのプケルア・ベイ辺りの海。マイクの家の前の海であった。なんとも素敵である。

人生愉しみ尽くすと決めているマイクと遊ぶと面白いのが、家の目の前にあるフィッシングポイントだからと言って、家の前からゴムボートで行かずに、1時間もかけてセーリングしながらポイントへ向かう。わざわざ遠回りしていくのである。

全てのことを愉しみながらポイントへ向かうのである。こういう生き方大好きだ。マイクさすがに分かってる。

さあ、NZでのフィッシング開始!!

ポイントについたら錨(イカリ)というかアンカーを降ろして、フィッシング開始!今日の狙いは、ニュージーランドを代表する魚、キングフィッシュ(ヒラマサ)・スナッパー(真鯛)などなど。

船内は、ポップなナンバーのBGMで、ノリノリ。マイクが準備してくれていた、オランダビールのHeinekenとグリーンリップマッスル(ムール貝の酢漬け)やコーンパンを食べながら、魚がかかるるのを待つ。

このフィッシングのための準備を見るだけで、どれだけマイクが僕らとのフィッシングを愉しみにしていたか、そして愉しむ人生を送っているのかが、ホントによく分かる。

しかし、、、天候が急転!!

なんと1時間ほど経ったところで、風が急に強くなってきて、帰らないと危ないとのことで、急遽マナマリーナへ戻ることに。

クック海峡の天候が変わる早さはあっという間です。天候の移り変わりが早い。スイマーが2〜3週間待ってもアタックできる日がなくて、諦めて帰るという話も聞かされていたので、この天候の変化を見て納得。

とにかく、マナマリーナまでの帰りは雨と風が強く、全く立ってられないほどの船の揺れで、かなりヤバい状況であった。やはりクック海峡はとても危険な海峡。オーシャンズセブン(Ocean’s Seven)と言われるだけある海峡である。舐めたらあきません。

【詳しくはこちらの動画をご覧ください。】
※この動画は、まだ立って撮影できる時間帯に撮影したものです。
↓  ↓  ↓

結局、魚は釣れなかったものの、マイクと一緒に遊べたことがすごく愉しくて、何があっても愉しい人生とは、自分次第で変えられるということを改めて実感したフィッシングであった。

今回のクック海峡横断を通じて、逆風じゃないと進まないことも、無風や無難じゃ、なんにも面白くない!ということを頭ではなく体全体に染み込ませることができた冒険であった。これは、渡る渡らない関係なく得られた体験である。当然、渡りきったからこそ得られたこともある。しかし、渡れなかったからこそ得られる体験もあったと思う。そんなことはどうでもいい。なので、結果なんかどっちでもいいと思える過程を歩むことが大切なんだなと思うのである。

最高に愉しいクック海峡横断プロジェクトであった。ありがとうクック海峡!!

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