品質管理

4M変更とは?品質管理における変化点管理の重要性

4M変更とは?

4M変更とは?

・4M変更(変化点管理)とは?

製品品質にバラツキを与える要因の4M

  • Man(人)
  • Machine(設備工具)
  • Method(工程)
  • Material(材料)

上記が変化する時に、品質の維持・管理を確実に行うための仕組みで、4Mに変化が起こった場合、維持・管理状態が復元されているかどうかを見る管理です。

・変化点管理の必要性

例えば、製造問題の品質不良の発生要因を解析すると、

  • 設備や治具/工具などの故障
  • 作業者の交替
  • 段取り替え

など、品質不具合の約2/3は日常作業の​変化点で発生していることがわかります。

つまり、いくら品質を造り込んだとしても、これらの変化点への対応がしっかりできていないと品質問題は止まらないということですので、この変化のポイントをリアルタイムに察知し、アクションを取る、発生する異常を未然に防止することが必要です。

・変化点項目の把握

製品品質のバラツキに影響する4M「①Man(人):②Machine(設備工具):③Method(工程):④Material(材料)」についての要因が変化点管理においても、大前提となります。

「変化点管理の前提条件は自工程要件(品質を自工程で造りこむための要件)の明確な洗い出し」となるため、管理項目・管理ポイントの把握が、しっかりできていなければ、日々の工程管理もこの変化点管理をうまく機能せず、全ての品質維持・管理行為が無駄になってしまいます。

変化店の把握

・4M変更とは?

4M変更とは、4つの観点から品質トラブルを防ぐ品質管理手法であり、4M「①Man(人):②Machine(設備工具):③Method(工程):④Material(材料)」の変化点管理と呼ばれるこの方法は、製造業において起こりうる品質問題のトラブルを防止するために用いられます。

製造が行われている現場を4つのMに分けて、それぞれの観点から分析を行って行くのが特徴で、「①Man(人)」は作業に従事するスタッフの視点からの分析です。次が「②Machine(設備工具)」で、製造を行う機械などに問題がないか分析します。3つ目は「③Method(工程)」で製造方法の視点から分析をすることも行います。そして最後は「④Material(材料)」で原料の観点からもチェックするのが特徴です。

これら4つの観点から、それぞれどのタイミングで変化が起こるか(変化点が発生するか?)をチェックして、変化点が発生したタイミングで起こりうる品質トラブルを発見します。

そして品質問題やトラブルが発生する前に、適切な対策を取るための問題点を発見する手法として、1つの視点ではなく4つの視点から品質トラブル発生を予測することで、より高品質な製品を製造できる手法として現場でも多く利用されているのが4M変更といえます。

変化点管理の定義と目的

・変化点の定義

変化点とは、製造工程でバラツキを生じさせる原因である4M(Man人:Machine設備工具:Method工程:Material材料)が変化する時を言う。

変化点を、事前にわかっている項目(既知項目)と突然発生する項目(突発項目)に分類し、其々対応方法を設定する。

  • 「既知項目」・・・設計変更や新人作業者投入、連休工事など予め内容がわかっていて事前に確認ができるもの
  • 「突発項目」・・・突発年休や設備故障、部品異常など、いつ発生するかわからない変化に対して、発生直後即対応するもの

・変化点管理の目的

昨今の社会情勢を見ると、不確実性が高まる厳しい経営環境下で、安定した製品品質の造り込みには、「変更管理」と「変化点管理」が重要となります。

変更管理は、企業が目的をもって意図的に変化を発生させるため「4M変更管理」とも言われたりもしますが、品質問題の改善・コストダウン・作業性向上などがあります。一方、変化点管理は、生産工程やサプライチェーンにおいて意図しない変化によって生じる品質問題の未然防止を目的としいます。

・4M変更の事例

自工程要件の明確な洗い出しができていれば、変化した内容に対して、どのようなアクションが必要なのか?が整理できますので、例えば、設計変更された場合、最低限以下の4つの内容を確認することが明確になるはずです。

