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統計的な考え方「QC7つ道具:特性要因図(フィッシュボーン分析)」とは?

2015年12月31日

統計的な考え方「QC7つ道具:特性要因図(フィッシュボーン分析)」とは?

今回は、フィッシュボーン分析やフィッシュボーンチャートと呼ばれる『統計的な考え方「QC7つ道具:特性要因図」』に、ついてお伝えしたいと思います。

特性要因図(フィッシュボーン分析)とは?

特性要因図

 特性要因図とは、要因解析の時に活用する、特性と要因の関係を系統的に線で結んで表した図をいう。

仕事の結果に対して影響していると考えられる要因を洗出して、因果関係を関連付け、魚の骨のような図に表したものである。
※要因とは、原因の候補で、原因とは決まったものではない。

特性要因図は、結果(特性)に原因(要因)が、どのように関係し、影響しているのかを一覧に書き出したもので、問題改善の手がかりを得る方法として効果があります。

特性要因図(フィッシュボーン分析)を使って何をするか?

原因を整理して、議論するための材料

毎日の生産活動の中では、様々な問題や品質不良が発生しますが、多くの問題や品質不良を恒久的な対策ではなく、応急処置で済ませてしまっていることはないでしょうか?

問題解決にあたって、原因と考えられるモノは非常に多く、様々な要因が絡み合って複雑になっています。これでは、真因まで解析する時間がなかったり、原因が分からなかったりで、今の起きている問題がとりあえず収束するための手段を選んでしまいます。しかし、このままでは同じような問題が再発してしまいます。

問題解決の時、様々な項目別分野から要因を洗い出して行きますが、この特性要因図を使うと問題の因果関係がよく整理できるのです。つまり、特性要因図は、問題という結果に影響していると思われる原因を整理するためのモノであり、整理することで関係者全員が共通認識を持ち、同じ言葉で分析することができるツールで、議論するための材料でもあります。

特性要因図の2つの使い方

①:管理用特性要因図

予防を目的として管理を必要とする項目を全て洗い出したもの。現場データがなく、知識・経験・理論から洗い出し、対策はすべての要因に講じる。

【用途】
「管理用」:クレームや不良品の多発など異常の起きた原因をさがし、除去する場合

②:解析用特性要因図

すでに発生した問題のデータを収集し、そのデータから要因を推定して洗い出し、対策を講じる。

  • 原因確定型・・・原因を明確にしてから対策を講じる。
  • 対策先行型・・・疑わしいものに対策を講じていく。

【用途】
「改善・解析用」:品質向上、能率向上、コストダウンなどを目標に現状を解析し、改善する場合
「作業標準作成用」:作業のやり方、管理方法などの作業標準を新たに決めたり、改正する場合

どのタイミングで使うのか?

この特性要因図は、問題解決の7ステップの中の「④:要因解析」で使います。要因の解析とは、“原因と結果との関係を明らかにする”ことです。特性に関する現状を調査し、要因(原因)を洗い出す。洗い出した要因を整理・解析し、真因の検証をする。問題解決の7ステップの手順の中でも一番重要なステップです。

このステップをしっかりやらないと、後の対策事項が的外れになったり、最終的に目標が達成できなくなることがあります。

問題解決8つのステップ1
問題解決ステップ

特性要因図(フィッシュボーン)のやり方・書き方

  1. 特性を決め、背骨を書く
    ・できるだけ具体的に表し、右側に書く
  2. 大骨の要因を決める
    4Mを基本とし分類する「人 (Man)・機械(Machine)・方法(Method)・材料(Material)」
  3.  中骨、小骨、孫骨の要因の記入
    ・要因は具体的にアクション取れるまで追求
  4. 要因を確認する
    ・要因に漏れはないか?
    ・違う分類になってないか?
    ・中骨、小骨、孫骨の順序は正しいか?
  5. 重要と思われる要因に印をつける
    ・特性に何が大きく影響しているか?データを優先して決める。
  6. 重要要因の検証をする
    特性に重要な影響を与えているのか、事実を確認する
特性要因図

特性要因図の書き方:6つの注意点

  1. 「参加者全員の知識や経験を集めること」
    できる限り、様々な立場の関係者に集まってもらい、自由に発言をしてもらいながらブレインストーミングで自由な発想で行うことが大切です。ブレインウトーミングの原則「批判しない・多数歓迎・自由な発言・便乗結合」
  2. 「管理的要因を忘れないようにすること」
    例えば、作業者別、機械別、原料ロット別、天候、気温などの管理要因を忘れずに。
  3. 「誤差に注意すること」
    測定誤差、官能検査、サンプリングなどにも注意が必要。
  4. 「特性ごとに特性要因図を書くこと」
    例えば、特性を不具合品とした場合、組み付け不良、仕上がり不良、キズ不良などに分けて、それぞれについて特性要因図を描く。
  5. 「要因を層別すること」
    計量的要因と計数的要因に区分しておく必要があります。計量的要因とは、生産台数、不良件数、人員など不連続に変化する要因。計数的要因とは、温度、湿度、圧力、速度、回転数など連続して変化する要因のこと。さらには、原因のきき方を、散発的、周期的、慢性的に分けておく。
  6. 「解決に重点を置いて実施すること」
    5W1Hを活用しながら「なぜ、その問題が起きたのか?」よりも「どうしたら解決できるのか?」に重点を置いて作成する。5W1H「①なぜ必要か(Why)②目的は何か(What)③どこで(Where)④いつするか(When)⑤だれがするか(Who)⑥どんな方法で(How)」

なぜ特性要因図は時間がかかるの?

