本日は『品質保証の考え方「品質第一」』をお伝えいたします。
品質第一とは?
『品質優位により利益確保を目指すこと』
品質(Q)・コスト(C)・納期(D)のバランスをとった上で、品質(Q)を最優先とする考え方のことです。ここでいう「品質」とは製品やサービスの質だけでなく、仕事の質など、すべての質のことを意味します。
品質第一である必要性とは?
そもそも、なぜ品質第一でなければならないのか?それは、品質問題はコストや納期の問題と違い、“とり返しのつかない大問題”となる可能性があるからです。
【 2つの”とり返しのつかない”大問題 】 |
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品質(Q)・コスト(C)・納期(D)のバランスは重要
当たり前の話ですが、品質第一という考え方は「コストや納期を度外視しても品質第一であればよい」という考えではありません。品質(Q)・コスト(C)・納期(D)のバランスが取れた上での話になります。コストや納期の確保は重要ですから。
しかし、自社の勝手な都合でコストや納期の確保のために、品質が犠牲になってしまっては絶対になりません。
製品やサービスを通して価値を提供する我々が、この先、生き残っていくためには「当たり前品質」だけではなく、顧客に感動を与えるような「魅力的品質」を提供していく必要があります。

製品の品質を決める3つの要素
今まで、22業種100社以上の集客・品質改善サポートを行ってきた中で、言われてきたのは「品質は、モノを作っている会社が気をつけることで、うちはサービスなので関係ない」「品質向上に取り組んだら、コストが増えて利益が得るのではないか?」ということをよく言われました。これは、品質・コスト・納期のバランスが整っている上での話です。コスト・納期も重要であることは間違いありません
【品質第一を決定づける3つの要素】
- 『要求品質(顧客が求める品質)』・・・顧客が求める要求品質で、現状の製品への不満などを吸い上げるリサーチ力が求められる企画段階の品質です。
- 『設計品質(ねらい品質)』・・・顧客の要求品質に対して、企業の設計技術や生産技術、生産能力などを加味して、形にする設計を行う上で狙った品質です。
- 『製造品質(出来栄え品質)』・・・製造された製品の品質で、顧客の要求品質や設計品質に対して、どのくらいの適合度であるか?実際の出来栄えで評価される品質です。
【品質が向上すればコストダウンにつながる】
品質問題を解決し品質が向上すれば、7つのムダ低減ができるため、様々なコストが下がります。
【トヨタで学んだ7つのムダ】
- 造りすぎのムダ・・・売れ残るお金のムダ
- 在庫のムダ・・・余分なスペースのムダ
- 手待ちのムダ・・・時間のムダ
- 運搬のムダ・・・モノの動きのムダ
- 加工そのもののムダ・・・設備投資・加工労力のムダ
- 動作のムダ・・・余分な労力のムダ
- 不良品・手直しのムダ・・・捨てる、余分な労力のムダ
品質第一を掲げる企業のご紹介
日本を代表する大手企業が掲げる品質第一。その取り組みや考え方などが、ホームページに掲載されてありましたので、ご紹介させて頂きます。
【トヨタ自動車株式会社】(自動車メーカー)
「お客様第一」「品質第一」に対する基本的な考え方
品質は、開発・設計、調達、生産、販売、アフターサービス活動などの連携から作り出されます。 トヨタでは、「製品」の質、「営業・サービス」の質、それを支える基盤として従業員一人ひとりの「仕事」の質があり、この3つが一体となったものが品質であり、これが確保されて初めて、お客様の信頼に応え得る製品・サービスになると考えています。また、品質の原点は「監査改良」の精神にあり、常に改善、というPDCAを回し続けることで品質の向上を図る、これをトヨタの不変的なモノづくりとしています。(トヨタ自動車HPより引用)
【ローム株式会社】(電子部品メーカー)
「品質を第一とする」これがロームの企業目的です。
ロームをはじめ、 世界に広がるロームグループにこの企業目的が掲げられ、ロームグループの企業経営は、すべてこの企業目的に律されているのです。ロームの品質づくりの基本要素である4つのM。すなわちMan(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)、そのいずれもがいかなるときも最高の水準を保持できるようグループが一丸となって取り組んでいます。また、われわれは品質第一をすべての行動基準としています。品質を広義で捉え、製品そのものの性能のみならず、コスト、デリバリー、サービス、環境も品質と考えます。(ローム株式会社HPより引用)
【キユーピーグループ】(調味料など食品メーカー)
私たちは、品質を最優先に安全・安心な商品をはじめ、すべての活動の質を高め、お客様の信頼にお応えします──
キユーピーグループでは、「良い商品は良い原料からしか生まれない」という信念のもと、安全でおいしい商品づくりに努めています。また、研究、開発、生産、営業、物流まで、従業員一人ひとりが日々の仕事の質を高めることで企業への信頼が高まり、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーからの期待に応えることにつながります。安全でおいしい商品をつくり、お客様の信頼に応える仕事をすることで安心がうまれ、食を通して、豊かで健やかな生活を実現することができます。誰かひとりが考えるのではなく、従業員一人ひとりが品質と向かい合うことで、“品質を守る人づくり”と“品質を守る仕組みづくり”を進め、品質第一主義を具現化していきます。(キユーピーグループHPより引用)
まとめ
なぜ、品質第一という考え方が重要なのかは、品質が顧客からの信頼を左右し、企業の存続をも左右する重要な要素だからです。だから、品質第一(品質至上)であるべきであると私は考えます。
私自身、工場で働いていましたので、顧客と直接接する機会がなく、顧客目線というものが希薄になるという感覚は理解できます。顧客への価値提供という本来の目的が見えにくくなってしまい、自社基準値をクリアすることが目的になってしまっている企業も多くあるはずです。
今、工場で働く従業員にとって、顧客目線になるためには、顧客と直接接するということが必要なのではないでしょうか?品質第一は、どれだけ顧客目線になれるか?だと思います。
品質保証を行う上で、重要な12の考え方
内容 | ||
1 | 「仕事を効果的・効率的に進めるための手順のこと」 | |
2 | ファクトコントロール | 「事実に基づいてデータでものをいうこと」 |
3 | 「結果でなく、仕事のプロセスを管理していくこと」 | |
4 | 「標準を作り、守り、それを活かしていく」 | |
5 | 「プロセスの下流でなく、プロセス上流で管理すること」 | |
6 | 「問題が起きた現地に足を運び現物を見ながら考えること」 | |
7 | 「品質優位により利益確保を目指すこと」 | |
8 | 「お客様の真に要求するモノ・サービスを提供すること」 | |
9 | 「後工程に喜んでもらえるモノやサービスを提供すること」 | |
10 | 「複数の問題から重要問題を選定し、優先的に取り組むこと」 | |
11 | 「根本原因を見極め対策することで問題を再発させないこと」 | |
12 | 「先を読み、想定される問題に対してあらかじめ手を打つこと」 |