今回は『統計的な考え方「QC7つ道具:ヒストグラム」』についてお伝えいたします。
ヒストグラムとは?
ヒストグラム(度数分布図)とは、縦軸に度数、横軸に階級をとった統計グラフの一種で、データの分布状況を視覚的に認識するために主に統計学や数学、画像処理等で用いられる。柱図表、度数分布図、柱状グラフともいう。
Wikipediaより引用
簡単に説明しますと、ヒストグラムとは、集めたデーターを幾つかの区間に分け、この区間に入るデーターの数を数えて度数表を作り柱状に表したものです。
データがどんな値を中心に、どんなバラツキ方をしているのか調べるのに用いられる図の事で、柱を立てたような図であるので柱状図とも言われます。
データの数値に応じた境界値をもつ区間を幅とし、各区聞に属するデータの数を高さで表した棒グラフで、データの背後にある母集団分布の姿や中心位置やばらつきを推測するのに用いられます。
ヒストグラム(度数分布図)は、棒グラフに似ていますが、データが示す意味は全く違います。棒グラフはグラフの一本一本が独立したデータであるのに対し、ヒストグラムが示すのは全データの内訳、構成要素になります。そのため、ヒストグラムでは棒の間隔をなくして階段状のグラフにするのが一般的です。
ヒストグラムの目的
同じ工程、同じ設備、同じ材料で、同じ作業標準に従って製品を作ったとしても、出来上がる製品には必ずバラツキが生じます。
例えば寸法、重さ等、厳密に計画すると全て異なった値を示します。そのために規格値(許容範囲)を決め、その範囲に収めること、つまりバラツキを管理することが必要になります。
ヒストグラムは、データの数値に応じた境界値をもつ区間を幅とし、各区聞に属するデータの数を高さで表した棒グラフで、データの背後にある母集団分布の姿や中心位置やバラツキを推測するのに用いられます。
- データー分布の姿(データー母集団の姿)が見える。
- データーがどんな値を中心に、どんなバラツキをしているかが見える
- 分布がどのような形をしているかが見える。
つまり、現場の実力を表すズレとバラツキを客観的に示したものがヒストグラムで、許容範囲内の規格下限値と規格上限値に対して、どのように分布しているのか?を一目で把握するには最適なツールです。
ヒストグラムの活用法
ヒストグラムは、データのバラツキの姿を把握するために活用します。モノにはバラツキがあり、製品の品質管理はバラツキをいかに抑えるか?というポイントが重要です。この時、どのように製品がバラついているか、バラツキの姿を把握することが非常に重要となります。
例えば、木になったみかんの重さのバラツキの姿を把握するために1つ1つの重さを10g単位で測定、重さごとに並べたものです。
このようにデータを整理すれば、
・みかんの重さは、320~410gにばらついている
・平均的な重さは、360~370g
といったことが判り、バラツキの姿が、平均の辺りが高く、それを中心に対してほぼ左右対称で、正規分布の形状の少しずつ低くなっているような形になっています。
ヒストグラムの作り方
- データー収集。ランダムにサンプルした50〜200個のデーターを集める。
- データーの最大値、最小値、平均値を求める。
- 仮のヒストグラムの柱の数を求める
区間(柱)の数=√データーの数=√100=10 - 区間の幅(hと書く)を決める。
区間の幅は (最大値-最小値)/区間の数で求め、測定単位の整数倍に丸める。 - 区間の境界値を決める。区間の境界値はどちらにも入らないよう測定単位の1/2にする。
- データーの度数を数える
- ヒストグラムを作図する
ヒストグラムの分析の視点
①分布を眺めて工程の異常を調べる
②工程能力を調べる(データの分布の形・データの中心の位置・データのバラツキの大きさ・データと規格との関係)
※工程能力とは、その工程で要求される規格(品質基準)に対する、その工程で生み出す製品のばらつき(工程の品質能力)の割合を示すもので、工程能力が1のとき規格に対してばらつきが同じ大きさ
水準 | 平均値が規格の上・下限の中央値よりズレている場合「この時は要因の何を変えればよいのか?」という観点で追及しましょう。 | |
バラツキ | 規格の上・下限の幅に対してバラツキが大きすぎる場合「この時は要因の何が不安定なのか?」という観点で追及しましょう。 | |
混入 | 離れ小島のように異常にバラついた値が出た場合「この時は要因の何が不確実なのか?異常なものが紛れ込むのか?」という観点で追及しましょう。 |
まとめ
ヒストグラムを活用できると、一目でばらつき方を把握することができ、異常を発見することができます。一般的なヒストグラムの形状は中央値が高く、中央から離れるに従って低くなります。
しかし、 加工工程に不安定な要素があると、ヒストグラムの形状が変化して現れます。この形状を見ることで、工程の問題点や異常を発見することが出来ます。