特性要因図(フィッシュボーン図)は原因をあぶりだす手法ですが、時間がかかるとされています。

その理由として挙げられるのが、

  1. 構造が複雑になりやすい
  2. 原因の洗い出しに手間どる
  3. チームで作成する

といった点があげられます。

【理由1】:構造が複雑になりやすい

まず、構造が複雑になりやすいといった点が挙げられます。

特性要因図は、解決すべき問題を示す特性、特性から伸びる大骨と特性をつなぐ背骨、そして特性に至る大きな要因である大骨で構成されています。

しかし、これはあくまで基本的なものであり、大骨の要因となる小骨、小骨の要因となる孫骨といった構造を追加していくことになるため特性要因図も複雑となり、作成に時間がかかるといえるでしょう。

【理由2】:原因の洗い出しに手間どる

次に原因の洗い出しに手間どるというのは、特性要因図は問題や課題に対しての原因を分析するツールですので、さまざまな要因を探る中で、原因を洗い出すための時間がかかることもあります。

大骨となる原因が分かったものの、小骨部分が全く分からないといった状況になると、かかる時間も増えていきます。

【理由3】:チームで作成する

特性要因図は一人で作成するだけでなく各専門分野からの知見を集めての要因解析が必要となるため、会議の調整やチームでの議論やディスカッションが必要となります。

これらの3つの理由から特性要因図は時間がかかるといわれているのです。

特性要因図の作り方4ステップ

特性要因図の作り方は

  1. 特性と背骨の作成
  2. 大骨の作成
  3. 小骨の作成
  4. 漏れやダブりのチェック

といった4ステップで行われます。

4ステップ

【ステップ1】:特性と背骨の作成

最初に右向きになった魚の側面図をイメージして頭の部分に特性(問題や課題)を記入します。そして、特性へ向かっていく長い矢印(→)を描いていき、背骨を引きましょう。

【ステップ2】:大骨の作成

次に定型的な分析方法である4M(後述します)を用いて大骨となる要因を書きます。それらが作成できたら、自分たちで考えた要因も大骨に書き込んでいき、大骨を完成させましょう。

【ステップ3】:小骨の作成

ここまででシンプルな特性要因図が完成しますが、ここからは大骨で挙がった課題や問題点に対して、小骨を付け加えていきます。

大骨の要因に対して、どうしてこのような状態になったのかを考え、その原因に対して漫才のツッコミを入れる感覚で書き込むのがコツです。

書き方は、大骨の各所に矢印を入れて原因を一言で入れていきますが、例えば歩留まり率の悪化という特性に対して、大骨の一つに人がある場合、その人の大骨に対して注意散漫や人材不足といった小骨を書き込んでいきます。

【ステップ4】:漏れやダブりのチェック

ここまで出来たら、基本的な特性要因図が完成します。ただし、最後に漏れやダブりがないか必ずチェックしましょう。シンプルな特性要因図の場合は漏れが多く、複雑になった特性要因図はダブりも多い傾向があります。

特性要因図における4Mの役割

特性要因図における4Mの役割は、大骨を作るために最初の要因を書き出すことです。

確かに特性要因図の大骨は自分たちが考えた要因を書き込んでいくこともありますが、特性要因図を客観的な分析にするためには、4Mをベースに考える必要があります。

4Mとは、生産の4要素と言われる「Man (人)、Machine (機械や設備)、Method (方法)、Material (材料)」を指し、課題に対してこれらの4つの因子はどう関わっているか?、特性要因図の大骨を作る際に考慮しておくと、すぐに4つの大骨が完成するでしょう。

先ほどの例題として挙げた「歩留まり率の悪化」という課題に対しては、「Man (人)、Machine (機械や設備)、Method (方法)、Material (材料)」といった大骨がすぐに書き込めるはずです。

特性要因図は時間がかかりやすい分析方法といわれていますが、4Mでまず大骨の基礎を作っておくことで、その時間の消費を軽減できますし、多くの人的資源を節約して特性要因図を作成することが可能となります。

さらに客観的な大骨を追加したい場合は、3C分析(Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合))を加えて分析を行うのもおすすめの方法ですが、基本は4Mの大骨プラス自分たちの考えた大骨という進め方がシンプルで作りやすいでしょう。

まとめ

この特性要因図は、問題解決の7ステップの中の「要因解析」で“原因と結果との関係を明らかにする”一番重要になるステップの一部です。

この特性要因図を活用できると、さまざまな要因を整理・解析要因を洗い出すことができます。しかし、うまく使いこなせなかったり、このステップをしっかりやらないと、後の対策事項が的外れになったり、最終的に目標が達成できなくなることがあります。

ぜひ、特性要因図をうまく活用して、あなたの仕事の問題解決などに役立ててください。


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