- 部下が育たない、、、
- 仕事に追われて計画通りに教育ができない、、、
人材育成が計画通りにいかず頭を悩ませていない監督者はいません。
そこで日々の業務報告を活用した人材教育をご紹介したいと思います。
そもそも業務報告は、仕事を計画通りに進めるため、業務の進捗や仕事での困りごとなどの課題を共有するために必要不可欠です。
しかし、業務を円滑に進めるためのツールだけでなく、業務報告の使い方の工夫次第では人材育成のツールにもなります。
今回の記事では、業務報告の目的について詳しく紹介するとともに、人材育成につながる業務報告の書き方なども解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも「報告書」とは何か?
報告書というのは、ある特定の事柄を第三者に伝えたり、記録として残しておくために作る書類のことです。
その用途は、ビジネスシーンに限定されるものではないものの、会社で上司や先輩から指示された案件を行った際、その結果を報告する手段として一般的に作成さることが多い存在です。
具体的には、日々の業務はもちろん、出張や調査、研究の結果、クレームがあった際によく作成されます。
要は、ビジネスマナーとしてよく使われる言葉である「報告・連絡・相談」の略語である「ホウレンソウ」のひとつを担っている重要な書類のひとつが報告書と言えます。
特に、企業で働く限りその人が永遠にその場所にいるとは限りません。複数人で協力しながら働いていることがほとんどの企業において、その作成を欠かすことはできません。
報告する意味とは?
わざわざ貴重な時間を割いて報告書を作るのは、何がありその結果がどうなったのか?その起承転結を多くの人と共有することで、今後の活動にその情報を活用できるようにするためです。
そのため、単に適当にあったことを並べ立てて書けば良いというものではありません。
報告書を作るときには読み手が誰であり、その人が知りたいあるいは必要と考える情報をできるだけわかりやすく書くことが重要です。
また、ビジネスシーンにおいて時は金です。ただただ無駄に時間をかけて書けば良いというものではないとともに、さらに言うならただただ長い報告書を作れば偉いというものでもなく、A4用紙一枚にまとめるようにしましょう。
上司や先輩の指示のもとで行った業務の報告書を作る際には、要点をおさえたできるだけ簡潔な記載を心がけることが欠かせません。
さまざまな報告書の種類
報告書と一言で言っても、その活用場面はさまざまです。そのため、その活用されるシーンの数だけ報告書にも種類があります。
たとえば、営業を行う人であれば日・週・月など特定の期間ごとに報告書の作成が求められることが多いです。
また、部署ごとに業務内容の改善点を報告する「事業報告書」や、社外向けの「事業実績報告書・決算報告書・有価証券報告書・CSR報告書・監査報告書」などの作成も、多くの企業で行われています。
また、会社の資金を管理する上で欠かせない「収支会計報告書・支払い報告書」、そのほかにも現場の事故報告書やヒヤリハット、クレーム対応の記録を残すリスク関連の報告書、社内や社外のセミナーを受けた際の習得内容を記録する研修報告書、企画やアイデアなどの提案を会社やクライアントに提出する報告書などがあります。
報告書の構成
報告書を書くにあたっては、最初に全体の構成を考えるのがおすすめです。
具体的には、「標題」・「内容要旨」・「詳細内容」の3層に分けて構成を組み立てていくのが王道の方法です。なお、この3層は標題が一番てっぺんにあり、その下に内容要旨、さらにその下に詳細内容が位置する形で三角形を作っている関係にあります。
そして、まず書き始めるべきなのは、一番下の詳細内容です。いきなり標題から考えようとしても、そもそも報告書に書く内容が整理できていないのでなかなかうまくいきません。
また、詳細内容を検討時にも、さらに見出し・小見出し・説明文に分けてそれぞれに仮の内容・文字数を設定して詳細内容の大まかな構成をこの地点で作りましょう。
その後、さらに上の内容要旨の大まかな内容を考え、最後に標題を組み立てるとスムーズに報告書の構成を決めることができます。
