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問題解決手法「要因分析・要因解析」の違い!と正しい解決手順

2016年1月5日

問題解決手法「要因分析・要因解析」の違い!と正しい解決手順

製造業では仕事をしていると、さまざまな問題に直面することが日常茶飯事です。

周囲の上司や先輩に相談すると、素早く問題を解決してくれる経験豊富な人に出会うことがあります。彼らは過去の経験から得た知識や洞察を駆使して、迅速かつ効果的に問題に取り組むことができます。経験から学ぶことは非常に重要であり、多くの状況で役立つスキルです。

しかし、変化が激しい現代社会では、過去の経験だけでは対処できない新たな問題に直面することも少なくありません。

これに対処するためには、経験に頼るだけでなく、論理的思考と問題解決のスキルが必要です。難解な問題を理解し、効果的に解決する能力は、高い市場価値を持つことにつながります。

この記事では、問題解決における重要なスキルである「要因分析・要因解析」について探求していきます。未知の問題に対処する方法や、より効果的な問題解決のための考え方に焦点を当ててみましょう。

ということで今回は、問題解決手法の一つである「要因分析・要因解析」について解説していきます。

要因分析・要因解析の違いとは?

要因解析と要因分析は、品質管理や問題解決のプロセスで頻繁に使われる重要な手法です。それぞれの違いを理解することが、問題の本質を把握し、適切な対策を講じるために非常に役立ちます。

要因解析とは?

「要因解析」と「要因分析」は、共に問題解決手法の一つであり、特定の問題や不具合が発生した際に、その原因を特定し、根本的な要因を明らかにするプロセスです。原因を明らかにすることで問題解決につなげることを目的としています。

「要因解析」は、原因と結果の因果関係を明らかにすることで、問題が起こる根本原因を特定する手法で、「5つのなぜ」を用いて、問題が起こった原因を根本原因まで追求することで、改善策を見つけ出します。

たとえば、製品の不良品率が高いという問題があった場合、「製品が不良になる原因は何か?」という問いかけから始まり、「不良品が出る原因は何か?」というように、何度もWHYという質問を繰り返して原因を特定していきます。

問題が発生した時点で、なぜそれが起きたのかを調査し、ルートカウズ(根本原因)を見つけ出すことを目的とします。具体的な手法としては、5W1H(Why, What, When, Where, Who, How)分析や魚の骨図(魚の骨グラフ)などがあります。

要因分析とは?

一方で、「要因分析」は、問題が発生した結果から、その原因を特定することで、その原因を取り除いて問題を解決する手法で、原因と結果の関係性を明確にし、因果関係をもとに問題を分析し、原因を取り除くことで改善策を見つけ出します。

たとえば、製品の不良品率が高いという問題があった場合、不良品が出た製品を検査し、原因を特定してその原因を取り除くことで改善策を見つけ出します。

特定の目標を達成するために、どの要因が最も影響力を持つのかを評価し、優先順位付けをするプロセスです。問題解決だけでなく、改善プロジェクトや戦略策定の際にも使用されます。具体的な手法としては、SWOT分析(Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threats)やPDCAサイクル(Plan, Do, Check, Act)などがあります。

要因解析は問題の原因を特定するための手法であり、要因分析は目標達成のための最適な戦略を見つけるための手法です。要因解析は「なぜ問題が発生したのか」を明らかにし、要因分析は「何を優先して対策を講じるべきか」を考えます。

要因解析・要因分析は、どちらも問題解決において重要な手法であり、適切な手法を選択することで、問題解決の効果を高めることができます。

要因解析とは、物事を発生させる主要な原因を、細かくとき分けて、組織的、論理的に調べることにより「原因と結果との関係を明らかにすること」つまり、基準と現状とのギャップの要因(原因)を明確にすることです。

もっと分かりやすく言うとすれば、「ありたい姿と現状の差の原因を突き止めること」になります。

そもそも要因とは何か?

