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品質改善の考え方「再発防止」とは?

2015年12月27日

品質改善の考え方「再発防止」とは?

本日は『品質改善の考え方「再発防止」』をお伝えいたします。

再発防止とは?

『根本原因を見極め対策することにより問題を再発させないこと』

 同じトラブルが二度と発生しないよう、問題の根本的な原因を究明し、その原因を取り除く改善や対策を行うことです。

つまり再発防止とは、問題が起きた時に、プロセスや仕事の仕組みにおける原因を調査して”取り除き”、もう二度と同じ原因で問題が起きないように対策するということです。

その再発防止には3段階あります。

【個別対策】
問題を起こした製品・サービスのプロセスの個別原因に対する再発防止

【水平展開・未然防止】
別の製品・サービスのプロセスなど類似原因に対する再発防止

【仕組みの改善】
製品・サービスのプロセスの仕組みなど根本原因に対する再発防止

なぜ、再発防止が必要なのか?

【 実際に起きた、再発の恐れがある事例 】

▶︎福岡県北九州市の部品加工業(従業員数150名)』

問題
メーカーに納入する部品ブラケットに取付ける22mmのボルトを、作業者が誤って正規品と異なる24mmのボルトを溶接してしまった。
原因
工程内で見つけたため、状況を確認すると、異種ボルトを溶接した原因は「床に落ちていた異種品をボルト容器に入れた」ことが分かった。
対策
すぐに製品を巻き替え、床に落ちているボルトを混ぜないということにして生産を続けた。
再発
・・・後日、「正規と違う異種ボルトが溶接されている、、、」と、納入先のメーカーから連絡があった。

上記の事例は、生産現場ではよく起きるケースだと思います。

「問題の原因を特定できた!」と床に落ちたボルトを使わないと問題解決を完了させてしまったため、再発してしまったケースです。

実はこの設備は、弊社のコンサルティング前から、工程内不良が発生していたようで、不具合が発生するたびに「気をつけて!」と口頭注意だで終わらせていたため、恒久的な再発防止を行なっていませんでした。

出るべくして出た品質不良と言えます。

多くの企業が、「重要品質特性の完全保証体制の構築」のために、変化点管理を行なっています。

変化点管理とは、製造工程でバラツキを生じさせる原因である4M(Man;人、Machine;機械、Material;材料、Method;方法)の内容が変化するときに、早期に抜けなく異常を見つけ出し、対策を打つ事で、早期に工程&品質を安定させる管理方法です。

今回の品質不良の場合、変化点は以下のような感じになるのではないでしょうか?

変化点管理(4M解析)

  • 【人】:変更無し(専任作業者)
  • 【製品】:変更無し
  • 【設備】:変更無し(汎用溶接機)
  • 【方法】:1個づつ手でセットして溶接ナット供給はパーツフィーダー

私の経験上では、品質不良の発生原因としては「人的ミス」が約7割を占めますが、その多くは「標準作業が守られてなかった」ということが多いです。

よく考えていきたいのは「標準作業が守られていなかった理由は?」ということで、そもそも「守れる標準作業になっていなかったのか?」という検証も必要ですし、「なぜ守れなかったのか?(環境)」「なぜ守らなかったのか?(人)」を深く追求して対策していく必要があります。

そして品質不良が発生した時の再発防止は、発生工程だけでなく全工程に対して対策の横展を行いましょう。

そして、品質不良の対策報告時にメーカーから「品質保証度がみえる形にしてください」と要望があると思います。

これは、「工程内不良ゼロ」という高い目標を目指す上で、「指導します。指導します」の繰り返しでは一向に解決しないからです。

その時のポイントとして、品質保証は「誰が」「どんなものさしで」保証するのか?またそれらを「誰が(具体的氏名で)」管理するのか?を明確にしていきましょう。

また、こういった活動を社内で見えるようにしたり、コスト効果も算出することで、社内メンバーを巻き込んでいくことも可能ですので、品質不良を出すことは良くないですが、活動は社内メンバーに見えるようにして、活動の輪を広げ、人材育成にも繋げていきましょう。

原因究明の精度を高める2つの質問

二度と同じトラブルを再発させないためには、下記の2つの視点で原因究明することが重要です。

「なぜ、そのトラブルが発生したのか?」

この問いによりトラブルの発生原因を問うことができます。「なぜ、そのトラブルが発生したのか?」を繰り返し問うことで、単に『駆動部の耐磨耗性が低かった』という表面的な原因で、問いを終わらせないことが重要です。

「なぜ、事前にそのトラブルを見つけられなかったのか?」

この問いによって、仕事のやり方や管理の仕組みの問題を見つけることができます。「なぜ、事前にそのトラブルを見つけられなかったのか?」を繰り返し問うことで、「自社製設備の品質を評価する仕組みがなかった」という答えを導き出すことができます。

再発防止

上記2つの【なぜ、発生したのか?】【なぜ、見つけられなかったのか?】と言った問いで、仕事のやり方、仕組みにまで深く踏み込むことが必要です。それが明確になれば、原因対策を確実に実行することにより、ここで初めて初めて再発防止を施したことになるのです。

同じ問題を繰り返させない再発防止をしよう

今まで、22業種100社以上の集客・品質改善サポートを行ってきた中で、言われてきたのは「対策をしても同じような問題が、また発生する」「どんなに対策しても、次は違う問題が起きる」「何度も対策してきたが、同じ問題が繰り返される」ということをよく言われました。

継続的な改善の重要性

発生した問題の原因究明が甘く、問題を表面的に捉えてしまうと、確かな再発防止はできません。再発防止の考えの根底には「仕事のやり方や仕組み」といった、業務の基盤を継続的に改善しよう!というものがあります。継続的な改善を積み重ねていくことで、即座には効果が見えにくいかもしれませんが、時間が経つにつれ問題は低減されていきます。

再発防止4つの対策

  • 各種標準類(作業標準・技術標準)の作成や改訂
  • 教育の仕方に対する反省と改善(教育訓練の強化)
  • 仕事のやり方の改善(材料・設備・作業方法)
  • 上記が継続できる仕組みづくり

再発防止で大切なこと

再発防止で重要なことは、品質不具合の真因を追究して、生産の4M(人・機械・材料・方法)の見直しと変更を行い、問題が再発しないように標準類へ反映することです。

そして、風化させないことが重要ですので、スペースがあるのであれば、品質不良のその現品を記録として残すために、展示するべきだと思います。

まとめ

再発防止を1回行ったからといって、次に起きないという保証はありません。

仕事には必ずミスがつきものです。変化点管理で管理する4M(作業方法・設備・部品・人)など、作業者の周りは常に変化することばかりです。ミスを単なるミスとしてしまうか?それとも、地道に再発防止に取り組むか?この違いで将来のあなたの会社の姿は大きく変わってきます。

いろいろな企業に訪問させて頂いてよく見るのは、設備が止まると、保全を呼び出し処置してもらって。また設備止まって、保全が来て処置して帰って。と、恒久対策せずに”処置”だけで終わらせてしまっているため、同じ問題が何度も再発しています。

注意しておくべき点は、その再発防止の対策は、暫定対策なのか?恒久対策なのか?という点です。暫定対策のまま放置しておくと、いずれ問題が再発します。設備の部品交換で完了するのではなく、管理体制も含め、設計から見直すという恒久対策も進めていきましょう。


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