見やすい報告書作成
決まったフォーマットがある場合その仕様に従わなければなりません。
ただ、特に指定がない場合、内容に合わせて適宜見出しを付けるのがおすすめです。この見出しにより本文の内容を端的に示し、必要に応じて見出し・小見出し・詳細な説明文の3つの構成に分けてまとめると、報告書全体の内容を把握しやすくなります。
また、表題にもこだわりましょう。できるだけ具体的に文字数15から20文字程度で何が書かれている報告書なのか、ひと目でわかってもらえることを意識して表題をつけます。
さらに、フォント選びも重要です。指定があればそれに従う必要がありますが、ない場合報告書の表題や見出しにはゴシック体、文章には明朝体が最適と言われています。
さらに、サイズについても大きすぎず小さすぎない11から12ポイントの使用が、推奨されています。
報告書まとめ方(所感)の作り方
必須ではないものの、報告書の中にはまとめとして「所感」を書く項目が設けられていることがあります。
なお、所感は、ある出来事に対して自分が抱いた感想という意味を持つ言葉です。ただ、ビジネスシーンで作成する報告書の所感に、単に自身が思った感想を書いても意味がありません。
やったことを、やった、やった、と報告してもそんなことは当たり前だといわれるだけです。
要は、会社で作成する報告書の所感には、感想ではなく、反省点や改善策、あるいは自分の意見や読み手に伝えたい事柄を簡潔にまとめることが重要です。
報告書の所感に書くべきなのは嬉しいや悲しいのような感情ではありません。出来事に対する気づき、今後の方向性を書くことが目的の項目です。
今回の経験を通して得た気づきを意識すると、物事をより深く分析した良い所感を書け、読み手とのコミュニケーションをより深めるきっかけになってくれます。
業務報告書とは何か?
業務報告書とは、実施した業務の内容についてまとめて、部下が上司に対して提出する書類です。
例えば、会議に参加したときには参加目的や参加者、実施場所や実施時間について記載した上で、会議の内容や目的の達成度などを記載して上司に提出します。
営業で外出した場合には訪問の目的と訪問先の情報、実施した営業活動の内容と結果をまとめます。また、今後の業務についての方向性も具体的に記載するのが一般的です。
業務報告書は部下が実施した業務を上司が把握し、プロジェクトの進捗状況や個人のプロジェクトに対する貢献度などを評価するのに用いられます。
また、課題の洗い出しをして事業計画を検討する際にも使用される資料です。上司と部下のコミュニケーションツールとしても利用されるようになっています。
業務報告が果たす役割
業務報告は、個人が実施している業務の「進捗状況の共有」と「課題の確認」が主な目的です。
現場では個人で作業をする業務の進捗状況を他の人が把握するには、本人から報告を受ける必要があります。
業務報告を定期的に上司に提出する仕組みにすることで個人の業務の進捗状況がわかり、プロジェクトや事業全体から見たときに順調なのか、遅れがあるのかを判断できます。
また、上司が部下にフィードバックをして業務を進めやすくしたり、部下が苦手としている業務から外して他の業務を割り当てたりするのも業務報告の目的です。
外勤や在宅勤務などの場合には業務報告書が仕事をしていたかどうかを確認する書類としての役割を果たします。業務報告書は目的によって様々な使い方ができるため、役割も広がってきているのが現状です。
業務報告書作成による「報告者」3つのメリット
上司に理解してもらえる
業務報告書を作成すると、部下にあたる報告者には自分のやるべき仕事がどのような状況かを「上司に理解してもらえる」のがメリットです。
大きな成果を出しているときにはすぐに上司に伝えられます。予定通りに仕事が進んでいないときには隠そうとしてしまう場合もありますが、業務報告書を作成して提出する仕組みになっていれば隠し立てはできません。
状況を把握した上司がアドバイスをしたり、配置換えをしたり、人員増強をしたりしてくれる可能性があります。