色々な場面で「要因」という言葉が使われますが、要因とは「物事の成立に必要な原因」という意味があり、成立要因として表現することや強調して要因を表す時に使われることが多いです。

ネガティブに感じる言葉ではありますが、ポジティブなことにも使える言葉なので万能とも言えるでしょう。

ただ、要因自体に成立した理由が含まれるので、どんな場面で使っても意味は変わりません。

ちなみに要因の類語には、「原因(意味:物事を引き起こす元)」と「誘因(意味:原因とほぼ同意語で、引き起こす原因を指す要因よりも範囲委が広い)」があります。

こうしたことから数ある原因の中で最大の原因・誘因を「要因」と表現する場面が多いのです。

「要因」の使い方

「要因」という言葉はネガティブなことでもポジティブなことでも使える万能な言葉なので、以下の使い方ができます。

  • 例文1:トラブルが起きてしまった要因は社員の嘘であった
  • 例文2:会社が成功した要因は、地道な努力に他ならない
  • 例文3:人気のある商品の要因を知りたい

要因という言葉は難しい意味ではないため、日常生活の中で使う・聞く機会が多いかと思います。

また、海外では要因を"factor"と言い、「結果が生じるのに寄付した要素」という意味があり、全世界で通じる・使える言葉なので、意味や使い方を知っておくと非常に便利です。

どんな場面でも使えるので、正しい意味を理解して日常的に使いこなせるようにしておくことをおすすめします。

要因と原因の違いとは?

まず、ここで重要なのが「要因解析」と「原因分析」と似たような言葉ですが、全く意味は違うということで、ごっちゃになっている人が、実は結構います。

例えば、言葉の意味を調べると明らかなのですが、、、

  • 「要因」とは、物事を発生させることになった主要な原因のこと。
  • 「原因」とは、ある物事や、ある状態・変化を引き起こすもとになること。

というように、「要因」と「原因」では全く意味が変わってきます。

そして、「解析」と「分析」でも。

  • 「解析」とは、物事を細かくとき分けて、組織的、論理的に調べること。
  • 「分析」とは、複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること。

つまり、【要因解析】の意味は『物事を発生させる主要な原因を、細かくとき分けて、組織的、論理的に調べること』であり、それに対して【原因分析】の意味は『ある状態を引き起こす”もと”となる複雑な事柄を分け、その構成などを明らかにすること』です。

では、「要因解析」について話を進めていきましょう。

要因解析手法の4ステップ

要因解析4ステップ

【ステップ⓪】:活動計画作成

まず初めに、活動スケジュールの決定と役割分担を決定し、活動計画表にまとめます。

問題解決ステップ

【ステップ①】:現状調査・現状把握

 真の原因を見つけ出し要因解析を行なう為に、データを取り、今まで分かっている事実を収集・整理して、ヒストグラム・パレート図・グラフ等で極力データで表し、特性がどうなっているのか、特性を生み出している要因の洗い出しメカニズムの解明を行いましょう。

この時に、層別の考えを取り入れ、あらゆる視点から調査してみることが大切です。そのためにも、現地現物で工程をしっかりと観察してメカニズムの解明を行いましょう。

現地現物でよく観ることが最も有効であり、最も重要なことです。「答えは必ず現場にある」と言われるくらいで、自分では想定もしてなかった思わぬところに答えが隠れていることがあります。

ここで注意すべきポイントは、事実を見ることですが、この「事実を見る目」は、無意識に色眼鏡をかけて、自分の思ったように見る恐れもあります。過去の成功体験から「多分こうじゃないだろうか?」と色眼鏡をかけて物事を見てしまい、勘やコツに頼って事実を見誤ってしまう恐れがあります。

「問題解決」 と言う言葉を難しく考えてしまい、後ずさりする人をよく見かけますが、これは大変な誤解であり、問題解決は非常に単純なことで「世の中の原理」(当たり前の事〉で考えれば良いのです。

※メカニズムの解明には、前のステップの「現状把握」で活用した特性要因図が有効で、4M(人・機械・材料・方法)+1E(環境)の観点から調査したデータ・情報も活用できます。

【用語解説】:ヒストグラムとは?

ヒストグラムとは、データをいくつか区間に分けてデータを集めて数をグラフで表した図で、ヒストグラムを使うと数値データからばらつき、平均、分布の形状、全体の傾向を分かりやすかく可視化することができるというのが特徴です。

ヒストグラムは、主に品質管理に活用されることが多く、規格上上限値と規格下限値に分けて規格内であれば良品で、規格外であれば不良品であるというデータを判明することができます。

ヒストグラムのグラフの特徴は、中央値が高く、中央値から離れていくとだんだん低くなるのが特性です。形状は、横軸にデータ範囲をいくつか分けて区分化し、縦軸は各データ範囲に納まる度数を柱の高さ表します。

ヒストグラムを使うと製品のばらつきが明確にわかるようになるのでとても活用しやすい手法です。

【用語解説】:パレート図とは?

