自動車の「アタリ」「ハズレ」は今でも存在するのか?

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自動車の「アタリ」「ハズレ」は今でも存在するのか?

こんにちは。「EC生産委託先の品質改善」の(株)Happy Make Project 山下裕司です。

先日、yahooニュースで、自動車ライターの 近藤暁史 氏が書かれていた『同じクルマなのに調子が違う!自動車の「アタリ」「ハズレ」は今でも存在するのか?』という記事を見て、13年間トヨタ自動車ので働いていた元品質管理エンジニアとして、もう一歩踏み込んだ、私が13年前の当時経験してきた話を。今の僕は、車造りとは全く関係のない世界ですが(笑)

最近では、昔ほどのアタリ・ハズレはありませんが、とはいっても大量生産による製品のバラツキ(設計上認められている公差内)があるのは事実ですし、何となくフィーリングが合わないというのも間違いなくありますね。

ということで、今日は、新規開拓や集客の話とは、全く関係のない「自動車造り」について。図面通りの正寸狙いで、世界最高品質を造り込む。その企業努力というものを、ごく一部になりますが、お伝えできればと思います。

 

自動車の「アタリ」「ハズレ」は今でも存在するのか?

図面通りの正寸狙いで、世界最高品質を造り込む

私は、『㈱トヨタ自動車九州』の宮田にある製造工場に13年間、勤めていました。職場は、車を塗装する前のプレス品を、製品図面通りに車両に組み付ける溶接工場で、主に車両精度を見る品質管理をしていました。

溶接工場とは、小さな部品を治工具で固定し溶接し、どんどん車両の形に組付けて行く、塗装する前に車両の形を作る工程です。一日1,000台以上も製造する日もありました。月30,000台の製造。そう考えると組付設備に設置している基地決めの基準ピンや受け駒は間違いなく摩耗しますよね。

トヨタ生産方式の基本的な考え方

トヨタ生産方式の基本的な考え方

『ムダを徹底的に排除し、効率的なジャスト・イン・タイムで造る』という考え方です。

トヨタ生産方式には2本の柱があります。

  1. 【ジャスト・イン・タイム】:必要な時に、必要な物を、必要なだけ造る
  2. 【自働化】:異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない

そして、その2本柱を支えるトヨタの現場には「現場管理の5大使命(品質・原価・生産・安全・人財育成)」と言われるものがあり、これらを具体的なKPI(重要業績評価指標)とし、現場管理をしています。

トヨタの管理の基本は「異常管理」です。このため「視える化」して「目で見る管理」ができるようにして「日常管理」に移します。異常が目でみてすぐわかるので、この異常にのみアタックすることを「異常管理」という。最も効率のよい管理方法として取り組んでいます。

これは監督者が生産活動の状態が、「正常」か「異常」かが目で見て、即座に判断できる、 現場の形態だからです。代表的なものとして「アンドン」「かんばん」などがあります。

製造業の大量生産によるバラツキ問題

確かに、最近の自動車工場は、組み立てのロボット化が進んでいるとはいえ、まだまだ小物部品の組付けなど人間による作業も多いです。そうなると作業者によって差が出てしまうこともあります。

例えば、溶接組付けでロボットではなくハンドガンの手打ちでスポット溶接やアーク溶接する部分もあります。そういった部分は、どうしても作業者によってガンの角度などバラツキが出てしまいます。

また、私がトヨタで勤務している頃、ちょうど団塊の世代の先輩方が退職していく時期でした。”匠”と呼ばれる熟練工が退職し、人材不足で層の薄さが話題になりますが、本当に熟練工が抜けたことは、組織運営としては大きな問題です。

製造品質向上の活動紹介

製造部門の役割使命は、「狙った品質、価格、数量の製品を期日までに最も経済的に造ること」です。

その中でも、大量生産になると、絶対にバラツキというものが出てきます。そのバラツキがあるとダメなのか?というと、公差というものが設計上認められていて、その範囲であれば異常なしとするのが一般的です。

ただ、部品単体では問題なくても、たとえば公差の範囲ギリギリのパーツだらけで組み合わされた場合、、、それでも公差を超えないため、自動車会社は日々努力して、絶対に公差外の車両を出さないようにしています。

0.1mmでも車両精度を”もっと”高めようと取り組み、様々な活動にチャレンジしていた、トヨタ自動車のボデー工場での製造品質向上(無償修理低減、工程内不良低減)の活動の、そのごく一部をご紹介します。

【品質競争力強化へ向けた
品質管理】

私が勤めていた当時(13年前)の大きな取り組みの、ごく一部ですが、ご紹介します。

①仮付打点を増加させることによる精度向上、バラツキ低減

部品を組付けることで車両が出来上がっていきますが、タクトタイム限界まで仮付打点を追加することで、工程間変化の低減、そして工程能力の向上により、ボデー精度向上、バラツキ低減を実現させています。※その場合、溶接ロボット同士が干渉しないように、ギリギリの調整を行っています。

②パレット循環廃止による精度バラツキ低減

以前は、小さな部品を組み付け、中規模な大きさになった部品を溶接して組み付けるために、複数のパレット循環式でやっていたものを、車両複数パレットによる循環方式を廃止する事で治工具のバラツキによる精度バラツキを低減させています。

③インライン全数計測による精度保証

完成車両を計測するだけでなく、定点カメラを設置することにより、重要部位に対するインライン全数計測により、精度を保証しています。公差外の製品を組付けしてしまうと、ライン停止させるなどの工夫をして、後工程に流出させないようにしています。

④板金完成車の精度保証

こちらも定点カメラを設置することにより、全ての部品が組み付いた、いわゆる完成車状態の精度保証だけでなく、塗装前の板金完成車の建付け等についても、全数自動計測による精度保証を行っています。

⑤トレーサビリティー

インライン計測によるトレーサビリティー(traceability)。そしてインライン計測による運営により不具合車両の流出防止、日常管理・源流対策を推進しています。トラブル時の原因究明・早期解決にトレーサビリティ管理は必要不可欠です。

 

最後に

私が勤めていたトヨタ自動車九州では、インライン計測などの定期的な傾向管理データを見える化する事により、後工程不具合等(精度問題、組付問題、建付問題)未然防止を積極的に行っていました。もう少し詳細は、こちら『製品品質向上のための製造部門の役割とは?』をご覧ください。

トヨタ自動車グループの中でも、トップレベルに世界最高の品質を目指し、取り組んでいる企業であり、品質向上活動の「見える化」による展開、管理を行うため、品質に関しての「目標設定×達成」PDCAサイクルをしっかり回す組織体制を作ることで、「待ち」の流出防止を目的とした品質管理ではなく、「攻め」の課題解決を目的とした品質管理を行っていました。

今、現在の品質管理は、もっと高度に丁寧な管理が行われていると思いますが、それでも「もっと」という志を持って、さらなる進化を追求しているのだと思います。現状維持は退化と同じです。トヨタ自動車のさらなる進化した品質管理が愉しみです。

そういう職場で働いていたものとして、私も進化を止めるわけには行きません。「もっと」スピードアップして、社会の役に立てる価値を提供し続けていきます。

 

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