マトリックス図法とは?
マトリックス図法とは、
行に属する要素と列に属する要素に構成された二次元の表の交差点に着目して問題の解決を効果的に進める手法
になります。
もっと簡潔に説明をすると、"表組による表現方法で、複数の要素を「行」と「列」に並べて関係性を明確にするときに利用する手法"です。
格子状の表の、左の列と上の列に項目を書き、それぞれの交点に関わりや数値を入れ、文章や箇条書きでは煩雑で理解しづらくなる関係性を表にし、誰でもひと目で理解できるようになっています。
マトリックス図法の目的としては大きく分けて2つあります。
- 二次元的配置の中から問題の所在や問題の形態を探すことができる
- 二次元的配置の中から問題解決への着想を得ることができる
ちなみに、マトリックス図法の基本はⅬ型マトリックスなのですが、他にもT型・Y型・X型・C型・P型などの種類があり、言語情報や文字情報により問題の方向性を見出す手法として誕生した"新QC7つの道具"の1つでもあります。
マトリックス図法の種類と特徴について
T型マトリックス
Ⅼ型のマトリックス図を結合したような形で、単純なⅬ型のマトリックス図を2つ作成するということがあれば、T型にまとめてしまった方が一覧性に富みます。
しかし項目の多い複雑なⅬ型マトリックス図であれば、T型としてまとめない方が情報の把握をしやすいケースもあります。
Y型・C型マトリックス
Y型のマトリックス図は、3つの事象にまたがって情報をまとめる際に使うことが多いです。
そのY型の交点を立方体で表したのがC型のマトリックス図になります。
これらのマトリックス図はデータの分析などには有効な表現方法ではありますが、プロジェクト中に使用することは少ないです。
X型マトリックス
X型のマトリックス図はⅬ型を4つ組み合わせた形をしています。
T型のマトリックス図と同様に、あまり複雑ではないⅬ型のマトリックス図をまとめる時に使用することが多いです。
屋根型(Roof型)マトリックス
各項目の組み合わせを評価する際に使用する表現方法です。
マトリックス図を使う3つのメリット
メリット1:多くの情報を自然に表現できる
文章表現で色々なことをまとめようとすると情報量が多く、要点が分かりづらくなりますが、マトリックス図なら情報量が多くても簡潔に自然な形で表現することが可能です。
図にすることで不要な言葉がカットされ、キーワードの囲み・矢印・配置などによりシンプルなのにわかりやすい表現になります。
メリット2:抜け・モレ・矛盾の発見ができる
簡潔にまとめることができるマトリックス図を使用することで、自分はもちろん見る人もスムーズに情報を理解することができます。
また、倫理的な対応関係が一目瞭然になるので、抜け・モレ・矛盾に気が付きやすいです。
それと同時にある分野だけの情報が偏っている場合にも気が付きやすく、バランスの良い説明に向けての情報収集や理解が可能になりますので、正確な資料作りに適しています。
メリット3:そのまま文書化できる
まとめたい情報の整理ができれば、図をそのまま文書化することができます。
倫理ピラミッドで構造化できていれば、言い洩らしや重複説明が避けられるだけではなく、説明のレベルを浅くしてポイントを絞ることで説明時間の変化や聞き手の関心に対応することも可能です。
発表や会議等を行う時は、文章表現よりもマトリックス図の方が一目で分かることから、焦らず柔軟な対応をすることができます。
マトリックス図の4つの活用例
活用例1:Ⅼ型マトリックス
行の列と端がくっついているマトリックス図法で、1つのものが複数の要素を持っており、行と列の両方の面方要素を比較する場合に使用されることが多いです。
例えば学校の成績表の場合、生徒側から見ることで特定の生徒の教科別点数を見ることができます。一方教科側から見ることで各教科の点数分布を見ることが可能になります。
活用例2:T型マトリックス
要素を左右または上下に分けて、その間にもう一つの要素(項目)を配置する図法になります。
例えばⅬ型マトリックスと同じ学校の成績表の場合、左側に上期未試験の成績を、右側に下期未試験の成績を、そして真ん中に試験科目を配置した場合、要素同士の比較がしやすくなります。
この方法はⅬ型マトリックスを2つ合わせたもので、2つの要素を1つの図にする方法です。
活用例3:Y字マトリックス
立方体で、正面・側面・上面を使って項目を表します。
Ⅼ型やT型に比べてすごく複雑のため、正直使用頻度は少ないです。
有名な活用例としては、トレッドウェイ委員会組織委員会(COSO)が作成した内部統制のフレームワークになります。
活用例4:X型マトリックス
X型マトリックスはT型マトリックスを2つ合わせたもので、Ⅼ型マトリックスの4つ分になります。