パレート図は、イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが考案した、データを項目別に分類して、大きさの順に並べた図です。

パレート図の特徴は、データを層別して大きい順に棒グラフを作成し、累積比率を折れ線で表す特徴があります。データをよく分類するのは、不良項目別、機械別不良などのデータを取ることが多いです。

この図を使うことで、最も重要なデータを一目で確認することがでます。パレート図の使用目的はどの項目に問題があるか把握することができるという改善点を明確に見つけるという目的です。

他にも改善前と改善後のデータを照らし合わせて効果を確認することができたり業務報告や記録などに活用することができるので幅広く使用することができます。

【用語解説】:グラフとは?

グラフは、複数のデータ間の相関を見える化したもので、大きな特徴は時系列で状態の時間変化を知ることができることです。そして量の大きさ、割合の比較、項目間のバランスを見るのに使われることが多く目で見てわかりやすく簡単に作成することができます。

グラフにはいくつか種類があり、よく聞くのが折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、帯グラフ、レーターチャートなどそれぞれ挙げられます。

グラフを用いるメリットはデータをより視覚的に表現することができるので、数値の比較や変化を読み取れやすくなるので社内でのコミュケーションもより円滑になりやすいです。

【ステップ②】:「なぜなぜ分析」で要因(原因)を洗い出す

 問題発見で捉えたズレから出発し、特性に影響を与えていると思われる要因を、「なぜ、なぜ、なぜ」の観点でブレーンストーミングを用いて、多くの意見をランダムに集め洗い出しましょう。※考えられるものを全て洗い出します。

なぜなぜ分析とは何か?

「なぜなぜ分析」とは、発生した問題事象に対して、「なぜ?」を5回繰り返し根本原因を探っていく分析手法の一つです。

問題に対してなぜその事象が発生したのか?原因を見極め、さらにその原因はなぜ発生したのか?を見極める、その作業を繰り返していくことによって、直接的な一つの原因の発見にとどまらず、根本的原因事象に辿り着くように分析を行なっていきます。

これを行うことによって、一つ目のなぜで辿り着いた原因に対して改善策を施して一時的には改善を図ったものの、その原因が発生しうる原因事象の見落としによる問題の再度の発生を未然に防ぐことが可能になります。

問題のケースによっては一概に言うことはできないですが、一般的には、「なぜ?」を5回繰り返すことで根本的な原因に辿り着くことができると言われています。

それぞれのケースにおいて、問題の原因を洗い出し、その原因の原因を現地現物で確認の上、洗い出していく作業が最初に必要となりますが、その際に漏れやダブりがあると、なぜなぜ分析として上手く機能はしていきません。

なぜなぜ分析のやり方・進め方

なぜなぜ分析を始める上で、まず行うのが問題事象の定義づけです。

例えば、「品質管理を行う業者がいたとして、期限切れの商品を出荷してしまった、、、」としましょう。

この事象の解決策を考えていく際に、そのままを問題事象にするケースと期限切れの商品が棚に並んでいることと期限を確認せずに出荷してしまったことの2つを問題事象に分けて設定するケースが出てきます。

なぜなぜ分析を行っていく上で、一つの事象に対して原因を追及していくので、問題は1つずつに設定して取り組んでいくことが始めは望ましいです。

このケースにおいては、「期限切れの商品が棚に並んでいた問題事象」と「期限切れの商品を出荷してしまった問題事象」という、二つのテーマに分けてなぞなぞ分析をそれぞれに掛けていくことが望ましいといえます。

分けることのメリットとしては、それぞれの事象でなぞなぞ分析を進めていき、原因を探し出せた際にどちらの原因の解決がより大きな効果をもたらすかという判断ができるため、対策によるより明確な費用対効果を考えることが可能になります。

なぜなぜ分析で怖い「思い込み」

なぜなぜ分析を取り入れて、思うような原因を発見して解決策を講じて問題発生を抑えることができたのに、また同じ問題が発生してしまった、、、。

なぜなぜ分析を取り入れたのに結局解決することができなかったのか?

このようなケースは、実はよくあり、上手くいかなかった原因として、なぜなぜ分析のフレームワークがうまくいっていなかったことが予測されます。

よくあるケースとして原因分析の際の「思い込み」があり、これがなぜなぜ分析の怖いところです。

思い込みには二つのケースあり、一つ目は、経験豊富なスタッフに多い、これまでの経験上、この問題に対する原因はこういった原因が考えられる。と、現地現物での確認をおろそかにし、あたかも「その原因が正しいと思い込んでしまう」ことが考えられます。

なぜなぜ分析を行う際には当然ですが問題と原因が論理的につながっている必要があります。その論理性が繋がらなくなってしまうとなぜなぜ分析はうまくワークしません。

二つ目は、まだ経験が少ないスタッフが陥りがちな「原因を1つと思い込んでしまう」というケースです。分析を進めていく中で、原因が2つ3つと枝分かれすることがあります。ここを無理に1つの原因にまとめてしまう、枝分かれするはずの原因を見落としてしまうことによって解決するべき原因に辿り着けない可能性が出てきてしまいます。

なぜなぜ分析が、なぜうまくいかないのか?