  • 確認①:今まで成立していた自工程要件が成立できるか?
  • 確認②:その変更内容が影響する管理ポイントは何?新たに追加する管理ポイントはないか?
  • 確認③:工程能力に変化はないか?影響有る場合、再確認しなければならない。
  • 確認④:品質保証の網が成立しているか?不成立の場合、どのように復元するか。

また品質以外にも、4M変更の事例として、「安全・設備・在庫」といった3つのトラブル予防と問題発生時における原因究明が挙げられます。

まず3つのトラブルとして最初に挙げられるのが「労働災害」、つまり安全です。人による原因で操作ミスが起こったり、機械の誤作動によってトラブルが発生したり、あるいは作業着などの不適切な着用によって機械に巻き込まれたりといった危険を未然に察知することが目的です。

次は「設備トラブル」を予防する目的です。機械の視点を持つことで機械の経年劣化やそれに伴う製造中断、歩留まり率の悪化といったトラブルをメンテナンスや使用方法の順守といった対策によって未然に防げるでしょう。

意外に知られていないのが「在庫トラブル」です。材料の視点を持たないと、欠品や過剰在庫、原料の劣化といった問題が発生します。場合によっては大量廃棄によって企業へ経済的な負担が発生するだけでなく、企業イメージが損なわれることすらあります。

また、「品質問題」が発生した場合も原因究明の手法として変化点管理は用いられます。4つの視点から何が問題発生の原因となっているか究明することで問題を最小限に抑えたり、再発防止をしたりといった目的が達成できるでしょう。

変化点としての対象項目(例)
Man
(人)
Machine
(設備/治具/工具/刃具)
Method
(工程)
Material
(物)
日常変動項目タクト変更:負荷変動も含む
ローテーション:多能工化/新人/実習者/期間従業員
受援:課内経験者/課外未経験者
職制変更:昇格/異動
年休・教育:全日/半日
一時離業/一時交替
健診等の半日程度~教育等のみ数日
直始業時/終業時
ライン外作業者変更:定期抜取検査または測定の作業者
改造工事:更新/能増/サイクルタイム変更
改修工事:更新/能増
設備移設:単なる移設と寄止めも含む
能増新設
ポカよけ装置の変更・移設
工具/治具/刃具/チップの変更や交換
検査治具、ゲージ新設や更新
パレット変更
ライン工事(休日/平日)
定期点検/保全/メンテ/清掃含む
工程変更:他の項目との重複もある
条件変更:設備/型潤滑剤/塗装通電時間/炉温
工法変更:直接品質に関わる場合と間接的な場合あり
サイクルタイム変更
タクトタイム変更
ライン変更
季節変動:温度や湿度
試行/テスト/トライ:材料/型処理/設備条件復帰/刃具や砥石等の寿命延長
設変
素材変更
材料変更
補助材の変更
精度修正、チューニング
突発管理項目一時離業(トイレ等)
突発年休:病気/忌引きなど
作業中断時フォロー:計画停止/他行程トラブル
ライン停止と再起動:チップ取替え
設備故障、設備異常
工具・治具・刃具の劣化/破損/摩耗
工具・治具・刃具の故障
全数検査治具・テスター故障や破損
抜取検査治具・テスター故障や破損
生産指示ダウン(ポカよけダウン)
Method(作業異常)
作業遅れ時フォロー
Method(品質異常)Method(災害)
異常処置
後追い点検/さかのぼり点検
部品不良
誤・欠品で流動せざるを得ない場合
地震、台風
火災、事故
停電、エア停止

4M変更の通知義務が必要な理由

・4M変更の通知義務が必要な2つの理由

4M変更の通知義務が必要な理由として、すぐに問題の予防策が立てられる、問題の原因追及ができるといった理由が挙げられます。

各部署で4M変更の通知義務を徹底することで、製造する上での品質管理が容易になるため、起こりうるトラブルを予測したり、変化への対処法を打ち立てたりといったことが実現できるため、問題の予防策が立てられます。

