PDPC法(過程決定計画図)とは?わかりやすく解説
PDPC法とは?
PDPC法(Process Decision Program Chart)とは、問題を頂点に置いて樹状図で整理する方法です。
具体的には一番上に問題点、一番下にゴールとなる目的を書き、その間のプロセスに想定される課題やその対処方法を図で整理していきます。
PDPC法を用いることで、事前に起こりうる問題を回避するための策が講じられるため、事前に発生しうるトラブルや障がいが想定でき、回避策を前もって考えられることで最適なゴール(目的)へのプロセスが検討できます。
例えば、ある部署で「機械が壊れた」という問題点を最初に記載し、ゴールとして「通常の生産体制を維持する」という目的を記載します。そこへ至る様々な障害やトラブルを書いていって、それらの対応策を考え、書き込んでいくといった利用の方法を考えられるのです。
PDPC法の起源
実は、このPDPC法は、もともと1968年に近藤次郎氏が東大紛争を解決するため考案した手法で、刻々と発生する事柄(結果、状況、処置など)を予測して対応したという実践から生まれた手法でもあります。
このような特徴を持っている手法なので、現場でも有効に利用できる実践的な方法といえるでしょう。製造業やサービス業など業種を問わず現場で活用できる手法です。
PDPC法(過程決定計画図)を使うことのメリット
PDPC法を使うことのメリットとして、「予測しやすい・問題の位置がわかる・関係者に意図を伝えやすい」といった点が挙げられます。3つのメリットを中心にPDPC法は問題解決へのヒントを提供してくれます。
メリット①:予測しやすい
まず、問題とゴールを設定し、それに沿って発生する様々な障害を書き込んでいくというプロセスから、今後起こりうる障害やトラブル、事象、さらにはゴールを予測しやすいメリットがあります。
予測不可能で行動が取れないといった現場の状況になっても、PDPC法を利用することで解決までのプロセスが明示され、具体的な行動指針や実行といったアクションを取りやすくなるでしょう。
メリット②:問題の位置がわかる
図示して問題の所在や障害となる場所をまとめることができますので、問題の位置が明確になります。
そのため、問題や障害の所在が視覚的に理解が容易になるため、「何が重要ポイントで、どのようにすれば回避できるのか?」といったことに対して、回避のための具体的な対応を取りやすくなるのがメリットです。
メリット③:関係者に意図を伝えやすい
最後に決定者の意図するプロセスや問題対策が、図で分かりやすく表現できることから、PDPC法で作成された図を見た関係者は、直感的に理解しやすくなるメリットが生まれます。
これによって関係者内でのコミュニケーションが容易になり、意志の統一や行動の統一といった統制がしやすくなるメリットも生まれます。
PDPC法(過程決定計画図)の過程と結果とは?
PDPC法の過程と結果についてそれぞれ解説します。
過程と結果について
まず、過程として最初にPDPC法を利用するに当たって問題のきっかけを設定します。「ここで今、何が問題になっているか?」をしっかり定義しましょう。この過程を無視するとPDPC法そのものが成り立ちません。
次がゴールを設定していく、いわゆるあるべき姿であり望ましい結果になります。このゴールである結果部分も自由に設定できます。たとえば、様々な問題を解決した状態である、平常状態に戻すといったものでも良いでしょう。ただ、より具体的な条件や状態を設定したほうが、より具体的な過程を検討できるようになります。
PDPC法の過程と結果を作り出す
スタートとゴール、過程と結果の概要を説明したところで、具体的な過程についてもう一度見ていきましょう。スタートの問題とゴールを結ぶものとして、予想される障害とそれに対する実施事項がありますので、これらが、どのようなものなのかを話し合いで決定していきましょう。
そして結果の前に今触れた障害と、その実施事項を実現した場合、「どのような結末になるか?」これは実施事項が成功した場合と失敗した場合について、それぞれまとめていきます。
以上の点を押さえてPDPC法の過程と結果を作り出していくのです。
PDPC法(過程決定計画図)の事例
PDPC法の事例としてWebサイトを利用してもらうためのデータ収集方法という問題に対してWebサイトの活性化を目的にした内容を解説していきましょう。
まず、「①データ収集する」という問題と「②Webサイトの活性化」という目的を設定します。
次にデータを収集するという問題に対して考えられることとして、「①-1トップページを見ただけで他のサイトへ離脱されてしまう」といった障害と、そもそも「①-2Webサイトが知られていない」という障害を洗い出します。
最初に、「①-1トップページを見ただけで他のサイトへ離脱されてしまう」という障害に対してはコンテンツの充実という対処法を打ち立てます。
一方、「①-2Webサイトが知られていない」という認知度が低い障害に対しては、宣伝活動の充実、他のサイトからのリンクが少ないといった障害が見えていきます。
さらに宣伝活動の充実の対処法としてメールやSNSを使った宣伝活動という対処法、リンクの少なさに対しては他のサイトとの相互リンクの要請といった対処法を設定します。
このようにしてコンテンツの充実、メールやSNSによる宣伝、相互リンクの要請という対処法が確認でき、それらを実施すればウェブサイトが活性化するという結果を導き出せるといった事例です。
もちろん、製造業の歩留まりや品質改善などに対しての事例も多くあるので、試してみましょう。
PDPC図(過程決定計画図)の作り方
PDPC法の作り方として、次の7ステップが挙げられます。
- 問題点の設定
最初にテーマとしてどんな問題や課題を解決するか決定します。 - ルール設定
次にルール設定として前提となる現状のレベルをはっきりしてテーマについての制約を決めます。この時、PDPC法の基本ルールである、時間経過(上から下へ進める等)、縦型で作っていくか横型で作っていくか確認、矢印が交差しすぎないことを確認、障害の数の最大数を30程度にするなどの取り決めといった内容を決めていきましょう。 - 目的を設定してスタートとゴールの明確化
3ステップ目として目的とするゴールを決定し、スタートである問題とともに明確化させましょう。 - 必要な手段や障害を配置して矢印を結んでいく
4ステップ目ではいよいよスタートとゴールに至るまでの予想される障害を取り上げていきます。それを図に書き込み、対応策を考えてスタート、障害、対応策を矢印で結びましょう。 - ルートの中から最も望ましいルートを太線で表示
5ステップ目は、仮に完成したこれらの流れを再検討して、いくつかできたルートの中でもっとも望ましいルートを太線で結びます。 - 達成できない場合は再検討
6ステップ目では達成が難しい場合にスタートから順に再検討をしてブラッシュアップしましょう。必要に応じて経路の追加などを行います。 - 矛盾点や対応策のチェックを行って完成
最後にチェックを行って問題なければ完成です。完成したものを実施して問題解決を図ります。