なぜなぜ分析がうまくワークしない、問題解決に繋がらないといった際に考えられあるケースとしては大きく二つが考えられます。

一つ目に、問題事象の定義付を丁寧に行う必要があるということ。実際現場でなぜなぜ分析を取り入れ、問題事象を決めるときに実務経験もあるためにここが問題だろうと決めつけてしまうことがあります。ここで問題事項曖昧にしてしまうと根本的原因に辿り着くことができません。問題事項を因数分解して、いくつかの問題に分けて設定しそれぞれでなぞなぞ分析をかけていかことが大切だと思います。

二つ目に、思い込みによる原因分析の誤りと見落としが考えられます。分析した原因が論理的に問題に対して繋がらない場合は当然問題解決にも繋がりませんし、分析の過程で枝分かれさせて考えるべきものを一つとしてしまうと、そこから洗い出されるべき根本的原因に辿り着けないようになってしまいます。

なぜなぜ分析は、取り組みを間違えなければ、丁寧な作業が必要になりますが効果は大きく出るワークになると考えています。事象に対して漏れなくダブりなく原因を考えていくことで根底にある原因へ到達することが可能になると考えています。

【用語解説】:現地現物とは?

現地現物とは、実際に足を運び、自分の目で現物を見て事実に即して物事を客観的に見るということを意味していて、生産現場やサービス現場に足を運び顧客とコミュケーションを取ることで問題点を洗い出し、効率的に業務を進める行為です。

現地現物の目的は、実際の問題が起きた現場のことはわからないことがあり事実の相違を防ぐために現地で手に取って問題を解決する糸口を見つけるということです。

現地現物の原則というのがありPDCAサイクル(計画、実施、確認、処置)を繰り返すことで品質の質を高め、能力の向上に繋がることができます。

そしてファクトコントロールで判断し、行動する、顧客第一で物事を考えるということで、仕事における問題を解決する問題解決能力を高め流ことに繋がり、顧客が求めているサービスを提供できる仕事が、全体最適化へと繋げることができます。

【ステップ③】:特性要因図で洗い出した要因を整理・解析する

 洗い出した要因について、問題と要因の関係を調べるため、経験と技術的知識で整理し、大きくまとまっているもの・関連のありそうなものに分別し、関係を決めます。この時、特性要因図(フィッシュボーン)、系統図、連関図などを作成し活用することで真因追究を行いましょう。

※データ分析を疎かにして経験のみの先入観で要因の見逃しをしないように注意しましょう。

要因解析図(特性要因図)とは?

要因解析図とは『解決するべき事実(特性)と、それに与える原因(要因)を系統的に整理した図』のことで、結果に対してどのような原因がどのような関係で影響を与えているのかを明らかにして、原因の追求を行うためのQC手法です。

つまり、ある目的をもった仕事の結果(特性)と、これに影響を与える原因(要因)との関係を系統的に整理してあらわした図のことを「要因解析図」と言います。

要因解析図は、「特性要因図」や「フィッシュボーン・チャート(魚の骨図)」とも言われ、結果がどのような要因によって引き起こされたのかを明らかにする図のことで、普遍的に活用できる点から高い評価を得ています。

この特性要因図は、1956年に製造現場の改善活動「QCサークル活動」を提唱した、石川馨氏(当時:東京大学教授)によって発案。

どんな些細な問題でも都度更新することで常に最新の原因を究明することができ、重要と思われる要因が見つかった時はその課題に注力することで効率的に問題の改善が図れるというメリットがあります。

特性要因図の型には「原因追求型」と「対策追求型」という2つの型がありますが、特性要因図を使って要因を出していく上でポイントになるのは、要因を考えるための「切り口(大骨)」を見つけることです。この切り口を考える上でヒントとなるのが、4M「人・機械・方法・材料」です。

