本日は『品質保証の考え方「後工程はお客様」』をお伝えいたします。
後工程はお客様とは?
『後工程に喜んでもらえるモノやサービスを提供すること』
ここでいう”後工程”とは、自分の仕事の結果が影響する工程のことです。つまり「後工程はお客様」とは、自分より後の人に喜んで受け取ってもらえるように仕事を進めることです。
なぜ、「後工程はお客様」という考え方は必要か?
顧客と直接接触のない部門では、顧客の声を直接聞く機会がないために、自分の都合を優先したプロダクトアウトの考えになりがちになります。
例えば、私は今まで製造業・サービス業問わず、小さな会社の集客や品質サポートを行ってきました。
その中の一つ、福岡市の個人整体院の経営者は、企画・仕入れ・施術・マーケティング、果てはクレーム処理・経理に至るまで、すべて自分で行います。したがって、整体施術が上手く行かず次の工程に影響を与える場合、困るのは自分自身になるため、自ずと次の工程を考え、得たい結果を得られる仕事の仕組みにならざるを得ません。
しかし、東京都千代田区にある製造業のクライアントの場合は、20人規模の組織で仕事は分業化され、個々の技術や知識、効率の向上という面では有利でしたが、その反面、「次の人がやりやすいように」という自分の担当工程より後工程に対しての意識が低い状態でした。
また、製造部・営業部など部門間の風通しが悪くなり、自分の部署を守ろうとするので、会社全体の最適化がやりにくくなります。
組織が大きくなるほど、このようなこと問題を防ぐための「後工程はお客様」という考え方が大切となります。
「後工程はお客様」という姿勢に必要な3つのポイント
このような姿勢に立つためには、次のポイントが大切になります。
【相手の立場になって物事を考える】
自分と後工程の役割を把握し、後工程の立場に立って物事を考えましょう。自分が前工程からどんな物を受け取りたいかを考えると、おのずと理解できると思います。自分が渡されて嬉しいことを後工程の人にも渡して挙げましょう。
【風通しを良くする】
不具合情報や、伝達ミスなどを、いち早くキャッチするため、見える化(可視化)を活用し風通しを改善しましょう。お互い伝えたいことを完璧に理解することは不可能ですが、写真や数値、表や絵など視覚化することで、言語データだけよりは、格段に伝わりやすくなります。伝えたいことを見える化(可視化)していきましょう。
【良否の判断基準を明確に】
後工程に迷惑をかけないように、良否の判定基準を決め、判断の曖昧さをなくしましょう。良否の判断基準を明確にしなければ、判断が曖昧になり、結果担当者の裁量ということになってしまいます。こうなると、品質不良も流出してしまっても不思議ではありません。判断基準を明確にしましょう。
後工程重視にこだわる2つの理由
今まで、22業種100社以上の集客・品質改善サポートを行ってきた中で、言われてきたのは「後に検査工程があるから、この不良は検査で止めてくれる」「自工程のことで精一杯なのに、後工程のことまで気にできない」「前工程が出した不具合だから自分には関係ない」ということをよく言われました。
理由①:自分より後ろの人が欲しがるものだけを作る
モノの製造やサービスの提供には、失敗はつきものですが、不具合が出るたび、それ自体は全て損失です。さらに後ろにいけばいくほど、その損失や影響度は大きくなります。検査で止めればよいという考えではなく、無駄になるモノは作らないように品質を工程で作り込むという考え方が重要になります。自分が渡されて嬉しい物を後工程にも渡していきましょう。
理由②:不良品が顧客に渡ると、会社の信用失落に
確かに自工程に流れてきた不具合は前工程の責任です。会社全体に検査で止めればよいという考えでいるのならば、それはとても危険です。現実問題、検査も100%の流出防止は非常に困難です。その流出した不具合のせいで顧客に多大な迷惑をかけ、その結果会社の信用失落を招いてしまいます。一度失落した信用を取り戻すまでには、何十年という歳月がかかります。二度と戻らないかもしれません。
まとめ
会社として全ての工程で、「後工程はお客様」という意識を統一することが、品質不具合を減らし、職場のチームワークを生み、結果的に自工程のためになり、会社にとっても大切なことです。
「後工程に喜んでもらえるモノやサービスを提供する」という考えを持つことで、たとえ工場の中でも顧客を意識したものづくりにもつながります。
どれだけ顧客を意識した作り方ができるのか?が、顧客が求めるよい品質の製品やサービスを生み出す近道になります。