課題解決力(問題解決)のスキル向上
お客様の要求する品質にマッチした商品やサービスを提供することが、”仕事をする”ということになりますが、よりお客様に満足してもらうには、あるべき姿に現状を変えていかなくてはなりません。この現状を変えるということが課題解決(問題解決)になります。
業務報告書を作成すると自分の業務の進捗状況や課題を常に意識することができ「目標達成にはどうすればいいのか?」を常に考える習慣ができるので、成果を重視して仕事に取り組むことが当たり前となります。
結果として「課題解決力」が身に付き、成果が早く出るように業務をこなせるようになるため、上司に良い評価を受けられることにつながります。
説明・説得力のスキル向上
さらには、業務推進していくには、周りの上司や同僚の力を借り、周りを巻き込まなければ仕事は進みません。
業務報告書を作成することは、「自然言語」を論理的に操る能力を高めることに繋がるため、上司や同僚に伝えたいことが正確に伝わるようになってきます。
伝えたいことが正確に伝わるようになると、当然のことながら、コミュニケーションが円滑になり、「説明・説得力のスキル向上」が得られるため、プレゼンスキルも向上し、周りを上手く巻き込みながら業務を進めることにも繋がります。
業務報告書作成による「企業側」5つのメリット
業務報告書を部下に作成させると企業側にとっては、リソースの最適化による「事業推進」や「コスト削減」などができるのがメリットです。
コミュニケーション改善によるコスト削減
私がコンサルティングや勤務して関わってきた企業では、暗黙知、経験知、曖昧な表現などにより「上司の指示が理解できない、、、」「部下からの報告が理解できない、、、」という、お互いの伝えたいことが正確に伝わらないコミュニケーションエラーが、現場では頻繁に起きていました。
- 一度で伝わらないから理解してもらえるまでに時間がかかる。
- なかなか理解してもらえないから感情的になる。
- 理解してもらえにくいからコミュニケーションが少なくなる。
こういうコミュニケーションエラーが起きると、手戻りが増え、各部署の生産性、さらには会社全体の生産性低下に繋がります。
会社全体の生産性を上げることも重要ですが、業務報告書により「一度で伝えたいことを理解してもらえる」ことで各部門、各課、各係の小単位での分散が縮まり、コミュニケーションがスムーズになります。その結果、手戻りが少なくなり各部署の生産性の向上に繋がります。
業務進捗の可視化
業務報告書によってプロジェクトの進捗が予定の何パーセント程度進んでいるのか、目標数値に対してどの程度の進捗があるのかがわかります。
進捗が遅れているプロジェクトにリソースを追加したり、課題が多くて進めるのが難しいプロジェクトをストップさせたりすることが可能です。
個人の業務管理をしながら、事業戦略を考えるための重要な情報を手に入れられます。
人事評価制度に活用
また「人事評価制度」に業務報告書を用いることもできます。
従業員一人一人がどの程度の業務量をこなしていて、どのような成果を出しているかは業務報告書を見るとわかりますので、評価資料として何が必要かを考えて、業務報告書のひな形を用意すると人事評価制度に使いやすくなります。
現場力の強化(組織体質の改革)
日常業務だけでは企業競争に勝つことはできません。
中・長期経営計画の組織最大の成果を実現させるマネージメント手法である方針管理の目標(ありたい姿)を達成するために、業務報告者一人一人に対して「企業文化や仕事の仕方」を教えるOJT教育の絶好の機会となります。
部下が行った業務が、目の前の成果だけではなく、その背景である「企業理念や会社方針に対してどのような貢献をしているのか?」までを伝えることで、従業員のモチベーションを高め、保有能力を最大限活用し、現場力の強化に繋がります。
仕事に目標を持って成長するスタッフの育成
企業競争力維持・向上のためには人材育成しかありません。
多くの企業では、「”数年に一度”人事部が行う人材教育」と、「”毎日”現場で上司から部下へ行うOJT教育」があり、人事部が行う人材教育は、知識を学ぶといったもので、その知識を実際の仕事に活かすように磨き上げるのが、現場でのOJT教育です。