特性要因図

特性要因図とは、仕事の結果に対して影響していると考えられる要因を洗出して矢印で因果関係を関連付け、魚の骨のような図に表したものです。

特性要因図の作り方

  1. 解決しようとする問題の 「特性」を決定する。
  2. この特性に影響を与えていると考えられる要因をブレーンストーミングを活用して、できるだけ多くリストアップする。
  3. このとき連想が浮かぶように4M(Man人、Machine機械、Material材料、Method方法)の1Mごとに要因をリストアップすると良い。
  4. 特性に向かうフィッシュボーンの背骨を描く
  5. 4M(Man人、Machine機械、Material材料、Method方法)から背骨に向かう大骨を描く。
  6. 大骨に向かう中骨を描き、その始点に事実と確認できる要因を選び記入(要因は主語+述語で書く)
  7. 事実に基づき、なぜなぜで掘り下げる(なぜ?なぜ?は、この事実をベースにスタート)
  8. 次へ進むときは「なぜ?」戻る時は「だから」というストーリーが成り立つようにすること
  9. 要因の表現の仕方は、基準を明確にし、それに対しての表現を用いること。
  10. 具体的な対策のイメージが湧く「主要因」が見つかるまで「なぜ?」を続ける。
  11. 推定重要要因に対して、重要と思われる原因に○をつけ、その原因が結果に対して影響しているかの検証を行う事が重要。

特性要因図4つの用途

  1. 品質管理や品質改善・解析用
    品質向上、能率向上、コストダウンなどを目標に現状を解析し、改善する場合
  2. 品質管理用
    クレームや不良品の多発など異常の起きた原因をさがし、除去する場合
  3. 作業標準作成用
    作業のやり方、管理点、管理方法などの作業標準を新たに決めたり、改正する場合
  4. 品質管理導入用、教育用
    ・品質管理導入に際して問題点を特性要因図にまとめる場合
    ・管理図と合わせて要因を列挙し、アクションの一助とする場合
    ・新人の教育、仕事の説明をする場合      

こうした様々な使い方ができるため、要因解析図(特性要因図)は製造部門だけではなく、研究部門や営業部門など多くの部門で使われています。

要因解析「4M」とは?

要因解析で使われる4Mというのは、製造工程でバラツキを生じさせる原因である4M(Man:人・Machine:設備や工具・Method:工程や方法・Material:材料)の要素の頭文字を指しています。

これらの4Mをしっかり管理することで、出荷の合格ラインを満たしていない不良品の改善策を考えるなどの原因を特定することができます。

「職場は生き物」と言われるように、毎日仕事していればさまざまな変化が必ず生まれてきますが、4Mを分類することで特に問題となっている部分を絞り込むことができたり、複雑に絡み合っている多くの問題を最小限に抑えることができます。

Man(人)

これは、スタッフや作業員のことで、安定した品質を生み出すには「人」のスキルの維持向上が必要不可欠であり、日々の生産において、工程と作業者のマッチングが非常に重要です。

生産現場では、常に安全・品質・生産・コストの向上と同時に、効率化が求められますが、効率を上げるには徹底的なムダの排除や作業方法の変更など多くの方法がありますが、最も重要なのが作業者の知識やスキルの向上です。

熟練度の低い作業者と工程のマッチングが上手くいかなければ、いくら最新式の設備を導入したとしても、ボトルネック工程になってしまう恐れがあります。

Machine(設備や工具)

ものづくりの製造現場には、数多くの機械が導入され、日々の生産活動が行われています。その設備や工具も、改造や設備移設があったり、設備故障や設備異常が起こりします。

設備や工具は、どれほど熟練度の高い作業者が、どれだけ大切に使用しても、経年劣化を免れません。設備や工具の性能が落ちてくると生産能力が低下してしまいます。

Method(工程や方法)

これは作業方法のことであり、品質の高い製品を安定して製造する方法のことです。

製造業やものづくりが行われる繰り返し作業の工程では、タクトタイム変更や工程変更などがあったとしても、初めて現場で作業する初心者でも、誰がどの工程で作業しても、安定した品質の製品が生産できるよう、各製造工程のムダのない効率的な生産を行う標準化を行なっています。

Material(材料)

製造業やものづくり企業として、製品を造るには、その素材となる材料が必要になります。

設定変更や素材変更などもあるため、品質管理を考えると「どれだけの量を入荷すればいいか?」「どのようにして調達するか?」は、とても重要な業務です。

良い特性要因図をつくるためには

  1. 多くの要因を上げる
    職場における問題は、色々な要因が複雑に絡み合っています。簡単にいくつかの要因を書き並べただけでは、問題は解決されません。そのためにも多くの要因を上げることが重要です。
  2. 現場をよく観察し考察する
    トヨタでは、よく現地・現物・現実という言葉を耳にしますが、特性要因図を作る時も、机上の空論ではなく、現地に行って現物を見て、現実を確認することが重要です。
  3. 要因の重みづけを行い検証を行う
    多くの要因に対し全てに対策することは難しいため、メンバーの意見を参考にしたり、データを取ったりして、絞り込むことが重要です。そして重要要因に対して実験・検証を実施する事が重要です。
  4. 要因を上げる時は、主語と述語で表現
    特性(問題)に対して要因を上げる時、主語だけでなく述語も入れる。

要因解析「系統図」とは?