4つの要素がそれぞれ隣り合う2つの要素に関連している場合に使用されています。
例えば、Aの教師とBの教師が担当している生徒に対して"○○大学と○○短大であったらどちらが合格しやすいのか?"や、"〇〇大学と○○短大に合格しやすい生徒はこのクラスにどのくらい居るのか?"などを表す際に適しています。
マトリックス図の簡単な作成方法(作り方)
- マトリックス図へ代入するデータを表形式で用意する
Excelを使用し、マトリックス図へ代入するデータを表形式で用意します。
要素階層別の列を設けて、それぞれ該当する要素を入力していきます。 - SmartArtのグリッドマトリックスをシート内に挿入
"挿入タブ→図→SmartArt"の順でクリックし、"マトリックス→グリッドマトリックス"の順で選択をしたら"OK"をクリックします。 - メモ帳へ表データをコピー
テキストエディタのメモ帳を開いて、項目名を除く表データをコピーしてメモ帳に貼り付けます。
メモ帳に貼り付けたら、全選択を行ってメモ帳のテキストをコピーします。 - SmartArtのグリッドマトリックスにテキストデータを挿入
SmartArtのグリッドマトリックスにテキストデータを挿入していきます。
SmartArtのグリッドマトリックスを選択し、左ラインにある"<"をクリックし、文字入力エリアを選択して"Ctrl+A"を全選択します。
そしてメモ帳でコピーをしたテキストを"Ctrl+C"で貼り付けます。 - マトリックス図の完成
この方法はExcelを使用して一瞬でマトリックス図を作成できるので、慣れてしまえば5分以内に作成できてしまうほど簡単です。
マトリックス図をスムーズに完成させる方法
- 分析をする2つの要素を明確に決める
まずは、「何と何を組み合わせたマトリックス図法を作成するのか?」「それぞれの項目や分類などをどのような要素に分けるのか?」を決まます。 - 評価方法を決める
1で決めた要素の軸が交わるポイントの評価方法を決めます。
横軸の要素と縦軸の要素の交点に両社の関係の有無や関係の強さといった2つの要素の組み合わせを評価していきますが、その評価をどのように表現していくのかを決めていきます。
例えば、良い・悪いの評価に対して"〇""△""✕"の3段階や、一目で分かる"+""-"の2段階にするのかです。
もっと細かく評価をしたいと考えているのであれば、数字の5段階評価や10段階評価にするのも良いと思います。 - マトリックス図を作成して評価をする
1と2で決めた内容でマトリックス図を作成していきます。
要素の数や評価したい要素の組み合わせによって、目的に合った型を選びます。 - 考察をして情報を得る
作成したマトリックス図を考察し、色々な情報を得ていきます。
この時に、内容に重複がないかや評価指標の網羅性に問題がないかどうかも確認していきます。 - 情報から対策を考える
4で読み取ることができた情報から今後の対策を考えていきます。
要因の共通性は見出せたのかといった結論まで辿り着けらば目的は達成です。
マトリックス図を作成する際のポイントは大きく分けて5つです。
- お互い関係のある要素
- 客観的に評価できる要素
- 知りたいことが分かるポイント
- 評価指標は網羅性を意識する
- できるだけシンプルな型を選ぶ
これらを意識すると、的確なマトリックス図の作成が行えます。
マトリックス図はなぜ見やすいのか?
見やすさの理由1:簡潔にまとめることが可能
マトリックス図にすることで、不要な文章を削除でき、簡潔にまとめることができます。
例えば、飲食の製造を行っている会社で"〇月〇日に果物を50ケース、〇月〇日と炭酸飲料を40ケース、〇月〇日に乾物を120ケース"と不要な言葉を入れながら文章表現をするより、必要なワードだけを使って図にした方が一目で何月何日までに何を何ケース用意をしなければならないということがわかります。
もちろん要素に合ったマトリックス図の型を使うことが重要ではありますが、行と列で表現できるため、誰でも理解できる図になるのがマトリックス図の大きな特徴でもあり、魅力でもあります。
ちなみに、"表の縦幅を広げる""線をたくさん引きすぎない""英数字のフォントをArialまたはメイリオにする"ことを意識すると、より見やすいマトリックス図の作成ができます。
見やすさの理由2:誰が見ても一目で分かる図
マトリックス図は資料作成にも役立ちますし、見やすいことで見る人の興味を引くこともできる優秀な図なので、自分が見て分かりやすいことも大事ですが、他の人が見ても一目で分かる図の作成をすると、会社での発表や会議がスムーズに進んだり、自分の伝えたいことを簡潔にまとめることができるというメリットもあります。