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品質管理の考え方「現地現物主義」とは?

2015年12月25日

品質管理の考え方「現地現物主義」とは?

今回は『品質管理の考え方「現地現物主義」』についてお伝えいたします。

現地現物主義とは?

『現地に足を運び、現物を見ながら徹底的に考えること』

実際に現地に足を運び、現物をみて、触れることで、事実に即して物事を客観的にみようという姿勢です。机上や想像で考えるよりも、生産現場やサービス現場に何度も足を運び、物に触れ、顧客と接することで問題点を洗い出し、効率的に業務を進めることです。

現地現物主義の必要性

品質を改善するには、凡事徹底で当たり前のことをやり続けるということが重要です。トヨタ自動車が、品質管理の手法として取り入れているのが、三現主義(現場・現物・現実)です。

  • 「現場」に足を運び、場を確認する
  • 「現物」を手に取り、物を確認する
  • 「現実」をこの目で見て、事実を知る
現地現物

問題解決のためには、何が起きているのか?何が問題なのか?事実を徹底確認する必要があります。私もトヨタ在職中は、精度不良など不具合が発生した場合、すぐに不具合が発生した現場に出向き、その現場で解析を行っていました。実際の問題が起きた現場でなければ、現場のことは分からないからです。

そして、これまで「PDCAのサイクル」「ファクトコントロール」についてご紹介しましたが、これらは、正しい事実に基づいたものでなければ、全く役に立ちません。たとえば、精度不良が出た場合、計測してデータ収集したとしても、計測器の誤差が大きいデータ鵜呑みにして解析しては、正しい改善できないばかりか、それによる時間・コストがムダとなってしまいます。

深く現状を理解するために、現地現物で事実を直視しなければわからない事があることを教えられました。

現場主義に徹する(稲盛和夫)

京セラ・KDDIの創業者であり、日本航空(JAL)を再建した稲盛和夫氏は、自身のHPで現地現物のことを、このように言っています。

ものづくりの原点は製造現場にあります。営業の原点はお客様との接点にあります。
何か問題が発生したとき、まず何よりもその現場に立ち戻ることが必要です。現場を離れて机上でいくら理論や理屈をこねまわしてみても、決して問題解決にはなりません。
よく「現場は宝の山である」と言われますが、現場には問題を解くための鍵となる生の情報が隠されています。絶えず現場に足を運ぶことによって、問題解決の糸口はもとより、生産性や品質の向上、新規受注などにつながる思わぬヒントを見つけ出すことができるのです。

(稲盛和夫HPより引用)

現地現物は、観察から!現場の観察7つの視点

「実地を踏んで鍛え上げない人間は、木偶(でく)の坊と同じだ。」夏目漱石

「現場に出て経験を積んでない人間は何の役にも立たない者だ」という意味です。現地現物主義は、まず観察することからが始まりです。しかし、観察するといっても、何をどう見ればいいのか?漠然と見ているだけでは真因を見破ることは難しいのではないでしょうか。私もトヨタ在職時は、問題があった工程をよく見るように教えられてきました。

ですので、観察の視点をいくつか紹介します。

 

【 観察の7つの視点 】

  1. 良品や他の工程と比較してみる(並べてみる)
  2. データに頼らず、人間の五感で確認する(目・耳・鼻・肌・感じなど)
  3. 動きを遅くしてみる(ハイスピードカメラの使用など)
  4. 問題部分を拡大してみる・抽象度を上げて工程全体をみる
  5. 分解・断面カット・破壊してみる
  6. 問題が起きた現場をみる
  7. 自分が作業者になったつもりでやってみる

 

現地現物は本当に必要なのか?

 今まで、22業種100社以上の集客・品質改善サポートを行ってきた中で、言われてきたのは「インターネットを活用して遠隔監視ができる時代に現地現物が必要か?」「この忙しい時に現地へ行くヒマはない」ということをよく言われました。

【 モノづくりの基本:「徹底した現地現物」 】

▶︎【インターネットを活用する時代だからこそ”現地現物”】
・製品を作っているのは、大部分が機械やロボットかもしれません。しかし、その機械やロボットを作っているのは人間です。モノづくりは、人づくりと言われるように人を育てていかなければ、確かなモノづくりもできません。頭で考えるだけでなく、設備に入り込み油まみれになりながらも、実際にやってみることが大切です。そこで五感が養われるのです。

▶︎【 忙しいときだからこそ、現地現物が必要】
・「忙しいから現場へ確認に行けない・・・」とよく聞きますが、頭の中でいくら考えるよりも、実際の問題の起きた生産現場やサービス現場に足を運び、製品に触れ、顧客と接することで、本当の問題点を洗い出すことができ、正しい改善を行うことができるのです。忙しい時だからこそ、現地現物が必要なのです。結果的に、効率的に改善できるようになります。

まとめ

現地現物主義とは、事実を大切にし、盲点を作らないよう物事を客観的に見るという姿勢・価値観です。

実際に問題が起きた現場に足を運び、実際の現場で自分の目と足で確かめ、事実を確認する。その上で、頭で考える「現地現物主義」の徹底は問題解決の基本です

忙しくて現場に行けないと思っている時こそ、現地現物で現場に行ってみると、今悩んでいたことが簡単に解決する・・・。という話はよくあります。忙しいからこそ、現場に行きありのままの事実を確認しましょう。

品質保証を行う上で、重要な12の考え方

  

内容

1

PDCAサイクル

「仕事を効果的・効率的に進めるための手順のこと」

2ファクトコントロール

「事実に基づいてデータでものをいうこと」

3

プロセス重視

「結果でなく、仕事のプロセスを管理していくこと」

4

標準化

「標準を作り、守り、それを活かしていく」

5

源流管理

「プロセスの下流でなく、プロセス上流で管理すること」

6

現地現物

「問題が起きた現地に足を運び現物を見ながら考えること」

7

品質第一

「品質優位により利益確保を目指すこと」

8

顧客志向

「お客様の真に要求するモノ・サービスを提供すること」

9

後工程はお客様

「後工程に喜んでもらえるモノやサービスを提供すること」

10

重点指向

「複数の問題から重要問題を選定し、優先的に取り組むこと」

11

再発防止

「根本原因を見極め対策することで問題を再発させないこと」

12

未然防止

「先を読み、想定される問題に対してあらかじめ手を打つこと」