目的を達成するための最適手段を系統的に追求して行く方法です。

製品品質や信頼性の機能的価値を低下させずに、製品の生産コストや購入価格の低減を行う方法「Value Engineering(バリューエンジニアリング)」で用いられる図表で、機能分析で抽出した要素機能の相互関係を体系化して表現する機能系統図の考え方、作り方を応用した手法で樹形図ともいわれ、家系図、組織図など、古くから使われています。

【ステップ④】:真因の検証をする

真因の検証方法

 洗い出した要因(原因)を整理・解析した上で、問題解決に重要な影響を持つ真の要因を探り見極めます。この時の要因は推定であり、しっかりと検証する必要があります。

 そして大事なのが、机上の推論ではなく事実の裏づけです。裏づけがない場合は、データ収集や実験・現地現物での確認・アンケート収集など、洗い出した要因と特性との関係を証明するために、実験やデータ収集を行い解析して裏づけを取りましょう。

※対策すべき真の要因は、対策したことが目や耳や手で確認出来るもの、計測できるものにします。

真因かどうかを確認する3つのポイント

  1. 「その要因を対策すれば問題が解決され、成果を上げ続けられるか?」
  2. 「もう一度”なぜ?”を質問すると、問題が拡散しないか?」
  3. 「因果関係が逆も成り立つのか?」

誰もが困難を伴なうことが予想される真因からは目を反らしたくなるものです。

しかし、「これならできそう、、、」という理由で選んではいけません。それは真因でない可能性が非常に高いからです。

「これならできそう、、、」ではなく、「これをやらなければならない!」という視点を持って取り組むようにしましょう。真因の対策でなければ、同じ問題が何度も繰り返し発生することになってしまいます。

要因解析・要因分析:実践4つのコツ

要因解析・要因分析を効果的に実践するためのコツやヒント、注意すべきポイントについて説明します。

具体的な例として、自動車工場の検査工程でドアフレームの傷が発生した事例について。今回の場合は、溶接治具へフレームをセットして、クランプ時にクランプに付着していた溶接スパッタが、フレームを傷付けていることが判明。

対策として、

  • フレームに付着したスパッタ除去
  • スパッタがフレームに付着しないようゴムカバー取り付け
  • スパッタが発生しないよう、溶接条件見直しと、パネルの板合わせ見直し

このような事例をもとにコツを挙げてみましょう。

コツ①:チームの結集と情報共有

要因解析・要因分析は複数の人材の知識や視点が必要です。関係者を結集し、情報共有を徹底しましょう。自動車工場の場合、製造部門、品質管理部門、溶接工程の専門家など関係者を巻き込んで意見や知識を集めます。

この事例における要因解析・要因分析では、以下のようなアプローチが効果的でした。

  1. 【チームの結集と情報共有】:関係者を集めて情報を共有し、問題解決に必要な知識や意見を集めました。
  2. 【なぜなぜ分析】:問題の原因を追求するために繰り返し質問し、スパッタのフレームへの付着原因を特定しました。
  3. 【特性要因図の作成】:スパッタのフレームへの付着要因を整理し、関連する要因を洗い出しました。
  4. 【対策の検討と実施】:特性要因図に基づいて具体的な対策を立て、スパッタ除去やゴムカバーの取り付けなどを実施しました。
  5. 【真因の検証】:実施した対策の効果を確認し、問題の改善を検証しました。

以上の手法を通じて、ドアフレームの傷の原因を明確にし、適切な対策を実施することができました。チームの結集と情報共有、なぜなぜ分析、特性要因図の活用が効果的な手法であり、今後も同様の手法を活用して品質管理や問題解決に取り組むことが重要です。

