本日は『統計的な考え方「バラツキ管理」』をお伝えいたします。
バラツキとは?
観測値・測定結果の大きさがそろっていないこと。又は不ぞろいの程度。ばらつきの大きさを表すには,標準偏差などを用いる。
JIS Z 8101-2 2.8ばらつき (統計的品質管理用語)より引用
製品を製造するということは、どんなに品質が良い製品を作っても避けることができない、バラツキが必ずあります。それは生産の4M(人・機械・材料・方法)というバラツキが存在するためであり、これらの要因によって製品のQ(品質)・C(原価)・D(納期)にバラツキが出ます。
バラツキ管理とは?
バラツキ管理とは『バラツキに注目し、ばらつく原因をつかむこと』
工場などで製造されている製品は、同じ原料、同じ機械を使って同じ作業を行ったとしても、作られた製品の品質にはバラツキが生じます。製品の品質を保つためには、このバラツキを管理していくことが重要であり、品質を一定の水準に安定させることを品質管理といいます。
なるほど統計学園高等部より引用
バラツキ管理の必要性とは?
多くの事柄にはバラツキが存在します。このバラツキの中で、偶然原因によるものと異常原因によるものがあり、この異常なバラツキを発見し、その原因を捉え、抑え込んでいくこと、取り除くことをバラツキ管理と言います。
バラツキ管理の考え方
例えば、あるメーカーのスナック菓子は「内容量100g」と表記されていますが、実際の内容量は、100gより多めの量が入っているのが普通です。それは、顧客からのクレームが出ないように、重量の狙い値を100g以上に設定しているからです。
その狙い値を101gにするか110gにするかは、メーカーの製造力の差が生み出すと言えます。それは、「狙い値を101gにすれば、全製品を100g以上に製造できる力がある(101±1g)」のと、「狙い値を110gくらい余裕を持たないと全て100g以上にできない製造力(110±10g)」とでは、大量生産するスナック菓子では、コスト面で大きな違いになるからです。だからといって、狙い値が101gであっても、100g未満の製品を、不具合としてハネては意味がありません。
バラツキ管理の2つのポイント
①:どういう形でのバラツキかを把握
品質のバラツキを管理するために行うのが計測です。規格外れがみられる場合は、その要因をつかみ対策を打つ。有効な手法としては、ヒストグラム・分布の姿・バラツキ(標準偏差)・中心(平均)をみます。測定するには、測定機器を活用しますので、測定誤差があるということを認識する必要があります。
②:工程を安定状態に保つため、推移を把握
異常によるバラツキは、異常原因を取り除き、再発防止する。工程の安定状態とは簡単に言えば特性の異常なばらつきが無い状態といえます。有効な手法としては、管理図です。
- 【偶然誤差】:作業標準を守り、標準通りに行っても生じる、やむを得ない誤差
- 【異常誤差】:人為ミスなど、何らかの異常がある場合に生じる誤差
品質管理の考え方「2つの間違い」
今まで、22業種100社以上の集客・品質改善サポートを行ってきた中で、言われてきたのは「別に平均値を保証すれば良いのでは?」「平均を向上すれば、少々のバラツキは支障ない」「悪い製品は検査でハネたほうが手っ取り早い」ということをよく言われます。
間違い①:平均値だけの管理の問題点
- 平均値とバラツキの両方を管理しないと不良品の流出を防ぐことはできません。バラツキ管理で平均値とバラツキを低減させることで不良品の発生・流出ともに抑えることができ、効率的な生産が可能となります。
- 生産する立場にすれば、生産している1000個中1個(不良率0.1%)の不良だとしても、顧客にとっては1個が100%です。どの1個を購入しても規格の中に入っていなければいけません。
間違い②:検査で止めるという考え方の問題点
- 本来、検査というものは無くていいものです。また、不良品の発生も無い方が良いに決まっています。本来は、生産プロセスの中でもっとも源流である設計部門で品質不良は止めるべきです。品質不良の発生は、ムダな製造・ムダな搬送・ムダな検査・ムダの手直し、これらはすべてコスト増に繋がります。ですので、バラツキ管理を行うことでコストの低減になるのです。
まとめ
製品を生産する上で、品質には必ずバラツキが生じます。このバラツキ管理とは「バラツキに注目し、ばらつく原因を掴むこと」です。
製品がバラつく原因は、偶然誤差・異常誤差の2種類ありますが、きちんと見極めるために、「①:どういう形でのバラツキかを把握」「②:工程を安定状態に保つため、推移を把握」することが重要です。バラツキの原因を突き止め、正しい改善を行うために、バラツキ管理をうまく活用して、あなたの製品品質の向上に役立ててください。