一方、4M変更の通知義務を徹底していれば、問題が起こった際、「どの変化点で問題が発生したのか?」といった原因追及も迅速に行えますので、予防や原因追及がスムーズになるという理由で4M変更の通知義務が必要といえます。

・品質向上活動を行う企業には必須

さらに複数の企業から部品を購入し製造を行っている企業ではサプライヤーと4M変更の通知義務を締結することは必須であり、自社が製造するうえで未然に製造トラブルを回避するために、より強固な予防策を取る上で重要だからです。

サプライヤーの人員変更や機械の更新、さらには調達材料の変更、製造手法の変更といった4Mを発注側で把握しておくことで、問題発生時にはサプライヤーまでさかのぼって原因追及ができるため、製品の品質管理を徹底することが可能になるからです。

このように4M変更の通知義務を徹底することで、ここまでやっておけば大丈夫という品質まで高めることができ、さらにその変化を管理できるようになります。

●【変化点管理ボードとは?】

・変化点を視える化する変化点管理ボード

職場の全員が目で見て仕事の進み具合が「正常か?異常か?」の判断を素早くでき、対策につなげていくためのものですので、特別知らされなくても、目で見て職場の実態を正しく把握でき、かつ全体の中の自分の位置・役割も理解でき、自主管理を可能とするものです。

4M変更には、変化点を管理する変化点管理ボードが用いられ、変化点管理ボードにより変化点が起こったタイミングがすぐに分かり、4M変更を速やかに実現できるツールといえます。

企業によってその内容は若干異なるものの、大きなホワイトボードを用意し、4M変動管理表を掲示・記載し、従業員内で共有する目的で利用されます。

さらに追加情報として本日の工程表や注意点、出荷状況の他、対応マニュアルも変化点管理ボードに追加している例も見られます。

・変化点管理ボードの活用事例

また、シンプルな変化点管理ボードとしては、ホワイトボード上に表を作り縦の列には作業着、設備、製品や部品、その他といった項目を設定し、横の列には変化点と対応策を書くという手法を取り入れ、当日影響が出そうな変化点を挙げて記入し、並行して対応策を検討した結果を記入します。

各社とも工夫をこらして変化点と対応策を共有できるホワイトボードなどに記入しているのが特徴で、「変化点が発生して結果どうなったか?」といった点を書いたり、上長が内容にチェックを入れるチェック欄を設けたりといった工夫をしている場合もあります。

いずれにしても分かりやすい場所に変化点を記載したボードを設置し、従事者全員で共有できるようにしているボードが変化点管理ボードといえるでしょう。

●【4M変更管理マニュアルが必要な理由】

4M変更管理マニュアルとは、4Mの変更点を管理表に記載するためのルールが書かれたマニュアルであり、このマニュアルが必要な理由として「①記述方法の統一、②管理方法の統一、③責任者の明確化、④基準値の把握」といった点が挙げられます。

・記述方法を統一する

まず、「①記述方法を統一」するという意味でもマニュアルを用意することは重要で、業務で使用する専門用語が各従業員ともバラバラであったり、詳細な変化点を記入する従業員もいればそうでない従業員もいるといった問題が発生します。そうなると品質管理が難しくなり、問題発生時の原因究明もしづらくなります。

・管理方法を統一する

次に「②管理方法の統一」も必要で、どのような変化点があったら、どう対処するといった管理がマニュアルで明文化されていないと、各ショップの対応がバラバラになります。例えば人の変化点の場合、新人が配置されたらベテランを一人指導者として配置するといった共通の対処法ができるようになるでしょう。

・責任者の明確化

また、マニュアル作成により「③責任者を明示する」ことで責任追及や管理すべき従業員がわかります。問題が発生した時、誰も管理者として担当していなかったということも未然に回避できるでしょう。

・基準値の把握

最後が「④基準値の把握」で、記述の統一にも近いものがありますが、機械の温度が工場内の気温の変化で上昇している場合、何度以上で変化点として記載するかといった点です。このように4M変更の変化点の基準を設定し、全員で共有するためにもマニュアルは重要です。



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