コツ②:問題の明確化と具体化

問題が発生した工程や現象を具体的に明確化します。ドアフレームの傷の場合、どの工程で傷が発生しているのか、具体的な傷のパターンや位置などを明確に把握します。

自動車工場の検査工程でドアフレームの傷が発生する問題に対して、以下の具体的な手順で要因解析・要因分析を実施しました。

  1. 問題の明確化と具体化
    • 傷が発生している工程を特定しました。この場合、溶接治具へのフレームのセットとクランプ作業が関与していることが判明しました。
    • 傷のパターンや位置を具体的に把握しました。溶接スパッタがクランプに付着し、それがフレームを傷つけていることが確認されました。
  2. 原因の洗い出し
    • なぜスパッタがフレームに付着しているのかを追求するために、なぜなぜ分析を行いました。
    • スパッタが付着している原因として、溶接条件やパネルの板合わせの問題が浮き彫りになりました。
  3. 対策の立案と実施
    • スパッタ除去、ゴムカバーの取り付け、溶接条件の見直し、パネルの板合わせの見直しなど、具体的な対策を立案しました。
    • 対策を実施し、スパッタがフレームに付着しないようにしました。
  4. 検証と改善
    • 実施した対策の効果を検証し、傷の発生が改善されたかどうかを確認しました。
    • 必要に応じて調整や追加の対策を行い、継続的な改善を図りました。

要因解析・要因分析を通じて、問題の明確化と具体化、原因の洗い出し、対策の立案と実施、検証と改善という手順を進めることで、ドアフレームの傷の問題に対して効果的な解決策を見出しました。このようなアプローチを取ることで、品質の向上や問題解決に積極的に取り組むことができます。

コツ③:ルートコーズ分析

なぜ溶接スパッタがフレームに付着して傷が発生したのかを追求します。なぜスパッタが発生してしまうのか、それがフレームに付着する原因は何かを分析します。さらにその原因の背後にある更なる原因を追及していきます。

自動車工場の検査工程でドアフレームの傷が発生する問題に対して、ルートコーズ分析(根本分析)を行いました。

  1. 傷が発生している原因の追求
    • なぜ溶接スパッタが発生するのかを分析しました。原因としては、溶接条件やパネルの板合わせに問題がある可能性が浮上しました。
    • さらに、なぜクランプにスパッタが付着するのかを追求しました。クランプの設計や使用方法に問題があることがわかりました。
  2. 追加の要因の追及
    • ルートコーズ分析を進める中で、スパッタの発生に影響を与える可能性がある要因を洗い出しました。例えば、溶接材料の品質、溶接機器のメンテナンス状況などが挙げられます。
    • それぞれの要因についてなぜ問題が起きるのかを追求し、根本原因を特定することを目指しました。
  3. 対策の立案と実施
    • ルートコーズ分析の結果を踏まえて、具体的な対策を立案しました。スパッタ除去やゴムカバーの取り付けなど、フレームへのスパッタ付着を防ぐ対策を実施しました。
    • 同時に、溶接条件の見直しやパネルの板合わせの見直しを行い、スパッタ発生の根本的な原因にアプローチしました。

ルートコーズ分析により、傷が発生しているドアフレームの問題について、スパッタの発生からそのルートコーズを追求し、対策を立案しました。このような分析手法を活用することで、問題の本質的な原因を特定することができます。

コツ④:対策の検討と実施

特定した原因に対して、具体的な対策を検討します。スパッタ除去やゴムカバーの取り付け、溶接条件や板合わせの見直しは、具体的な対策の例です。対策の実施後は効果を評価し、適宜修正を行いましょう。

ドアフレームの傷が発生する問題に対して、ルートコーズ分析を実施しました。その結果、問題の原因は溶接スパッタのフレームへの付着であることが判明しました。以下は具体的な対策とその効果です。

  1. 【フレームに付着したスパッタの除去】:フレーム上に付着したスパッタを適切な方法で除去しました。これにより、フレームの傷が減少し、品質が向上しました。
  2. 【ゴムカバーの取り付け】:クランプ部にゴムカバーを取り付けることで、スパッタがフレームに直接接触するのを防ぎました。これにより、スパッタによるフレームの傷が防止されました。
  3. 【溶接条件の見直しとパネルの板合わせ見直し】:溶接時の条件を再評価し、スパッタの発生を最小限に抑えるための改善を行いました。また、パネルの板合わせも正確に行うことで、スパッタの発生をさらに軽減しました。

これらの対策により、ドアフレームの傷の発生が減少し、製品の品質が向上しました。また、対策の効果を定期的に評価し、必要に応じて修正を行っています。このように、要因解析・要因分析を活用して問題の根本原因を特定し、具体的な対策を実施することで、品質向上や問題の再発防止が実現できます。

