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品質管理の考え方「源流管理」とは?

2015年12月25日

品質管理の考え方「源流管理」とは?

本日は『品質管理の考え方「源流管理」』をお伝えいたします。

源流管理とは?

 「源流管理」とは、「お客様に喜ばれる商品やサービスの品質を明らかにして、仕事の仕組みの源流、または担当業務の源流にさかのぼって、品質やサービスの機能や原因を掘り下げ、源流を管理していくこと」である。

日本財団図書館より引用

つまり「下流でなく、仕事のプロセスの上流で管理すること」をいいます。仕事の流れの上流にさかのぼって、顧客に喜ばれる商品やサービスの品質を明らかにし、その結果を生み出すプロセスを掘り下げ、管理していくという考え方です。

「悪いものは元から断つ」とよく言います。顧客に喜ばれる製品やサービスを提供するために、問題が起きたときは仕事のプロセス上流にさかのぼり、問題の原因を掘り下げ対策を行うということです。問題の原因を上流で対策し、下流に流さないようにすることです。

源流管理って何?

ある工程で品質不良が発生している時、その工程では解決できないケースがあります。その品質不良が、それ以前の前工程で製造されてしまっているからです。この問題を解決するためには、不良という現象面だけでなく、その源流(上流)にさかのぼって真の原因を突き止め、その原因を取り除く改善をしなければ、いつまでたっても問題は解決しません。

このように、自工程だけでなく工程全体として品質不良の低減を図れるように、源流にまで遡って原因を突き止め、管理していくことを源流管理といいます。

源流管理の必要性

不具合が発生した場合、不良の対応を手直しや選別で行うより、その不良の根本原因を対策する方が全体工数も少なく、良いのは明らかです。誰がどう考えても、初めから不良を発生させない方が努力をすることの方が大切だと理解できます。

 また、「製品が売れない・・・」と悩んでいる企業ほど、上流に誤りがあります。例えば、顧客ニーズがないものを企画して製造・販売した場合は、いくら製造が頑張って良い品質を作り込んで、営業が販売努力を重ねても、その商品が売れることはありません。これは、上流である顧客ニーズをリサーチする商品企画の失敗です。下流である、設計・製造・販売がいきら頑張っても顧客に受け入れられることはありません。

源流管理

 このように上流での失敗は、下流にいくほど影響力が大きいため、取り返しのつかないことになりかねません。このため源流管理が必要となるのです。

源流管理するための5つのポイント

源流管理とは、具体的に何をすればいいのか?そのポイントを紹介します。

  1. 開発や品質保証のしくみなどプロセスを体系化し見えるようにする
  2. 実際に使う顧客の立場に立って、企画・設計する
  3. 納品までのプロセスを各段階で評価する(目標未達の場合は、次のステップへ行かない)
  4. トラブルの予測を行うことで、未然防止に努める
  5. 問題が発生すると、その原因を前工程にさかのぼって追求する

「源流管理」は理想的だけど、現実的じゃない?

 今まで、22業種100社以上の集客・品質改善サポートを行ってきた中で、言われてきたのは「不良が出るたび即対応。源流対策などやるヒマがない」「流出防止の方が対策が早い」「源流は企画や設計や企画部署がやればよい」ということをよく言われました。

【 事例:即対応も大事だけど・・・本当に大事なのは源流管理 】

▶︎【源流対策をしなければ、同じ問題が再発する恐れがあります】
【例】あるラインで機械が停止

  • 不良品の処置(流出防止)
  • 不良原因は、切粉混入によるポンプ軸の摩耗 ⇒ 混入した切粉を除去(応急処置)
  • ポンプの軸が摩耗を調査・対策。ろ過器を取付(源流管理)
  •  源流管理しないと、いくら混入した切粉を除去しても再発の可能性あり

▶︎【プロセスが下流にいくほど、影響は大きくなる】
【例】ある部品で、人命に関する致命的欠陥が見つかった

  • 問題発生後対応⇒全品市場回収、補償責任、信用失墜など(経営危機の恐れあり)
  • 出荷後対応⇒全品市場回収(損失莫大)
  • 製造工場対応⇒全品取替え(損失大)
  • 設計対応⇒図面修正(工数小)

▶︎【会社全体が源流対策を行うことで全体最適化が図れる】
・設計、生産技術、製造、物流、販売など下流でも、下流の視点から指摘することで、様々な問題が減少するため、全体最適化につながり、結果的に自部門にとっても得です。

まとめ

問題が起こると対症療法的な、すぐ対策を考えるやり方を「もぐらたたき型の対策」、それで対策完了としてしまいがちですが、それでは真の解決にはなりません。

源流管理で根本から解決すれば同じ問題でも、トータル的な手間が少なくて済みますし、問題の大きさも小さくて済みます。

「悪いものは元から断つ」ために、仕事のプロセスの上流にさかのぼって問題の根本原因を掘り下げ、その対策を上流で行い、下流に悪いものを流さないように取り組みましょう。

品質保証を行う上で、重要な12の考え方

  

内容

1

PDCAサイクル

「仕事を効果的・効率的に進めるための手順のこと」

2ファクトコントロール

「事実に基づいてデータでものをいうこと」

3

プロセス重視

「結果でなく、仕事のプロセスを管理していくこと」

4

標準化

「標準を作り、守り、それを活かしていく」

5

源流管理

「プロセスの下流でなく、プロセス上流で管理すること」

6

現地現物

「問題が起きた現地に足を運び現物を見ながら考えること」

7

品質第一

「品質優位により利益確保を目指すこと」

8

顧客志向

「お客様の真に要求するモノ・サービスを提供すること」

9

後工程はお客様

「後工程に喜んでもらえるモノやサービスを提供すること」

10

重点指向

「複数の問題から重要問題を選定し、優先的に取り組むこと」

11

再発防止

「根本原因を見極め対策することで問題を再発させないこと」

12

未然防止

「先を読み、想定される問題に対してあらかじめ手を打つこと」