OJTは「On the Job Training」の略語で、常に1つ上の仕事を、教え、やらせ、部下に仕事を渡すということを、上司や先輩が実務を通じて、必要なスキルや知識を指導していく教育方法です。
業務報告書を作成し、上司に報告するということは、ひとつ上の仕事もしくは、ひとつ幅の広い仕事をやった証であり、その目標の達成感が仕事を面白くします。
面白い・好きを追求する心には限界がありません。日々のOJT教育で、スタッフの「好奇心」と「追求心」を常に刺激しながら、生涯スタッフが仕事を楽しみながら成長できる会社となっていきます。
新人でも理解できる業務報告書の書き方
業務報告書にフォーマットがある場合には、その通りに必要事項を記入すれば構いません。しかし、実際にはフリーフォーマットで業務報告書の提出を求められる企業が多くなっています。
業務報告書の書き方は「8つの項目」を順番に記載していくだけなので、新人でもすぐに作成可能です。
報告書の概要が分かる標題(タイトル)
業務を行なった日時
業務の目的
実施した業務内容
業務に使用した時間
結果に対する自分の考え
これから取り組む業務内容
上司への提言や相談事項
業務報告書はあくまで業務内容を伝えるのが目的です。ただ、部下が多い上司は誰に何を任せているかがわからなくなることもあります。
業務目的を最初に示した上で、実際に実施した内容と、成果の達成度などの自分の所感を伝えましょう。課題が見えてきたときには提言や相談事項を業務報告書に盛り込むと、上司が検討してくれます。
業務報告書で伝えるべき内容
報告者にとって業務報告書は自分に任されている業務を円滑に進めるのに役立つだけでなく、自分の評価にもかかわる可能性があります。
業務報告書の書き方で迷ったときには、何を伝えるべきかを整理してから書き始めましょう。業務報告書に記載して上司にはっきりと伝えるべき内容は以下の5つです。
- 実施した業務の内容と結果
- 業務によって得られた成果
- 業務を通して見えてきた課題
- 課題を解決するための方法
- 業務結果を踏まえて未来へ向けて今後やるべきこと
基本的には実施した業務の事実を伝えることを優先します。業務の内容と結果を簡潔にまとめるのが大切です。
業務報告書は字義的にはこれで十分ですが、さらに成果や課題を業務結果から導き出し、課題解決の方法や自分がやるべきことを明確化できるのが理想的です。
業務の事実と自分の意見や考えは別にして、項目を分けて記述するとわかりやすくなります。
「業務報告書」は、社内の人材育成に適した最強ツール
業務報告書を活用した人材育成は、考え込まずにパッと思い浮かぶだけでも、以下の8つのメリットがあります。
業務報告書作成による「報告者」3つのメリット
- 上司に理解してもらえる
- 課題解決力(問題解決)のスキル向上
- 説明・説得力のスキル向上
業務報告書作成による「企業側」5つのメリット
- コミュニケーション改善によるコスト削減
- 業務進捗の可視化
- 人事評価制度に活用
- 現場力の強化(組織体質の改革)
- 仕事に目標を持って成長するスタッフの育成
知識を学ぶために外部講師に単発で研修を受けるよりも、自社の仲間内で継続的に日々行う「社内人材育成の仕組み」を持った方が、どう考えても費用対効果は高いです。
教育を通して、独自ノウハウなど口伝することで、社内のコミュニケーションがスムーズに取れるようになり、会社方針の共有化が図れます。その結果、コスト削減まで行え競争力の強化が図れる。
それぐらい「業務報告書」を人材教育に活用することには価値があります。
そして、まだまだ、その道のプロに任せた方が良いと考える人もいるかもしれませんが、その危険な考え方に早く気が付いてもらわなければいけません。
近年、生産する製品はとても複雑化し、ライバル企業も年々強くなっている中で、競争力を高めるために外部講師に依頼してノウハウを学べば、ポンッと業務効率化や現場力向上など、簡単に効果が出るほど、甘いものではありません。