コツ⑤:PDCAサイクルの継続

要因解析・要因分析は一度行っただけでは十分な結果を得られません。改善策の効果を定量的に評価し、必要に応じて再度分析や対策の見直しを行いましょう。PDCAサイクルを継続して実施することで、持続的な品質改善が可能です。

ドアフレームの傷が発生した問題に対して、以下の具体的な対策を行いました。

  1. 【フレームに付着したスパッタの除去】:フレーム上に付着しているスパッタ(溶接時に発生する飛び散った溶けた金属)を適切な方法で取り除きました。これにより、スパッタによるフレームの傷が減りました。
  2. 【ゴムカバーの取り付け】:クランプ部にゴムカバーを取り付けることで、スパッタがフレームに直接触れないようにしました。これにより、スパッタによるフレームの傷が防止されました。
  3. 【溶接条件の見直しとパネルの板合わせ見直し】:溶接時の条件を再評価し、スパッタの発生を最小限に抑えるための改善を行いました。また、パネルの板合わせも正確に行うことで、スパッタの発生をさらに軽減しました。

これらの対策により、ドアフレームの傷の発生が減少し、製品の品質が向上しました。

ただし、改善策の効果を定量的に評価するために、PDCAサイクルを継続的に実施しています。必要に応じて要因解析や対策の見直しを行い、持続的な品質改善を実現しています。PDCAサイクルの継続的な実施が品質向上につながることを念頭において、取り組んでいきましょう。

上記のコツやヒントを実践することで、要因解析・要因分析をより効果的に行うことができます。関係者の協力を得ながら具体的な問題解決策を検討し、PDCAサイクルを繰り返すことで、より良い品質管理と持続的な改善が実現されます。また、注意すべきポイントもあります。

  1. 【主観的な思い込みに注意する】:なぜなぜ分析や要因解析を行う際には、客観的な視点で考えることが重要です。個人の主観や先入観にとらわれず、客観的なデータや事実に基づいて分析を進めましょう。自動車工場の例では、スパッタがフレームに付着する原因を客観的に追求し、主観的な思い込みに囚われないよう注意しましょう。
  2. 【結果の根本原因を見逃さない】:要因解析・要因分析では、表面的な原因だけでなく、その背後にある根本原因を見つけることが重要です。特性要因図やなぜなぜ分析などの手法を活用して、深層に潜む根本原因を特定しましょう。ドアフレームの傷の例では、スパッタ発生の根本的な原因や溶接条件の問題など、結果の背後にある本質的な要因を見逃さないようにしましょう。
  3. 【チームのコミュニケーションと協力を促進する】:要因解析・要因分析は複数の関係者が関与する作業です。チーム内でのコミュニケーションと協力を促進することが重要です。意見や知識の共有、円滑な情報伝達を確保し、チーム全体で問題解決に取り組みましょう。定期的なミーティングや進捗報告などを通じて、関係者の意見を反映させ、チームワークを高めましょう。

要因解析・要因分析は、品質管理や問題解決において非常に有効な手法です。しかし、客観性を保ち、根本原因を見つけるために注意が必要です。チームの協力とコミュニケーションを大切にし、PDCAサイクルを回しながら改善を進めましょう。これによって、持続的な品質向上と業績の向上が実現されます。

最後に

要因解析とは、「原因と結果の関係を明らかにすること」です。つまり「ありたい姿と現状の差」の原因を突き止めることで、問題解決の中で最も重要なステップになります。

要因解析では、「なぜ?なぜ?」と質問を繰り返すことで、事実の背後にある真の要因を見つけ出します。まさに要因解析は掘り下げていくことが命です。

掘り下げて解析を進めると新たな事実の調査が必要になりますので、きちんと客観的事実のデータ収集を行ないましょう。「原因と結果の関係を明らかにする」には、正しい事実関係を把握できないと正しい対策ができないからです。

 例えば、【車のタイヤがパンクした、、、とする】

  1. タイヤに釘が刺さった?
  2. タイヤの空気圧が少なかった?
  3. タイヤのゴムの劣化?

この考えられる要因系①②③を調べれば良く、ただそれだけのことです。

問題解決の経験差は、ある不具合に直面した時考えられる要因系が「だいたいあの辺だろう」と、知っているか?知らないか?だけのことで、調査で調べることは同じです。

経験の差によって上記①②③の調べる順番が違い、要因が早く見つかり易いかどうかの違いだけで、調べる内容は同じなのです。大切なのは、如何に「早く・正確に」調べるかになります。


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問題解決の8ステップ

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